健康ライブラリー

健康ライブラリー 2017年10月22日

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●教えてドクター 

★10月のテーマ「LGBT」

名古屋大学医学部附属病院 泌尿器科 助教 
松尾 かずな 先生 

我が国で「LGBT」に対する医療を動物実験のレベルからきちんとやっている施設はほとんどありません。前回お話ししたように性同一性障害一つとっても、鼻風邪から肺がんまでというようないろいろな病態があるということが自覚されていないかもしれません。性同一性障害に対する治療に有効なものと無効なもの、より有効なものとしてはどのようなものがあるのかということや、ホルモン療法の副作用についても実はあまり分かっていないのかなというように考えています。動物実験で検証したのですが予想以上に合併症というか副作用がおきましたので、実際に同じ治療をヒトに対して行った場合に何が起こるかわからないというところがあるかもしれません。ホルモン療法も実は研究をもっとすすめていかなければいけないし、診断の効率化やケアについても研究を深めていく必要があります。課題は山積していますが残念ながら研究する環境というのは非常に乏しいのかもしれません。人材の育成や研究体制についてはきちんとしたセンター化が必要です。大学にこういったことを研究する講座を作ったりする体制作りは必要になってくると思います。薬の使い方やカウンセリングの担い手についての教育体制も充実させていかなければならない課題だと思います。

●スマイルリポート~地域の医療スタッフ探訪 

山田 真由美 さん(若年認知症の当事者) 

<力を入れて取り組んでいる事> 
今、「オレンジドア」という会で当事者が当事者の話を聞き、悩みを打ち明けあい、共有する会合を開いています。そこでは皆さん診断を受けられたばかりの人が多いいです。「これからどうしよう」というような人たちに第一歩として、「ここに出てくるだけでも一歩なんです」ということで「外に出ましょう」ということを伝えたいです。私もずっと引きこもっていたので、引きこもっている気持ちはよくわかるのですが、外に出たらたくさんの人が助けて下さるので「外に出ることは怖くないんだよ」「助けてくれる人がたくさんいるから外に出ましょう」ということを伝えたいです。家族との仲のことでも、普段は介護をされているから文句もいえないけれど、当事者の人たちと会って「実はこういうふうなんだ」「そう、そう、そう」と悩みを共有しながら「自分一人じゃなかったんだ、同じ悩みの人もいるんだ」ということがわかって元気になり、お家に帰って明るく次の一歩を踏み出せるように活動しています。 

<心に残るエピソード> 
つい先日も「オレンジドア」があったんですけど、その時に若年認知症の方で「自分は何もできない」「何かはしたいと思うけどなかなかできない」と言ってみえた方がいました。そこで「ここに来ただけでも十分一歩は始まっていますよ」と励ましました。帰られる時は「自分もこれから何かできるような気がする」と言われましたのでとても嬉しかったです。
 
<これからの課題> 
まだまだ家族は家族で苦しんで、当事者は当事者で苦しんでいます。それがなかなかうまくいかないからトラブルになっています。話を聞いてもらうだけでもすごくスッキリするので、そういう場所がどんどん増えるといいんじゃないかと思います。一人で抱え込まないで下さいということが大切なメッセージになってきます。
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