健康ライブラリー

健康ライブラリー 2018年5月6日

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●教えてドクター 

★5月のテーマ「コレステロールの正しい知識」

名古屋大学病院 老年内科 教授
葛谷 雅文 先生

 元々コレステロールは人間にとってもなくてはならない栄養です。例えば細胞の膜を構成したり、ホルモンを作ったりと人が生きていく上でなくてはならない栄養の一つです。血液中のコレステロールには色々なコレステロールがありますが、いわゆる悪玉コレステロール(専門的に言うとLDLコレステロール)が高いと動脈硬化のリスクになるという事が色々な研究でわかってきています。コレステロールは元々大変重要な栄養素ですが、昔の飽食の時代ではなかった頃はあまり気をつけなくても良かったです。最近は飽食の時代で皆良いコレステロールが含まれている食べ物をたくさん食べるようになった事が、コレステロールの見方が変わってきた要因だと思います。コレステロールを含む食事を食べすぎるということもありますし、コレステロールを体の中で作ってしまう物をたくさん摂るようになったということです。例えばコレステロールだけではなくて飽和脂肪酸(動物性の脂、例えばラード)といった物をたくさん摂ると体の中のコレステロールが上がってしまいます。現代社会の我々の食生活の問題と大きく関わっている問題です。

●スマイルリポート~地域の医療スタッフ探訪 

黒田 あい さん(名古屋市 健康福祉局 感染症対策室 結核対策担当)

<力を入れて取り組んでいる事> 
結核を知っていただくということに力を注いでいます。結核というと昔の病気、特別でまれな病気等、色々なイメージがあると思います。しかい、日本では今もなお30分に一人の方が新しく結核に感染し、5時間に1人の方が結核が死因でお亡くなりになっています。特に名古屋市は定例市の中で大阪市につぎ2番目に結核を患っている方が多い都市です。毎日一人の方が新しく結核に感染し、一週間に一人の方が結核が原因でお亡くなりになっています。結核は空気中に漂う結核菌を吸い込んで、主に肺の中で増えていく病気です。空気感染によるものなので、知らず知らず誰もが感染する可能性があります。結核の症状は長引く咳、発熱といった風邪症状に似ているんですけれども、二週間以上良くなったり悪くなったりしながらも治らないようならば、結核を疑って医療機関にご相談して欲しいなと思っております。

<心に残るエピソード> 
長く咳が続いて体調不良があったものの、お仕事の関係でなかなか病院に行かれず、薬局でもらった薬を飲んで様子を見られていた方がありました。その方は職場で倒れてしまって病院に運ばれたところ、結核と診断されました。治療が遅れたので、肺の中は結核菌でいっぱいになってしまって肺には穴が空いてしまいました。増えた結核菌は肺から口へと溢れ出してしまって、家族や職場の方にもうつしてしまい、感染が広がったということがありました。結核は感染症なのでこの方も誰かに移されているんです。知らず知らずに誰かからうつって誰かにうつしてしまう病気です。ただ早く見つけていただければ、誰かにうつすこともなく服薬のみで治せる病気になりました。早めに受診していただいて年に一回胸のレントゲン撮影をしていただければ、結核の感染の広がりが抑えられますので多くの方に正しい知識を持っていただきたいなと思っています。

<今後の課題> 
結核を発病する方の約6割の方は70歳以上です。結核の症状は咳や痰等、風邪と同じような感じなのでお年を重ねた方は症状がとても出にくく、食欲不振や全身の気だるさのみという場合もあります。知らずに人にうつしてしまうほど悪化して、免疫の弱いお孫さんに感染が広がってしまうということもあります。感染の世代連鎖を断ち切るということも課題の一つと考えています。
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