健康ライブラリー

健康ライブラリー 2018年9月16日

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●教えてドクター 

★9月のテーマ「過去の病気ではない“感染症”」

名大大学院 医学系研究科 臨床感染統御学
八木 哲也 教授

麻疹は俗にいうはしかのことですが、麻疹ウイルスが引き起こす感染症です。気道やリンパ節等に感染する全身の病気で、全身に広がる赤い発疹が特徴的です。臨床経過は10日から2週間位の潜伏期(感染してから症状がでるまでの期間)を経てからまず発熱をします。カタル期と言いますが、熱や咳がでる風邪のような症状が出た後に、一旦熱が下がり再度熱発し、発疹が出てきます。耳の後ろや首や顔から始まって、全身に広がる赤い発疹が出て自然に治っていきます。ところが時には肺炎や脳炎を合併して、お子さんが亡くなることもある非常に怖い病気です。日本では予防接種が広がったことによって、日本で固有に流行していた麻疹ウイルスは日本から排除された状態になっています。日本で発生する麻疹の大部分は海外から輸入された麻疹ということになります。最近では台湾からの旅行者が発疹や熱があっても、人の多い場所を無理して観光して回ったために、沖縄で流行が広がったということもありました。感染を防ぐためには自分がしっかりとワクチンを接種して、麻疹にかからないように予防することが大切だと思います。

●スマイルリポート~地域の医療スタッフ探訪 

草田 典子 先生 (一宮市 井上内科クリニック 医師)

<力を入れて取り組んでいる事>
出会った患者さんを最期まで支えていくということを大切にしています。病院に行くのは検診だけといったお元気な時から、何かしらの病気を患って外来に通っている時、通えなくなって在宅診療が必要になった時、そして最期の時まで継続して満足のいく人生になるようにお手伝いがしたいと思っています。

<心に残るエピソード>
「病院ではもう食べることは無理ですよ。」と診断されて退院してきた患者さんが、在宅でリハビリを根気よく続けていただいていました。言語聴覚士さんや訪問看護師さんや栄養士さんといったたくさんのスタッフに手伝ってもらうのですが、少しずつでも「おいしい」と言って食べられるようになっていただいた時にはとても嬉しく思いました。医者一人ではできないことも、看護師さんやケアマネジャーさん介護士さん等色々なスタッフに手伝ってもらうことで、在宅でできることはすごく広がります。

<現場の課題>
医者が足りないことが一番の課題だと思います。病院でも医師不足と言われていますが、在宅医療を担う医者はもっと不足しています。忙しすぎて私たちもスキルアップする時間が少ないことも課題です。また私自身もアルツハイマーの母を介護しながら働いていることが大変な点です。私は仕事の間は母をデイサービスにお願いしていますが、社会資源がうまく使えていない利用者さんやご家族がたくさんいらっしゃいます。介護していらっしゃる方にもご自身の生活があるので、皆さんには仕事を辞めないでいて欲しいと思います。介護される側もしている側も笑顔で生活できることが大事だと思っています。患者さんと私たち医療者の距離が縮まるといいなと思っています。
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