健康ライブラリー 2018年12月16日

健康ライブラリー / ライフ・ヘルスケア

●教えてドクター 

★12月のテーマ「心不全」

名古屋大学医学部 循環器内科
室原 豊明 先生

心臓は我々の体に血液をまわすポンプ機能を有しているという特徴があります。心臓が動きにくくなる原因には、明らかな心臓病以外にも多数の要因があります。まず一つは高血圧です。血圧が高いということはそれだけ心臓が無理をして血液を全身に送り出しているという意味があります。私たちの心臓は1日にどれだけ拍動していると思いますか?1分間に約60と計算しても1日に約10万回拍動しています。ですからこのとき血圧が高いと心臓が無理をして、だんだんと心臓が動かなくなり、これも大きな心不全の原因の一つです。それ以外には心臓に直接的な病気がおきる場合です。例えば冠動脈疾患といわれる、心臓を養う冠動脈が細くなったり詰まったりする狭心症や急性心筋梗塞をおこして心臓の動きが悪くなります。多くの場合急性心筋梗塞の患者さんは、救急車で病院に運ばれてカテーテル治療を行います。詰まった血管を広げたり、ステントという金具を入れたりして血液の流れを良くします。他には心臓の弁膜症という病気があります。心臓の中には4つの弁があります。弁の動きが悪くなって弁のまわりが狭くなる、あるいは弁が完全に閉じきれないために血液が逆流してしまい、心臓が慢性的に無理をするのでだんだんと心臓が動かなくなります。またそれ以外には不整脈もあります。不整脈には心房という所から出る不整脈と、心室という所から出る不整脈に大きく分けられます。心房から出る不整脈として有名なのは、心房細動という病気があります。これは心房が不規則に震えるような動きをする病気で、心臓に十分に血液が充満しないために、これもほっておきますと心不全になります。心房細動の怖い点は心房の中に血栓という血の塊ができまして、これが飛んでいきますと脳塞栓という怖い病気になります。ですから血栓を予防する目的で、心房細動が見つかったら抗凝固薬という薬を服用していただかなければなりません。これ以外には心筋症という病気があります。拡張型心筋症とか肥大型心筋症という言葉を聞かれることがあると思いますが、生まれつきあるいは後天的に心臓の壁が厚くなったり逆に薄くなったりする病気で、心臓の筋肉そのものが次第に動かなくなる病気です。これも重篤な方は心不全になって最終的には心臓移植ということになる場合もあります。
 

●スマイルリポート~地域の医療スタッフ探訪 

山﨑 弘子さん(医療法人 翔樹会 井上内科クリニック 地域連携室ソーシャルワーカー)

<力を入れて取り組んでいる事>
井上内科クリニックは一宮市の旧尾西地区にあります。22年前に開院した時から在宅医療に力を入れていて、7年前に「一宮ハート・ギュッと・ネット」を設置しました。在宅医療の普及啓発活動を行っています。毎年40ケ所位、一宮市内のおでかけサロンや町内会や老人会・介護事業所に出前講座として在宅医療に関するお話をしています。講師には診療所の医師やケアマネジャーさんや訪問看護師さん等にご協力いただいています。また地域の診療所の医師とケアマネジャーさん、訪問看護師さんと定期的に症例検討等の勉強会を行っています。お互いの顔の分かる関係からネットワーク作りを構築中です。

<心に残るできごと>
昨年私たちの念願であった、旧尾西地区で行う介護フェアを開催しました。市単位でなく、もっと狭い生活圏域です。近隣の介護事業所や銀行や企業が参加しました。自分達が住んでいる地域にどんなサービスがあるのか、困った時の相談窓口は何処にあるのかを知っていただくためです。当日は介護相談コーナーや転倒予防体操教室、おむつの使い方講座、大正琴の演奏会等を行いました。終わってみれば失敗や反省点もありますが、住民の方にはアピールできたと思います。また事業所・職種を問わず皆で一つのものを作り上げたことで、連帯感が生まれ通常の業務でも以前よりコミュニケーションが取りやすくなりました。

<現場の課題>
講演会活動でたくさんの方とお会いして様々なお話を伺ってきました。毎回思うことは、年齢を問わず介護保険をご存知の方が少ないことです。またお一人暮らしの高齢者も多く不安を抱えながら生活をされていますが、相談まではされない事が多いです。診療所は介護や福祉の窓口になると考えています。高齢になればなんらかの疾病があり定期受診をされている方や、40歳以上の方なら年に一度の健康診断があります。また医師やスタッフは患者さんの家族背景も分かります。診療所は窓口になって介護保険の案内や関係機関に繋いであげられることが重要だと思っています。そこで毎月待合室でよろず相談を行って、外来の患者様と世間話をするように心掛けています。やはり地域の皆さんが心身共に健やかに暮らせるには、コミュニケーションが一番大切であると思います。
 
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