健康ライブラリー

健康ライブラリー 2018年11月25日

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●教えてドクター 

★11月のテーマ「介護・リハビリ ロボットの最新情報」

国立長寿医療研究センター副院長
健康長寿支援ロボットセンター長
近藤 和泉先生

介護ロボットというとロボットがお年寄りに何かをしてあげるというスタンスになりますが、未来のロボットはもう一歩進んで、一緒に暮らして一緒に人生を歩んでいくパートナーに変わっていくと思います。例えば年をとると連れ合いの方が亡くなられたりしますが、そういった時にロボットが横にいてくれると心強いと思います。一方で社会では若い人には労働生産性が問われているので、どんどんお年寄りと過ごす時間が少なくなっています。そこをロボットがうまく補完してくれると良い形での未来社会が実現すると思います。そのために我々が直面している課題としては、ロボット側がお年寄りのしゃべった事を聞き取る能力を、なかなか向上させられないという問題があります。お年寄りの話自体をロボットはちゃんと聞き取れるのですが、周辺の雑音とお年寄りがしゃべった言葉を区別して認識するのが一番難しいです。人間の耳はとても高機能にできていて、雑音にあふれている環境の中でも、相手の言葉を聞きとれますが、ロボットはまだそこまでできません。そういった意味でのコミュニケーション能力が課題となりますが、1年後、2年後にはそういった問題も解決でき、かなりレベルの高いロボットが使えるようになると思います。

●スマイルリポート~地域の医療スタッフ探訪 

小林 遼 先生(新渡戸記念中野総合病院 研修医)

<力を入れて取り組んでいる事>
基本的には研修医という立場で地域の町中にある病院で数カ月ごとに、内科や外科や診療科を回って臨床を行っています。また、「マチマニア」という研修医を含んだ医療関係者のグループの活動を行っています。具体的には定期的に、病院で待っているだけでなく地域の町内会や商工会議所等に呼ばれて、そこで暮らしているおじいちゃんやおばあちゃんから、医療にまつわるよもやま話を聞いたり、子供向けの健康教室を行ったりしています。

<心に残るできごと>
活動の一環で町内が主催する敬老会にお邪魔しました。そこで簡単なゲームをして、医療を含めて最近困っていること等のお話を伺いました。会が終わった後に参加した女性から、「こんなふうに話を聞いてくれるドクターは今までいなかったので、本当に涙が出るほどうれしい。」というお言葉をいただきとても励まされました。
他にも、こちらがどういったイベントを企画したらいいかを考えていた時に、地域の方から「もっと私たち地域を頼っていいんだよ。」と言われたのは意外でした。
我々医療者は無意識に医療や健康に関しては、こちらが主導者だというイメージを持っていましたが、実際には地域の人は自活しで行動できる、大きなパワー持っています。そういったパワーがあるから医療者も受け入れてもらっているんだなと改めて感じました。

<現場の課題>
ドクターの中でこういった地域に出るということに、興味を持っている人が少ないのが現状です。一因として、僕たちドクターは大学の医学部を卒業していますので、基本的な医学知識に関しては時間をかけた教育を受けていますが、「医療者として人とどう接するか」とか、「この地域にはどういった医療のニーズがあるか」といったことの考え方やとらえ方は、ほとんど教わっていません。本来、医学部を志望してくれる学生さんの多くは人と交わって、誰かのために、何かのために、貢献するこということに興味を持っています。大学生活を送るうちに最初の熱意がだんだん薄れていってしまうのかなと考えています。僕たちのグループ「マチマニア」としては大学教育等にも関わることで、熱意を持った医者を増やして現場で活躍できる方をもっともっと増やしていきたいと思っています。
 
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