健康ライブラリー

健康ライブラリー 2017年10月15日

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●教えてドクター 

★10月のテーマ「LGBT」

名古屋大学医学部附属病院 泌尿器科 助教 
松尾 かずな 先生 

「LGBT」の中で治療が必要になるものが「性同一性障害」と「性分化疾患(DSD)」です。私自身は性同一性障害の治療を行っており、ホルモン療法などが担当になります。私の国内留学先の札幌医科大学泌尿器科ではホルモン療法と手術療法を担当していました。性同一性障害の治療の歴史ですが、1960年代にハリー・ベンジャミンというアメリカの医者の所に、生まれが男性であって女性の気持ちがあるという方がいらっしゃいました。もしかしたら「それは思い込みじゃないのか?」と考えるのが自然なのかもしれません。ハリー・ベンジャミンも最初はそう思いました。思い込みだから、もとの体の性別にあわせた治療、つまり男性であるから男性ホルモンを投与し、ひげを生やしたらどうか?結婚はどうか?彼女はどうか?男らしさを褒めるという治療をしたようです。残念ながらそこにきた患者さんは、すべて自殺をしたり、重いうつ病などを抱えて精神病院に入ってしまって社会復帰ができなくなったそうです。その反省からハリー・ベンジャミンは自分が間違っていたと考えて、「体を心にあわせるという治療が標準治療ではないか?」と打ち出しました。その結果、例えば体は男性だが心は女性という方に関しては女性ホルモンを投与し、元々女性だが心は男性という方には男性ホルモンを投与するという治療法が始まりました。性器の手術に関しても逆の形態に近づける治療をしました。その結果、多くの人が社会復帰できるようになりました。その流れの中で名古屋大学でも性同一性障害の標準治療としてホルモン療法に関しては、生まれた時は男性で心が女性であれば女性ホルモンを投与しますし、元々女性である方が男性であるという診断を受けられた場合には男性ホルモンを投与する治療をしています。性別の違和感に一緒に付き合っていくということが大事になりますので、ホルモン療法だけで社会的に不適応な状態を減らすことができる方も多いです。

●スマイルリポート~地域の医療スタッフ探訪 

由井 崇之 さん(佐久総合病院 ケアマネジャー) 

<力を入れて取り組んでいる事> 
この事業所は病院関連の居宅介護制事業所ということもあって医療依存度が高い方、特にターミナルと言われているがん末期の方や看取りの方の依頼が比較的多い事業所になっています。病院関連の事業所としてそのような方の依頼をお受けするのは使命だと思っております。たとえがん末期の方であってもその地域でその方の望む暮らしを実現するために、迅速かつ丁寧な支援ができるように努力しております。 

<心に残るエピソード> 
がん末期の方と一緒にゴルフをしたことです。元々ゴルフが好きな方で「もう一度ゴルフがしたい」という強いご希望がありました。主治医の先生、訪問看護師さん、地元のゴルフ場にもご協力いただいて、利用者さんと息子さんと看護師さんと私でゴルフをしました。この4人でゴルフをしたのですが、娘さんやお孫さんもついてきて下さって8人が見守る中で行いました。残念ながら本人の体調もあって4ホールしか回ることができませんでしたが、ご本人は「楽しかった」「ゴルフの後のお昼は美味しい」と喜んでいらっしゃいました。自宅のベッド上では見られない笑顔が見られたひと時だったと思います。 

<これからの課題> 
一つは、今どんな支援ができるのか、ご本人やご家族にとって何が大事なのかというのをチームで相談したり考えたりすることが大事だと思っています。ただ、この南佐久地域というところも過疎化がすすんでおりまして、老夫婦世帯や独居世帯が多くなっています。また介護保険のサービスも少ない地域であります。それでもこの地域で暮らしたいという方がほとんどですので、今後益々この地域で住民の方々と一緒に支えていく仕組みや、勉強会、交流等が必要になってくると思っております。
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