健康ライブラリー

健康ライブラリー 2018年7月15日

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●教えてドクター 

★7月のテーマ「すい臓がん」

名古屋セントラル病院 院長
中尾 昭公 先生

すい臓がんについては、一般的には症状がでて初めて病院を訪れることがほとんどです。どうしても進行がんの状態で病院に来ることになります。すい臓がんに特化した人間ドックを受けるような事をしない限りは見つかりません。すい臓がんということがわかってからの検査は非常に進んでいます。がんがどれほど広がっているかとか、このがんは手術して取れるとかいった検査は、現在のCTやMRIでよくわかるようになってきました。すい臓がんがすい臓の中だけにとどまっている場合は、手術が可能なことがほとんどです。ところがすい臓の周囲に広がると、大事な血管がたくさんありますので、手術が非常に困難になります。血管を合併切除して繋ぎなおすことになったりして、進行がんの治療は技術的に困難なことが多いです。多く見つかるのは、すい臓にがんがあって既にそれがお腹中に飛んでいたり、リンパ腺に飛んでいたり、肝臓にも飛んでいたりします。そういう状態で見つかると、もう手術では治すことはできません。家族歴があったり、糖尿病が急に悪くなってきたり、若いのに急に糖尿病がでてきたりした場合は、裏にすい臓がんが隠されていることがあります。そういったことは頭に置いておいた方がいいと思います。また年に1回はCT(造影CT)を撮ってもらったり、腫瘍マーカー(CA19-9)を採血によって測ってもらったりすると良いと思います。

●スマイルリポート~地域の医療スタッフ探訪 

本田 文祐さん(居宅介護支援センターわたなべ ケアマネージャー)

<力を入れて取り組んでいる事>
私の勤務する事業所は渡辺病院内にあります。そのため医療との距離が近く、利用者様に対して医療従事者と連携して支援ができることが、事業所の特色となっています。平成30年度の介護保険改正により、医療と介護の連携の強化が求められました。今までも当然ながら医療と介護は連携しなければならなかったのですが、実際にはあまりうまくいってなかったのが現状です。我々は医療機関にある事業所として、地域にある他の事業所に対して、医療と介護の連携の見本となる事業所を目指して日々取り組んでいます。

<心に残るエピソード>
ケアマネージャーになりたての頃に、ALSの難病の患者様を担当させていただいた時のお話です。その方は自身の意志ではなく、家族の意志にて人工呼吸器を着けられていました。奥さんが毎日、朝から夜まで寝る時以外は一生懸命介護をされていましたので、私の目からは病気があっても幸せな夫婦という印象でした。二人のコミュニケーションは文字盤かパソコンで行われていたのですが、ある時奥さんの携帯に「死にたい」と本人さんからメールが届いたのです。奥さんは大変ショックを受けられて、本人にも直接怒りをぶつけられました。しばらくは険悪な雰囲気が家庭内に流れていましたが、奥さんもわかっていたのだと思います。もう奥さんが介護をすることが限界であることを考え、本人さんが奥さんのために「死にたい」とおっしゃったのです。しばらくして本人さんはお亡くなりになりました。このお宅でのことを振り返った時、いつも私は「何もできなかったなあ」と感じます。10年たった今でも「何ができただろう」と考えた時に、できることが何も思いつかないのが現状です。ただそのことを考えて探し続けていることが、私がケアマネージャーの仕事をする上での大切な礎になっています。

<現場の課題>
現状としましては、社会資源の不足が課題です。我々の事業所は知多半島の南部にあり、介護サービス事業所の数も少なく、自治体が行うサービスも少ないです。介護が必要になっても最期まで住み慣れた自宅で生活するためには、介護サービスだけではなく様々な支援が必要になります。現在でも希望するサービスを受けることができないケースは多々あります。また配食サービスのように、介護保険ではなく自治体が行うサービスもありますが、これも昨今の社会情勢により縮小傾向にあります。あまり知られていませんが介護支援専門員の役割の一つに社会資源の開発があり、実際に自治体に何度か働きかけも行っております。今後も増え続けるニーズに対応できるように、利用者の代弁者として声をあげることが必要だと考えております。
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