健康ライブラリー

健康ライブラリー 2018年9月2日

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●教えてドクター 

★9月のテーマ「過去の病気ではない“感染症”」

名大大学院 医学系研究科 臨床感染統御学
八木 哲也 教授

結核の患者さんはまだ少ないとは言えない状況です。世界的にみますと先進国の中では日本はまだ中蔓延国で、ヨーロッパやアメリカ等の先進国に比べますと、罹患率(新しく罹る患者さんの数)は、まだ高い状態です。今ようやく人口10万人あたり13人程度に減少してきていますが、毎年新しく罹る患者さんが1万7千人ほどいます。結核菌は人に感染しても、病気になるかどうかはその人によりけりです。大半の人は結核菌に感染しても、自己の免疫力で抑え込んでしまいます。ところが結核菌は抑え込まれていながらも体の中に潜んでいて、我々の免疫力が落ちてきた時に再燃してきます。現在日本で多い結核は、昔罹患率が高かった時代に感染を受けた人が年をとって、体内に潜んでいた結核が再燃してくるというタイプです。ですから高齢者の方が結核になることが多いのです。

●スマイルリポート~地域の医療スタッフ探訪 

 杉戸 順子 さん 
(名古屋市医師会 中区在宅医療・介護連携支援センター   医療ソーシャルワーカー)

<力を入れて取り組んでいる事>
地域の方に在宅療養のことや医療と介護に関わる専門職のこと等を知っていただく啓発活動に力を入れております。名古屋市の中でも高齢化率の低い中区では「まだ先のことだ」と感じていらっしゃる方にも関心を持っていただきたいと思い取り組んでおります。昨年は11月11日の介護の日に「在宅医療と介護 中区民のつどい」という地域住民向けのイベントを開催し、講演会や介護ロボットの体験会を行いました。引き続いて今年も11月11日の「介護まつりinなか2018」と同時開催で講演会や在宅療養のパネル展を開催する予定です。

<心に残るエピソード>
90代でありながら自立して生活されていた方が、転倒による骨折を機にベッド上での生活となった退院支援が心に残っております。リハビリテーション病院に入院中は、会話もできず食事もすり潰してとろみをつける必要があり、車椅子にも移れない状態でした。60代の娘さんとの二人暮らしでしたが、お仕事もあり介護力も足りないと心配されておられました。病院は退院時に施設へ入所することをすすめていました。それでもご本人とご家族の強い希望で在宅療養を選択されました。退院前に病院へ出向き、ご家族、ご本人とお会いしてケアマネさんや病棟の看護師さんを交えて在宅医療や介護の相談を受けました。ご家族の希望を聞いて、ご自宅近くの在宅医の先生に相談して、緊急時やレスパイト(介護者の休養のための入院)も含めて支援グループを組んでの退院となりました。退院当初は不安になったご家族から当センターへ電話をいただくこともありましたが、ご自宅へ戻られ徐々に回復され、お好きな物を召し上がれるようになり、心配していた緊急入院もなく車椅子でデイサービスにも通えるようになりました。在宅医の先生から「ご家族もゆったりとした気持ちで介護に取り組んでいるよ。」と報告をいただいた時は嬉しかったですし、在宅療養の力はすごいなと改めて思えました。

<現場の課題>
「名古屋市医師会 在宅医療・介護連携支援センター」のことがまだまだ市民の皆様に知られていないなと感じています。イベントに足を運ばれた方からは「在宅療養って何?」、「将来のために聞いておきたい」という声をいただくのですがセンターの窓口に相談にこられたり、お電話をいただいたりということは少ないです。普及や啓発は私たちの大切な仕事ですので、困ってからでなくても一般的な質問等も気軽にお電話いただけるような窓口になればと思っています。名古屋市医師会では9月15日まで「在宅医療・介護連携支援センター」の愛称を募集しています。愛称が決まって地域の皆様に覚えていただけると嬉しいと思います。
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