●教えてドクター
あいち診療所 野並
野村秀樹 先生
在宅医療を安定して受けるには、事前の準備や心構え、色々なスタッフの協力を得る体制をつくることが大事です。例えば、入院中に自宅への退院を考えている場合は相談室等に相談していただくと、訪問してくれる医師を探したりしてくれます。医師ではなく看護師だけが訪問して、体調の管理をしたり相談にのってくれたりする制度もあります。また、生活が成り立たないと在宅医療はできません。生活を成り立たせるためにはケアマネジャーさんの力をかりて、本人の希望や病状や身体能力に応じてヘルパーさんに来てもらったり、車椅子を用意してもらったり、訪問入浴サービスを手配してもらったりということをしていきます。その時には自宅に帰ってどういうことをしたいのか、どういうことはしたくないのか、ということを是非伝えていただいた方がいいです。例えば、お風呂が好きでお風呂に頻回に入りたいのであれば、そのサービスを増やしてもらう。あるいはベッドから離れて椅子に座って庭を見たいということであれば、ベッドから離れて椅子に座るための援助をしてくれるヘルパーさんや車椅子を用意してもらう。そういったことを整えていく必要があります。
いよいよ退院が近づいたら、入院している病院のスタッフと在宅で関わるスタッフとが集まって打合せをするのが望ましいです。その目的はお互いに集まって専門家同士が、病気の状態や今後の見通しや治療方針を引き継ぎ、スムーズに在宅療養ができるようにすることです。もう一つは退院して自宅で過ごしていて、もし調子が悪くなった時に、誰がどのような手順でどこへ相談をするのかということの役割分担を改めて決めていくことです。この時には大体、ご家族やご本人も同席される方が多いので、そこで「家に帰ってこういうことが心配だ」とか「こうなったらどうすればいいんだ」等不安や疑問は是非その場で、相談しておきましょう。
もう一つ大事な事ですが、往々にして患者さんを介護するご家族の方が、頑張りすぎて倒れてしまうことがあります。一番大事なのはご家族の方の疲れをためないということです。患者さんのためというよりもご家族のために、ヘルパーさんに入ってもらう、あるいはリハビリに出て行ってもらう、ということも考えていく必要があります。