健康ライブラリー

健康ライブラリー 2018年6月17日

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●教えてドクター 

★6月のテーマ「高齢者の目の病気」

名古屋大学病院 眼科 教授
寺崎 浩子 先生

「加齢黄斑変性」

加齢黄斑変性は欧米の方では加齢に伴う失明原因の中で、一番多い病気と言われていました。最近注射の治療等で欧米でも失明原因の第二位くらいになりましたが、成人の失明原因の非常に多くを占めています。日本人も食生活が欧米化し、欧米人の眼の病気も増えています。加齢黄斑変性とは、加齢に伴い黄斑(眼の中心の黄色っぽい場所)が変性(物が壊れるという意味)するということです。眼の真ん中の黄斑が年齢によって壊れるという病気です。人間の眼は視力や色の感覚といったものの9割を、眼の中心だけで見ています。ですので、そこが壊れると視力が落ちてしまいます。緑内障等と違い眼の中心に症状がきますので、症状としては自覚しやすいです。早期発見は可能だと思っているのですが、それでも手遅れになってしまうのは両目で物を見ているからです。一週間に一度は片方の眼をつぶって両方とも大丈夫かということを確認していただければ、早期発見ができると思います。加齢黄斑変性が発症してきますと、眼の中心に出血したり水がたまったりします。そうしますと、例えばグラフ用紙のような格子縞を見ますと途中の中心の所でゆがんで見えたりします。物がゆがんで見える、線がゆがんで見えるというような症状で見つかることもあります。治療は活動性に応じて、眼の中に細い針で薬液を注射する方法が行われています。少なくとも進行を止めるようなことを行っていける治療になっています。加齢黄斑変性にかかるとなぜ出血したり水がたまったりするのかと言いますと、眼の中心に新しい血管が生えてくるからです。それが網膜という大事な神経の裏側に生えますので、なかなか治療が難しいのです。注射は毎月続けなくてはならないこともしばしばありますので、今後の治療の進歩が期待されるところです。iPS細胞という話を聞かれたことが皆様あるでしょう、血管を取り除いて代わりの細胞を移植できたらよいのですが、現時点では、治療が全くなかった時代もありましたから、症状が出たら注射薬の恩恵にあずかりましょう。予防には禁煙も重要です。

●スマイルリポート~地域の医療スタッフ探訪 

中村 了 先生 (渡辺病院 副院長 総合内科医)

<力を入れて取り組んでいる事>
国民病とも言える生活習慣病全般への対策を目的とした、ローカーボ食と言われる炭水化物を制限する栄養指導法の啓蒙活動をしています。この中で特に世間で大いなる誤解がある内容があります。そのゆがんだ理解が広まってしまうところが大変問題となっていますので、正しい知識の啓蒙活動をしています。1番目に、正しいローカーボ食の考え方ですが、長生きや寝たきり予防といった観点からすれば、ゆるやかな糖質制限が良いとされています。大体総カロリーの50%前後程度と考えられます。2番目に、体重は減らしすぎないということです。少なくともBMI(身長と体重のバランスの指標)からすると、22をきるのはまずいと思います。3番目に、脂質を増やすことや食べる量を増やすのは大事だということです。総カロリーの25%程度までは増やしたいです。30%程度まではいいかもしれません。4番目にタンパク質は植物性、魚、鶏肉でまかなうのが良いです。赤肉や卵は増やしすぎないようにし、特に加工肉は避けた方が良いです。5番目に人工甘味料等は控えた方が無難ではないかと言われています。人工甘味料は肥満や脳卒中や認知症のリスクになるかもしれないと言われています。こういったことを基本原則として栄養指導法を行っています。去年、ランセットという世界の一流誌においては、「実は脂を食べた方がむしろ長生きする。」というデータもでています。皆さんに健康常識として知られていることとしては、「やせた方が健康だ」あるいは「脂を減らした方が健康だ(特に動物性脂を減らした方がいい)」あるいは「糖質はどんどん減らせばいい」とか逆に「糖質は制限してはいけない」といった色々な噂があります。先程のローカーボ食の原則からしますと、いずれも正しくないやり方です。これを正しく修正していく、これまでの栄養学を正しい方向にもっていくということを指導させていただくのが課題と考えております。
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