健康ライブラリー

健康ライブラリー 2018年4月15日

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●教えてドクター 

★4月のテーマ「薬と薬局の最新事情」

金城学院大学 薬学部 教授
網岡 克雄 先生

 いくつかの医療機関にかかっていらっしゃる患者さんは、その近くの薬局でお薬をもらっているのではないでしょうか?別々の薬局でもらっていると、2つの処方、例えば皮膚科と内科からの処方となります。そうするとお薬の相互作用のチェックがどうしても不十分なります。かかりつけ薬局、かかりつけ薬剤師というのは、その薬局や薬剤師が一人の患者さんのすべての薬に関わることによって、総合的に患者さんの医薬品の管理をするということを目指しています。必要であればやはりたくさんの薬を飲まなければいけません。ただ、効果が重なっているものを2つ飲んで血圧等が下がりすぎたり、糖尿病の薬で血糖が下がりすぎたりすることがあります。お薬は余分に使ったら効果があるというものではなくて、害しかでてまいりません。このあたりに気を付けて薬剤師が管理しなければなりません。かかりつけ薬局、かかりつけ薬剤師をつくるためには、色々な相談をするために近い所がいいのではないかと思います。そして電話の連絡等ができるようになっていますので、相性が合う合わないがあると思います。そういうことも大切なので何人かの薬剤師に会って、「この人なら」という人を見つけるのも大切だと思います。かかりつけ薬剤師は同意書を取りますが、そういった契約書を書いて契約をすれば、その薬剤師が専門で患者さんの薬物療法のアドバイスにあたります。そして住居が変わったり薬剤師との相性が合わなかったりした場合は、途中で変更も可能です。

●スマイルリポート~地域の医療スタッフ探訪 

伊藤 奈穂さん(名古屋大学医学部附属病院 地域連携・患者相談センター 
医療ソーシャルワーカー)

<力を入れていること> 
現在は地域との連携に特に力を入れています。介護保険利用中の患者さんが入院した際のケアマネージャーさんとの介護支援連携や、退院後に訪問診療や訪問看護等を利用される患者さんに対して行う退院時のカンファレンス等、必要時速やかに他職種との連携をはかる事を目指しています。

<心に残るエピソード> 
卵巣がん末期の40代の女性の方とその方をそばで見守っておられた70代のお母さんとの親子の絆の深さを感じたエピソードがあります。その女性は病状の進行、悪化のために当院での治療が終了となり、緩和ケア医療に移行することになりました。元々親子二人暮らしで過ごされてきた方で、残された時間を母親とともに自宅で過ごされるのかそれとも緩和ケア専門の病院、いわゆるホスピスで過ごされるのか?私が退院支援で初めてお会いした時はまさにそんな選択にご家族が悩まれていた時でした。初回面談の際に娘さんのそばにお母さんが寄り添って座っていらっしゃったのを今でも覚えています。そんなお母さんから「家に連れて帰ってあげたい」と、ずっと一緒に過ごされてきたご自宅での療養の意向を伺いました。その際娘さんはお母さんの言葉に相槌を打っていらっしゃいました。その後お母さんが席を外された際、娘さんが私に「私の介護で母親が体調崩したりするのは絶対に嫌なんです」と言いました。ご自宅ではなくホスピスでの療養を強く希望されていることに私は驚きました。娘さんは自宅で過ごすことよりもお母さんが体調を崩さないことを一番の願いに療養の場所を考えていらっしゃいました。娘さんの了承を得て後日お母さんにこのお話をお伝えしました。娘さんの前では笑顔を絶やさなかったお母さんでしたが、娘さんの意向をお伝えたところ「昔から優しい子でしたから」とつぶやかれ、しばらく涙されていました。母親が子供をみとらなければいけない悲しみは計り知れません。それでも娘さんの前では絶対に泣かないと決めたのだと、その時お母さんがお話ししてくださったのが今でも強く心に残っています。

<現場の課題> 
高齢でお一人暮らしの方の支援が課題であると日々感じています。お話をうかがうと介護保険等のサービス利用を十分に検討できる状況であるにもかかわらず、これらのサービスを利用されて無い方が多くいらっしゃいます。患者さんが入院や外来受診を機に必要なサービスや地域の見守りが受けられるよう、早期介入を進めていきたいと思っています。
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