健康ライブラリー

健康ライブラリー 2018年6月24日

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●教えてドクター 

★6月のテーマ「高齢者の目の病気」

名古屋大学病院 眼科 教授
寺崎 浩子 先生

「生活習慣病と目の病気」

眼に深い関わり合いがあると思われる病気について、1番目は糖尿病網膜症です。糖尿病があると眼の毛細血管が変化を受けます。そしてその毛細血管が少しずつ詰まっていくと、色々な物質が眼の中に発生します。その物質が血管を「生やせ、生やせ」と言って眼の中につくしのように血管が生えてきます。そこまでは症状が無い場合があります。その血管が切れたとたんにカラスのような黒い物が眼に飛んだり、いきなり見えなくなったりします。出血したことを自覚した時に病院に行っていただければ至急に治療いたしますが、正常な視力を保てるかどうかはわかりません。やはり眼に症状が無い時でも糖尿病がありましたら、または糖尿病の疑いがあると言われていたら、すぐに眼科に行かれて検査をすることが必要です。症状が悪くなって失明してしまう方は、治療を途中で中断している方が多いです。これは糖尿病の治療もそうですし眼の検診もそうです。眼に関わりがあると思われる病気の第2番目は動脈硬化等で血管が閉塞するという病気です。これも色々な注射の治療等ございますので何か症状がでた場合には眼科の先生で治療ができますので受診していただければ良いのですが、まずは高血圧や糖尿病等全身について治療するために病院へいくことが大事だと思います。糖尿病の方は非常に多く、その中で「私は糖尿病の状態は非常に良いから眼も大丈夫でしょう。」ということで眼科にいらして無い方がたくさんいます。先生の方も安心されているかもしれません。全身の血糖コントロールが良くても、眼の症状がかってに進むことがしばしばあります。糖尿病と言われたら必ず定期的に継続的に眼科にかかっていただきたいと思います。

●スマイルリポート~地域の医療スタッフ探訪 

岡本 夏子 先生(管理栄養士 名古屋文理大学健康生活学部 助教) 

<力を入れて取り組んでいる事>
NSTと言いまして栄養サポートチームの活躍に力を入れています。適切な栄養管理によって病気の治りが早まり、院内感染も予防できて何よりも患者さんが元気になります。NSTの役割は患者さんの栄養状態や適切な栄養管理がなされているかを評価し、最も適した栄養管理の提案をします。さらに栄養障害の早期発見や治療、そしてスタッフへの新しい知識の啓発等、栄養に関するすべてを管理することです。私は早速勤務する総合病院で、NSTの立ち上げに取り組み、管理栄養士の病棟担当制の導入、勉強会の継続に努めてきました。現在はその経験を活かし管理栄養士養成校で、臨床栄養管理論・教育論を担当して医療に貢献できる管理栄養士の育成に努めております。

<心に残るエピソード>
15年ほど前のことなのですが、糖尿病の壊疽で片足の切断を余儀なくされた70代の男性の症例についてです。血糖コントロールを目的に厳しいエネルギー制限が課せられました。空腹に耐えられず夜もかくれて間食をするようになり、血糖値は安定せず手術の予定が組めませんでした。そこでスタッフの間で相談をして、患者さんの空腹感と壊疽の進行と予後を考慮して医師に多めの栄養量の設定とインスリン療法を提案して日々モニタリングをしました。その結果、心も血糖値も安定してスタッフとの信頼関係も取り戻すことができ、笑顔で退院日を迎えることができました。患者さんの「ありがとう。麻酔から覚めて足が残っていて良かった。」という言葉を聞いて、足をなでて一緒に泣きました。その時の感動は忘れられません。

<現場の課題>
2025年には団塊世代の方が75歳以上になって、100万人にふくれあがると予想されています。介護福祉施設との連携が、そして看取りが必要となると考えております。今後は訪問診療の需要が増えてきます。健康の基本は運動、休養、栄養だと思っておりますし、食は命の源です。この「食は命の源」という言葉が私は大好きです。入院時の栄養計画書の作成から、退院時には栄養指導そして退院後のフォローができる体制作りを早急に整えることが必須と考えています。それには臨床に強い管理栄養士の育成と栄養ケアマネジメントが必要です。十分なフォローができるように病院や福祉施設に管理栄養士の増員を切にお願いしたいと思っています。
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