健康ライブラリー 2018年12月23日

健康ライブラリー / ライフ・ヘルスケア

●教えてドクター 

★12月のテーマ「心不全」

名古屋大学医学部 循環器内科
室原 豊明 先生

様々な心不全の原因となる元の疾患を適切に治療することは大原則です。例えば狭心症があったり心筋梗塞があったりしたら治療をし、不整脈があったら治療をするということは当然です。ところが残念ながらそのような治療をしても、心臓の機能が悪くなって動かなくなった場合は内科的な治療としてレニン ・アンジオテンシン系あるいはアルデストロン系の抑制薬を使います。これは心臓が動かなくなった時に、私たちの体の中に心臓に負荷をかけようとするホルモンであるレニン ・アンジオテンシン系が活性化してきますので、これをブロックしてあげる薬です。また同じような機序で心臓が動かなくなりますと、私たちの体の中の自律神経の1つである交換神経が緊張してきます。これは血管を収縮させて血圧を維持しようという機構です。これはこれで私たちの体には役にたつのですが、これがずっと心臓に働きますと、例えるなら馬に鞭を打ち続けるような状況になります。そうすると最終的に心臓の筋肉が疲弊してますます動かなくなります。こういったところに注目して交換神経ベータ受容体遮断薬という薬を使います。これは心臓を休ませる薬です。また血管の中にたまった水分を尿として出す利尿薬、そして心臓の筋肉を少しだけ強く打たせる強心薬などもあります。外科的な治療になりますと、冠動脈疾患でカテーテル治療では手に負えない場合、心臓等のすべての血管に狭い部分がある場合、冠動脈バイパス手術というものを行います。また弁膜症の場合で弁が壊れてぼろぼろになった状態ですと弁を取り替える治療を行いますが、これは外科的な治療の介入になります。もっと新しい治療ですと左心室の補助循環装置というものがあります。これも外科的な治療になりますが、左心室から大動脈に血液を送りだせるようなポンプを体の中に埋め込んでしまいます。体から出てくるのはそれを支える電源用のケーブルだけになりまして、患者さんはその電源の元になる装置を背中や肩にしょって動かれます。そういった体内埋め込み型の左心室補助循環(LVED)といった治療が最前線ということになります。現在日本の国内では年間60~70例の心臓移植が行われています。それに対して、心臓移植を待っている方はその10倍程度おられます。平均の移植待機期間は5年~7年くらいではないかと言われています。名古屋大学でも心臓移植を現在行っていますが、実際には非常にドナーが少なく長期間待機しなくてはならないという状況が続いています。
 

●スマイルリポート~地域の医療スタッフ探訪 

平松かおり さん(知多・西知多リハビリテーション病院連携室 看護師)

<力を入れて取り組んでいる事>
当院は回復期のみの専門病院で大きな病院とは違った特徴があります。回復期リハビリテーション病院が何をしている病院なのか?どんな人が入院できるのか?どんな医師がいるのか?等を少しでも皆さんに知ってもらうため地域と病院をつなぐ役割として情報発信をし続けています。これまで広報誌の発行や地域の行事に参加する等の活動をしてきましたが、これはどこの病院でもやっていることです。今後は少し違った、奇抜な位面白いことを取り入れながら知多半島の皆さんの元気と健康を維持するためのお手伝いをしていきたいと考えています。

<心に残るできごと>
当院では退院時にアンケートをお渡ししたり、退院後に往復はがきを送ったりして患者様に入院中の感想をお聞きしています。その中で私が一番心に残るのは入院中に悲しい気持ちになったという事実を知った時です。元気でいらっしゃる様子や感謝の言葉はもちろん嬉しく拝見するのですが、職員や医師の言葉または態度によって患者様やご家族が悲しみやくやしさを感じたという感想が一番ショックです。また何より心にとどめておかなくてはいけないことだと思っています。

<現場の課題>
大きな事を言えば日本の明るい未来に向けて、地域の中の回復期病院の位置づけをもっと安定したものにしていかなくてはいけないと思っています。これから多くの人が百歳まで生きることができるのならば、その途中で怪我や病気になった後、元の生活にもどるためには病院や施設がいくつあっても足りないという状況です。そのために私たちの病院があるんだということを、院内の職員がまず誰よりも重くリアルに感じなければいけないと思います。何となく患者さんに向かうのではなく、使命感や希望を持って患者さんと接して欲しいと思っています。そのためには職員のモチベーションの維持や体調管理は大切な課題だと思います。
 
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