健康ライブラリー

健康ライブラリー 2018年10月7日

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●教えてドクター 

★10月のテーマ「乳がん治療の最新情報」

名古屋大学医学部付属病院 乳腺内分泌外科
菊森 豊根 先生

乳がんの患者さんは調査の結果からも増えていることは確かです。日本の女性の一生涯における乳がんの罹患率は12人に1人です。12人に1人というと、高校生や中学生の同級生で20人位の女の子がいたとして、その中で2人位が亡くなるまでに乳がんにかかってしまうと考えるとイメージがわきやすいと思います。乳がんが他のがんとあきらかに違うところは、30代、40代位の頃は他のがんに比べ罹患率が高いです。その年代は子育て世代や、社会的に重要な責任が発生し始める世代とちょうどオーバーラップします。非常に社会的影響が大きいがんだと思います。乳がんは女性のがんの中では、患者さんの数でいうとトップになります。罹患数はトップなのですが、実際に乳がんになって亡くなる患者さんの数でいうと3位か4位になります。しっかりとした治療をすればまずは治る病気です。ステージ1やステージ2といわれる、早期で乳がんが見つかっている人であれば、5年生存率は9割を越えるような状況です。他のがんと若干異なることとしては、5年生存率と10年生存率で違いがあります。5年目から10年目にかけても完全に治らずに亡くなる方もいらっしゃいます。長期戦になるというのも乳がんの特徴だと思います。早期に専門医の先生と関わりながら適切な治療を受けることで、良い結果が得られるがんだと言えます。

●スマイルリポート~地域の医療スタッフ探訪 

小澤 浩美 さん(総合上飯田第一病院 歯科衛生士)

<力を入れて取り組んでいる事>
肺炎は日本人の死亡原因第3位で、そのうち口の中の細菌が原因で発症すると言われている誤嚥性肺炎は7割と言われています。特に高齢の方は入院することで今まで自分でできていた口のケアができなくなったり、寝込むことで筋力が低下したりすることで、誤嚥しやすくなり、誤嚥性肺炎リスクが一気に高まります。入院中に誤嚥性肺炎を発症させることのないよう、リスクの高い患者さんには早期に専門的なケアを行い、口の中の細菌数を減らすことで予防につなげています。また口の中の状態に合わせ、その方の食べやすい形態を管理栄養士と検討し、食事を十分に摂取できるようサポートを行っています。口の中の細菌は誤嚥性肺炎だけでなく、全身に影響を及ぼすことがあると言われています。そのため糖尿病教室、妊娠前期の母親教室、0歳児の親子を対象とした口の衛生指導にも取り組んでいます。

<心に残るできごと>
当院は緩和ケアを行っており、歯科衛生士も緩和ケアチームの一員として活動しています。多くの方は「さっぱりした。気持ちいい。」と笑顔を見せて下さいます。活動間もない頃、これまでご自身で歯を大事にされてこられた方が、自分でしっかり歯を磨くことができなくなり、「このまま歯がぼろぼろになって死んでいくと思っていたから、すごく嬉しい。」と笑顔を見せて下さいました。その方の体調に合わせてケアを行うことで、私の訪問を「待っていた。」と笑顔で迎えてくださるようになりました。その時に口の衛生管理だけでなく、患者さんの気持ちに寄り添うことの大切さを教えていただきました。

<現場の課題>
誤嚥性肺炎の予防には口のケアが重要であることは、周知されてきており、施設や病院に歯科衛生士が配置されるようになってきました。しかし在宅においては、訪問で治療やケアを受けられることをご存知ない方が多いように感じています。「入れ歯が合わなくなったが、歯科医院へ連れて行くことが難しく、食べられる物が限られてしまう。」ということをよく耳にします。皆さんが歯科医院へ治療や定期検診に行かれるように、在宅要介護の方も自宅で治療や定期的ケアが当たり前に受けられるような環境づくりが今後の課題であると感じています。
 
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