●教えてドクター
★10月のテーマ「乳がん治療の最新情報」
名古屋大学医学部付属病院 手の外科
平田 仁 先生
菊森先生のお話にもあったように乳がんの治療がとても進歩して生存する方がとても増えています。その中で乳がんの転移の問題を解決するためにリンパ節の切除を行います。リンパ節というのはリンパ管の非常に大事な基幹です。リンパ管というのは体液を輸送するための非常に大切な通路になっています。それが手術により壊されることによって、手や足がむくんできます。乳がんの場合は手がむくみます。子宮がんなどは足がむくみます。極端な場合には本来の太さの2倍、3倍になるリンパ浮腫と言われる状態になります。そして手の機能や足の機能がひどく障害されることが起こってきます。乳がんの治療に伴って切除するリンパ節はちょうど脇を中心とした場所にあります。その部分にちょうど腕からのリンパ節も合流しているので、腕の方からの体液の還流がうまくできなくなります。手は腫れが続くと繊維化がおこり組織が硬くなってしまいます。そうすると手がうまく曲がらない、あるいは力が入らない、伸ばそうと思ってもうまく伸ばせられないといった機能障害を起こします。手を腫らさないということがとても大事です。乳がん後のリンパ浮腫というのは典型的にむくみや腫れが長く続いた状態です。そういう刺激で繊維組織がたくさんできていってとても硬くなってしまいます。ひどくなると象のように非常に皺が深い皮膚に変化してしまいます。象皮病といわれるような極端な状態になります。早い段階でむくみをとる治療をしていくことが大切です。リンパ浮腫の難しさは、すぐにむくんでくる状態にならないことです。手術を受けてから早くて半年、普通は1,2年経って浮腫がでてきます。徐々に進む病気ですので、症状が進んでからですと、なかなか治りません。早い時期に専門医に診ていただいて治療を開始することが大事になります。
名古屋大学医学部付属病院 手の外科
平田 仁 先生
菊森先生のお話にもあったように乳がんの治療がとても進歩して生存する方がとても増えています。その中で乳がんの転移の問題を解決するためにリンパ節の切除を行います。リンパ節というのはリンパ管の非常に大事な基幹です。リンパ管というのは体液を輸送するための非常に大切な通路になっています。それが手術により壊されることによって、手や足がむくんできます。乳がんの場合は手がむくみます。子宮がんなどは足がむくみます。極端な場合には本来の太さの2倍、3倍になるリンパ浮腫と言われる状態になります。そして手の機能や足の機能がひどく障害されることが起こってきます。乳がんの治療に伴って切除するリンパ節はちょうど脇を中心とした場所にあります。その部分にちょうど腕からのリンパ節も合流しているので、腕の方からの体液の還流がうまくできなくなります。手は腫れが続くと繊維化がおこり組織が硬くなってしまいます。そうすると手がうまく曲がらない、あるいは力が入らない、伸ばそうと思ってもうまく伸ばせられないといった機能障害を起こします。手を腫らさないということがとても大事です。乳がん後のリンパ浮腫というのは典型的にむくみや腫れが長く続いた状態です。そういう刺激で繊維組織がたくさんできていってとても硬くなってしまいます。ひどくなると象のように非常に皺が深い皮膚に変化してしまいます。象皮病といわれるような極端な状態になります。早い段階でむくみをとる治療をしていくことが大切です。リンパ浮腫の難しさは、すぐにむくんでくる状態にならないことです。手術を受けてから早くて半年、普通は1,2年経って浮腫がでてきます。徐々に進む病気ですので、症状が進んでからですと、なかなか治りません。早い時期に専門医に診ていただいて治療を開始することが大事になります。