健康ライブラリー 2018年8月19日

健康ライブラリー / ライフ・ヘルスケア

●教えてドクター 

★8月のテーマ「在宅医療の最新事情」

あいち診療所 野並
野村秀樹 先生

在宅医療の目的というのは在宅で死ぬことではありません。あくまでもその人が残された人生をその人らしく過ごすための場を提供する手段として、在宅医療があったり病院があったり施設があったりします。それを大前提として押さえておいていただきたいです。
その上で一番大事なことはご本人の希望です。家で過ごしてみようという思いと、家で過ごすには病院とは違うという、ある程度の覚悟が必要になってくると思います。実際には今の日本ではお一人で生活してみえる方も多いです。一人暮らしだと在宅医療ができないということはありません。ただ周りで支えて下さる家族の方の支援(精神的な支援、物理的な支援、金銭的な支援)があればさらに安定した在宅生活が送れると思います。

今は医学や医療あるいは制度が発展してきていますので、かなり重い病状の方でも自宅で暮らせるような医療機器や薬や治療方法が発達しています。実際に人工呼吸器を着けているような方や、がんで残された時間が本当に短い方も在宅で最期まで暮らされる方もめずらしくありません。病気の重さだけで在宅医療をあきらめるとか、病気が軽いから在宅医療が楽にできるとかはあまり関係無いと思っていただいた方がいいと思います。

相談窓口としては、ある程度の大きな病院には「患者相談室」「地域連携室」というような専門の部署があります。そこに相談していただくのが一番いいと思います。元々のかかりつけの先生がみえる場合は、一度かかりつけの先生に相談されるのも良いと思います。また、介護認定を受けていてケアマネジャーがいる場合は、そのケアマネジャーに相談してみてもよいと思います。

●スマイルリポート~地域の医療スタッフ探訪 

藤田寛子さん(管理栄養士 総合上飯田第一病院)

<力を入れて取り組んでいる事>
私たち管理栄養士が患者さんに接する時感じることは、生活習慣病を伴う過剰摂取や偏りに加え、高齢化が進み栄養不足が混在することです。そのため一人一人に合った栄養食事指導をすることが私たちには求められます。食べることは楽しみでありますが、生きていくうえで必要な栄養を摂取することも大切です。ただ様々な原因で食べることが困難になる場合があります。私たち管理栄養士は栄養サポートチームと言われるNST等医療チームの一員になり、いち早く食べられない患者さんを見つけ出し、また地域と結びつき患者さんが自宅に戻ってもその人らしく生き生きと過ごせるよう寄り添い、サポートできるよう日々取り組んでいます。

<心に残るエピソード>
私が管理栄養士として就職した当時は、まだNST(栄養サポートチーム)の認知度は低かったのですが、上司の積極的な活動により数年後当院にNSTを立ち上げることができました。そんな頃病態も安定して、後は食事が摂れるようになれば自宅に帰れるという患者さんがみえました。栄養士として必要量、不足量を計算し嗜好も聞き取り、濃厚流動食を使う等色々試しましたが、一向に変わりません。栄養士として困り果てていた頃にNSTのおかげだと強く思ったことがありました。NSTでは「この薬がいけないのではないか?」「あの薬を使ってみようか?」「環境改善も大切かも。」「食堂だと周りに気が散ってしまうので自分部屋で食べてもらおう。」「患者さんの好物を家族の人に持参してもらい、好きな音楽も流して一緒に食べてもらっては?」等々チームから様々な意見がでました。そして当日私はどきどきして、そっとその光景を見ていました。するとなんと自分から食べられたのです。「信じられない!」私は嬉しくて嬉しくて仕方ありませんでした。「あんなに悩んでいたのがうそみたい。」今でもあの感覚をはっきり覚えています。患者さんのプランは各担当者が持つものではなく、チーム全体が関わって作るものだと実感しました。それからは常に多職種と連携することで見えてくるものが変わりました。

<現場の課題>
高齢化が進んでいる今、誤嚥性肺炎を繰り返す患者さんや、認知症等で食事がとれない患者さん等低栄養リスク判定の方がたくさんいらっしゃいます。このような人が入院して、栄養状態を改善して退院した後また入院するケースが多々あります。このパターンを少しでも回避するため、今私たち管理栄養士には医療、介護との連携が強く求められています。課題は地域の嚥下調整食の統一をすることです。それによりいつでも適切な食形態が提供できると考えています。また施設間の情報共有を確実に行う体制を構築することが入退院、再入所の繰り返しを防ぎ、重症化予防にもつながるのではないかと考えます。低栄養、嚥下障害の患者さんを中心に今年から当院でも在宅訪問栄養食事指導を始めました。2025年には団塊の世代が75歳を迎えます。自分の最期ほど自分らしくあって欲しいと思います。そのために私ができることを、これからも見つけていきたいと思います。
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