●教えてドクター
★12月のテーマ「心不全」
名古屋大学医学部 循環器内科
室原 豊明 先生
心臓は我々の体に血液をまわすポンプ機能を有しているという特徴があります。心臓が動きにくくなる原因には、明らかな心臓病以外にも多数の要因があります。まず一つは高血圧です。血圧が高いということはそれだけ心臓が無理をして血液を全身に送り出しているという意味があります。私たちの心臓は1日にどれだけ拍動していると思いますか?1分間に約60と計算しても1日に約10万回拍動しています。ですからこのとき血圧が高いと心臓が無理をして、だんだんと心臓が動かなくなり、これも大きな心不全の原因の一つです。それ以外には心臓に直接的な病気がおきる場合です。例えば冠動脈疾患といわれる、心臓を養う冠動脈が細くなったり詰まったりする狭心症や急性心筋梗塞をおこして心臓の動きが悪くなります。多くの場合急性心筋梗塞の患者さんは、救急車で病院に運ばれてカテーテル治療を行います。詰まった血管を広げたり、ステントという金具を入れたりして血液の流れを良くします。他には心臓の弁膜症という病気があります。心臓の中には4つの弁があります。弁の動きが悪くなって弁のまわりが狭くなる、あるいは弁が完全に閉じきれないために血液が逆流してしまい、心臓が慢性的に無理をするのでだんだんと心臓が動かなくなります。またそれ以外には不整脈もあります。不整脈には心房という所から出る不整脈と、心室という所から出る不整脈に大きく分けられます。心房から出る不整脈として有名なのは、心房細動という病気があります。これは心房が不規則に震えるような動きをする病気で、心臓に十分に血液が充満しないために、これもほっておきますと心不全になります。心房細動の怖い点は心房の中に血栓という血の塊ができまして、これが飛んでいきますと脳塞栓という怖い病気になります。ですから血栓を予防する目的で、心房細動が見つかったら抗凝固薬という薬を服用していただかなければなりません。これ以外には心筋症という病気があります。拡張型心筋症とか肥大型心筋症という言葉を聞かれることがあると思いますが、生まれつきあるいは後天的に心臓の壁が厚くなったり逆に薄くなったりする病気で、心臓の筋肉そのものが次第に動かなくなる病気です。これも重篤な方は心不全になって最終的には心臓移植ということになる場合もあります。
名古屋大学医学部 循環器内科
室原 豊明 先生
心臓は我々の体に血液をまわすポンプ機能を有しているという特徴があります。心臓が動きにくくなる原因には、明らかな心臓病以外にも多数の要因があります。まず一つは高血圧です。血圧が高いということはそれだけ心臓が無理をして血液を全身に送り出しているという意味があります。私たちの心臓は1日にどれだけ拍動していると思いますか?1分間に約60と計算しても1日に約10万回拍動しています。ですからこのとき血圧が高いと心臓が無理をして、だんだんと心臓が動かなくなり、これも大きな心不全の原因の一つです。それ以外には心臓に直接的な病気がおきる場合です。例えば冠動脈疾患といわれる、心臓を養う冠動脈が細くなったり詰まったりする狭心症や急性心筋梗塞をおこして心臓の動きが悪くなります。多くの場合急性心筋梗塞の患者さんは、救急車で病院に運ばれてカテーテル治療を行います。詰まった血管を広げたり、ステントという金具を入れたりして血液の流れを良くします。他には心臓の弁膜症という病気があります。心臓の中には4つの弁があります。弁の動きが悪くなって弁のまわりが狭くなる、あるいは弁が完全に閉じきれないために血液が逆流してしまい、心臓が慢性的に無理をするのでだんだんと心臓が動かなくなります。またそれ以外には不整脈もあります。不整脈には心房という所から出る不整脈と、心室という所から出る不整脈に大きく分けられます。心房から出る不整脈として有名なのは、心房細動という病気があります。これは心房が不規則に震えるような動きをする病気で、心臓に十分に血液が充満しないために、これもほっておきますと心不全になります。心房細動の怖い点は心房の中に血栓という血の塊ができまして、これが飛んでいきますと脳塞栓という怖い病気になります。ですから血栓を予防する目的で、心房細動が見つかったら抗凝固薬という薬を服用していただかなければなりません。これ以外には心筋症という病気があります。拡張型心筋症とか肥大型心筋症という言葉を聞かれることがあると思いますが、生まれつきあるいは後天的に心臓の壁が厚くなったり逆に薄くなったりする病気で、心臓の筋肉そのものが次第に動かなくなる病気です。これも重篤な方は心不全になって最終的には心臓移植ということになる場合もあります。