健康ライブラリー

健康ライブラリー 2018年12月9日

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●教えてドクター 

★12月のテーマ「心不全」

名古屋大学医学部 循環器内科
室原 豊明 先生

心臓は全身に血液を送るポンプの役割をしています。心不全は心臓が血液を全身に送り出せないことによる低拍出と呼ばれるものによる症状、また心臓が血液を送り出せないためにうっ血してしまうための症状の2つの症状に大きくわけられます。心臓から血液が出て行かないことによる症状としては、血圧が下がり、そのため疲れやすく体がだるくなるといった症状が出ます。たとえば3階まで登っても大丈夫だったのに、2階まで登っただけで疲れる、またいつも手足が冷たく感じるといったことがあります。左側の心臓が動かなくなると血液が肺に溜まります。肺に血液がたまってきますと、息苦しい、夜間に咳が出る、座っているといいけれど横になると急に息苦しくなる、あるいは動いた時に息がきれる、などの症状が出ます。右側の心臓が動かなくなりますと、全身に血液がたまってきます。全身に水がたまるので体重が増えてしまい手や足がむくむ、頚の静脈が浮き上がる、腸管にもうっ血がくるので食物の吸収が悪くなるため食欲がなくなる、といった症状がでてきます。ですから、心不全の症状というのは何でもありうると考えて良いと思います。また、心不全の症状は他の病気との鑑別が難しい場合もあります。例えば息苦しい、息切れがするといった症状一つとってみても、心臓の病気もありますし、肺の病気もありますし、血液が薄くなる貧血ということもあります。少しでもおかしいと思ったら掛かりつけのお医者さんに診ていただいて、心電図や胸のレントゲン写真を撮ったり心臓のエコーを撮ったりしていただくと良いと思います。たばこがやめられない、あるいは高血圧や糖尿病である等の心臓に対するリスクがある方は心不全になりやすいと言われています。とくにそういった危険因子を持っておられる方は日頃から自覚症状に注意していただきたいと思います。
 

●スマイルリポート~地域の医療スタッフ探訪 

金 兌勝 先生 (ハーブ調剤薬局 薬剤師)

<力を入れて取り組んでいる事>
地域に密着した薬局を目指しています。昔、薬剤師は町の科学者と呼ばれ、薬局はちょっとしたけがや病気等も相談できる地域で最も身近な医療機関でした。しかし皆保険が導入されてからクリニックや病院にかかりやすくなったので、薬局の位置づけも変わってきてしまいました。その中で薬局が地域で果たす役割も、変わっていかざるをえなくなりました。その中で私どもの薬局では健康情報を発信することを考えました。2年前から月に1回健康サロンを開催しています。1時間程の健康セミナーを行った後、お茶を飲みながら参加者みんなで交流し、健康相談をする時間を設けています。これまでテーマとしては糖尿病や血圧の話、骨の話、油の話等を取り上げて開催してきました。

<心に残るできごと>
まずはサロンのことです。2年間やっていますが固定した常連客が多く占めています。続けて来てくださるということがとても嬉しいです。参加者の中には「話がわかりやすかった。」、「楽しかった。」、「薬局のイメージが変わった。」等とおっしゃる方もいます。サロンではちょっとしたスクワットのような簡単な運動等も紹介しています。参加者の中には「ちゃんとやってるよ。」という声を掛けて下さるかたもいらっしゃいます。そういった声はとても励みになっています。

<現場の課題>
地域密着ということでサロンを初めたのですが、これだけでは薬局の果たす役割としては十分ではないと思っています。実際に地域で暮らしやすい所にするために、必要なことは健康相談の拠点であったり、在宅医療を充実させることであったり、災害の対策をしっかりすることではないかと思っています。健康相談に関して当薬局は、元々予約制の健康相談やカウンセリング等を行っています。健康のことや心のことを気軽に相談できる敷居の低い医療機関でありたいと努めています。
 
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