健康ライブラリー

健康ライブラリー 2017年10月1日

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●教えてドクター 

★10月のテーマ「LGBT」

名古屋大学医学部附属病院 泌尿器科 助教 
松尾 かずな 先生 

ヒトの性別は男と女の二つに分けられると言われますが、実際にはヒトも動物も、男と女の二つに簡単には分けられない場合があります。そういった皆さんのことを含めて多様性を表現する言葉として「LGBT」があります。「LGBT」はレズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーなどの性的に多様な人を指す言葉です。近年では様々な呼び方が提案されていますが、ここでは昔からある呼称として「LGBT」を使います。一般的な人口の中での「LGBT」と言われる人の割合がアメリカでは1割位といわれています。我が国では昨今、各種統計がでていまして5~8パーセント程度といわれています。これを別の表現にしますとAB型の人や左利きの人、あるいは苗字でいうと日本で一番多い鈴木さんや佐藤さんとほぼ同数になります。それほど、性的に多様性のある人がいるのです。「LGBT」は以前、病気として扱われてきました。しかし1990年にWHOで同性愛が病名からはずされました。その流れをうけて1995年に日本でも病名からはずされています。人数が多いということと、LGBTで社会的に不適応をおこすものではないということ、「LGBT」が治せるものではないこと、その他いろいろな方が普通に生活して活躍できるということもあり病気ではないと扱われています。多様性を認めるということは、「LGBT」でない人も含めて生きやすい社会になると考えられます。ですから、多様な人の存在をまず認識して、ともに歩んでいくということを受け入れながら一緒に活躍できる場をつくっていくのがいいのではないかと思います。「LGBT」への配慮が必要であると、文部科学省が2015年に通知をだしています。また、昨年9月に仕事現場のなかで、「LGBT」に対してきちんと対応しなければいけないというように雇用機会均等法の条文の解釈の変更がおこなわれました。そういった法制度や社会的な動きから考えても、多様な存在を認めて一緒に歩んでいく社会がつくられることが求められていると思います。

●スマイルリポート~地域の医療スタッフ探訪 

壱岐 英正 さん(渡辺病院 理学療法室長) 

<力を入れて取り組んでいる事> 
特に回復期から終末期までのリハビリに力を入れて取り組んでいます。今日本では寿命が延長していて、そのなかで意思決定が不十分なまま生活し続ける患者さんも多くなっています。そういった方のリハビリを行う機会が多くなっています。比較的軽度な方であれば活動や参加と言われる分野へのリハビリを行うと回復がみられますが、重度な方であると少しでも介助量が少なくなるとか人間らしさを取り戻すといったリハビリになりますので難しくなります。 

<心に残るエピソード> 
重度な脊髄損傷の方へのリハビリを行ったことがあります。その方は顔面と首の一部以外はすべての部位が完全麻痺で、受傷後1年して当院のリハビリにこられました。そして約7年間週2回のリハビリを行い、実は今年の春に息を引き取りました。その中で機能障害や活動の制限は改善しなかったのですが、患者さんには「もし医学の進歩で障害が治った場合にすぐ歩けるように準備しておきたい。」という希望がありました。それに対して装具といわれる物で歩く練習をし、関節が固まらないようなリハビリを行いました。それ自体では患者さんの日常生活の自立度はあがりませんでしたが、満足度の切り口でみると改善していてQOLの向上にはつながったと考えます。 

<現場で感じる課題> 
症状が重度な方は障害が長く続きます。そのなかで医療費が削減されている昨今では漫然と続けるリハビリというのも問題となっています。そういった方に対して生命や生活の自立度以外の視点での効果も示しながら必要なリハビリを提供していくことが課題だと感じています。
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