健康ライブラリー

健康ライブラリー 2018年8月26日

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●教えてドクター 

★8月のテーマ「在宅医療の最新事情」

あいち診療所 野並
野村秀樹 先生

在宅医療を安定して受けるには、事前の準備や心構え、色々なスタッフの協力を得る体制をつくることが大事です。例えば、入院中に自宅への退院を考えている場合は相談室等に相談していただくと、訪問してくれる医師を探したりしてくれます。医師ではなく看護師だけが訪問して、体調の管理をしたり相談にのってくれたりする制度もあります。また、生活が成り立たないと在宅医療はできません。生活を成り立たせるためにはケアマネジャーさんの力をかりて、本人の希望や病状や身体能力に応じてヘルパーさんに来てもらったり、車椅子を用意してもらったり、訪問入浴サービスを手配してもらったりということをしていきます。その時には自宅に帰ってどういうことをしたいのか、どういうことはしたくないのか、ということを是非伝えていただいた方がいいです。例えば、お風呂が好きでお風呂に頻回に入りたいのであれば、そのサービスを増やしてもらう。あるいはベッドから離れて椅子に座って庭を見たいということであれば、ベッドから離れて椅子に座るための援助をしてくれるヘルパーさんや車椅子を用意してもらう。そういったことを整えていく必要があります。

いよいよ退院が近づいたら、入院している病院のスタッフと在宅で関わるスタッフとが集まって打合せをするのが望ましいです。その目的はお互いに集まって専門家同士が、病気の状態や今後の見通しや治療方針を引き継ぎ、スムーズに在宅療養ができるようにすることです。もう一つは退院して自宅で過ごしていて、もし調子が悪くなった時に、誰がどのような手順でどこへ相談をするのかということの役割分担を改めて決めていくことです。この時には大体、ご家族やご本人も同席される方が多いので、そこで「家に帰ってこういうことが心配だ」とか「こうなったらどうすればいいんだ」等不安や疑問は是非その場で、相談しておきましょう。

もう一つ大事な事ですが、往々にして患者さんを介護するご家族の方が、頑張りすぎて倒れてしまうことがあります。一番大事なのはご家族の方の疲れをためないということです。患者さんのためというよりもご家族のために、ヘルパーさんに入ってもらう、あるいはリハビリに出て行ってもらう、ということも考えていく必要があります。

●スマイルリポート~地域の医療スタッフ探訪 

西岡恵子さん (さくららん薬局 薬剤師)

<力を入れて取り組んでいる事>
1年ほど前から在宅医療に関わるようになり、患者様のご自宅や施設に伺うようになりました。患者様にお会いすると薬の服用状況をはじめ、全身状態や足のむくみや床ずれが無いか等を確認しています。医療関係者の間では、床ずれのことを褥瘡といいますが、褥瘡は私の得意分野でもあります。先生や訪問看護師さんが訪問されない日に伺って、褥瘡の状態を見せていただいています。褥瘡治療には軟膏がよく使われますが、薬剤師はその軟膏の特性をよく知っています。薬剤師が治療に関わることによって、早くきれいに褥瘡を治していければと思っています。

<心に残るエピソード>
施設の看護師さんより、入所されている患者様の褥瘡がなかなか治らないので見て欲しいと依頼がありました。褥瘡の創の味方や軟膏の塗り方等、アドバイスさせていただいたところ、今まで治らなかった褥瘡がみるみる治っていったので施設のスタッフさん達にとてもびっくりされました。「褥瘡は治らないと思っていたけどきちんと処置をすれば治るんですね。」と喜んでいただけました。褥瘡が治っていくにつれ、施設のスタッフさん達のやる気も今まで以上にでてきたように感じました。また自分達にも褥瘡を治せるんだという自信にもつながったようでした。

<現場の課題>
在宅では他の職種の方と連携をとるのが難しく、自分達がどこまでやっていいのか、他の職種の方々にどこまでやってもらえるのかわからず、はがゆい思いをすることがあります。今の職場の社長に出会い、医療関係者に関わらず色々な職種の方達とつながりを持つことの大切さを教えていただき、つながるきっかけも作っていただきました。実際にお会いすることで、顔が見え、相談しやすくなり、わからないことも質問しやすくなりました。さらに地域にどんな人がどんなお店をやっているのか、知ることができ、甘い物がやめられない患者様には「あそこのケーキやさんで糖質オフのケーキが買えますよ。」と紹介できるようになりました。地域での横のつながりをもっと広げていき、遠くへ行かなくても、患者様の家の近くで病気の予防や治療ができる環境が作れればと思っています。
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