健康ライブラリー 2018年10月28日

健康ライブラリー / ライフ・ヘルスケア

●教えてドクター 

★10月のテーマ「乳がん治療の最新情報」

名古屋大学医学部付属病院 手の外科
平田 仁 先生

20世紀末までリンパ管というのは忘れられた脈管と呼ばれていました。専門家もほとんどいませんでしたが、この20年位の間に随分進歩してきました。乳がんの治療をされている先生方にもがんの治療に成功した後の問題について、配慮していただけるようになりました。早い段階で見つけて私たちの所に紹介いただけるようになっていますので、そういった指導があった時には積極的に行っていくことがその後の生活の質にとって大変重要になります。私たち名古屋大学では専門のリハビリの先生にかからなくても自宅で治療できるような新しい器材の開発も行っています。お家で簡単に使えるような物ですので、そういった物を使った有効性の確認について研究もしております。そういった情報も含めて市民の方に積極的に情報提供しています。今、乳腺外科の先生方と協力しながら、リンパ浮腫に対する市民公開講座を行っております。定期的に行っておりますが、直近のところでは11月25日に名古屋大学の鶴舞キャンパスで朝10時から2時間ほど乳がんの最新治療とリンパ浮腫の最新治療についての市民公開講座を行います。参加希望の方は直接来ていただいても大丈夫ですし、私たちが運用しているハンドフロンティアというNPO団体のホームページにアクセスしていただくと事前申込ができます。
 

●スマイルリポート~地域の医療スタッフ探訪 

名古屋大学 大学院医学系研究科 地域医療教育学講座
末松 三奈 先生

<力を入れて取り組んでいる事>
私たちの所属する地域医療教育学講座では地域医療に関する学生の教育を行っています。地域医療にとって欠かせないテーマとして認知症の問題がありますが、地域で支える仕組みやその取り組みについての教育と研究活動に特に力を入れています。今年の春からスコットランドとの共同研究を3年計画で開始しました。スコットランドのアバディーンにあるロバートゴードン大学と多職種連携教育というものを通して国際交流を行ってきたことがきっかけです。認知症の医療と介護の現場でも多職種連携が重要と考えられます。そういった観点からイギリスでは認知症を国家戦略として取り組んでおり、スコットランドでもこの数年で認知症に関する取り組みがさかんになってきています。日本ではロングタームケアとして介護保険制度がありますが、その細やかなケアに対してスコットランドの方からも興味を持たれたことがあります。そこで、この度共同研究を行うこととなりました。

<心に残るできごと>
今年の7月に私自身がスコットランドに行き、認知症医療と介護に関わる医療及び福祉施設の職員やボランティアの方々15名にそれぞれの方が担当している現場を訪問してインタビューを行いました。今回は残念ながら認知症当事者の方のインタビューを録音することには許可が出なかったのですが、その時に接することができた経験を一部お話させていただきます。特に印象的だったのは、日本人である私がデイサービスを行っている施設を訪問したことがきっかけで、認知症を有する高齢の参加者のお一人が50年以上前に経験したと思われる朝鮮戦争時代に覚えた日本語で挨拶をされて、日本の歌を得意そうに歌ってくれたことです。一人ずつ自己紹介をしてくださっている最中に日本人である私を見て思い出してくれたんですね。参加者は15名程度だったのですが、皆さんその施設に行くことを楽しみにしている様子で笑顔でいらっしゃることが印象的でした。

<現場の課題>
認知症の当事者だけでなく、当事者を介護する介護家族に対するケアがまだまだ日本では遅れているかなという印象を持ちましたので、介護家族に対するケアを充実させていくのが今後の課題ではないかと考えます。
 
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