健康ライブラリー

健康ライブラリー 2017年11月5日

[この番組の画像一覧を見る]

●教えてドクター 

★11月のテーマ「認知症をめぐる社会の課題」 

名古屋大学医学部附属病院 老年内科 
小宮 仁 先生 

認知症というものは年齢相応の物忘れよりひどい認知機能の低下があって、それが原因で日常生活に不都合をもたらしているという状況になります。日常生活と言っても色々ありますが、普段家庭で生活するうえにおいても、買い物をしたり食事の準備をしたり、電話を使ったり公共交通機関を利用したり、あるいは洗濯をしたり、薬や金銭の管理等が不可欠なものだと思います。認知機能が低下することで一般的な生活を営むうえで、特に薬の服用や金銭管理ができなくなると一人で生活を営むことができなくなってくると思います。このように日常生活で不可欠なものに支障がでてきた頃が、認知症と診断される認知機能の低下ということになります。さらに基本的なものとして食事をしたり着替えをしたりお風呂に入ったりトイレに行ったりといった動作も必要ですが、このあたりが一人でできなくなるほど認知機能が低下すると、認知症のうえにさらに日常生活に介護が必要ということになると思います。このような場合は認知症という診断を受けていただいたうえで、介護保険等を利用していただき、諸々のサービスを入れていただいて、家族だけでなくて色々な人の手助けをかりながら認知症の方が生活をしていくという状況になっていくと思います。認知症の診断については日常生活に支障があるかどうかということを判断する必要があります。日常生活に支障があるかどうかというのは基本的には本人及び家族の方、あるいは介護をされている方から話を聞いたうえで診断することに重点がおかれるようになります。特にご本人さんは認知機能が低下した場合には物忘れがあって自分の日常生活を覚えていないこともありますので、特に病院を受診する場合は家族の方からの情報が非常に重要になってくると思います。

●スマイルリポート~地域の医療スタッフ探訪 

松村 香織 さん 
(名古屋市医師会 千種区在宅医療・介護連携支援センター医療ソーシャルワーカー) 

<力を入れて取り組んでいる事> 
私ども「千種区在宅医療介護連携支援センター」では、患者さんや地域の先生方から、在宅療養に関する色々なご相談をお受けするのが仕事です。千種区のセンターが設置されて現在1年半を過ぎたところです。来年度は区役所や千種区に関わる色々な方々と一緒に、千種区版のエンディングノートの作成に取り組む予定にしています。今、若い方を中心に、様々なライフスタイルで暮らす方が増えています。仕事や結婚や出産、家族にとどまらず、住まう場所やお葬式の形も自分で選んで、私らしさを大切にする方が増えている現状があります。病気や障害を持っていても私らしさを大切にしたい気持ちは変わらないと思います。一方で、命のあり方については、その考え方は立場によって様々です。まだ中身については検討中ですが、もしもの時の治療の選択を含めて、ご自分やご家族の生き方や気持ちを確認するためのヒントが「千種区版エンディングノート」を手にすることで見つかるような、そんなノートにしたいと思っています。このノートが皆様のお役にたてると、とても嬉しく思います。
 
<心に残るエピソード> 
私は医療ソーシャルワーカーという仕事について今年で19年目です。元々、人と接する仕事がしたいと思っていましたが、高校生の時にとても大切な友人を事故で亡くし、その時に生きることや死ぬことについて毎日考え続けた時期がありました。その答えを探す中で、福祉と命に関わる仕事がしたいと強く思うようになり、医療ソーシャルワーカーを職業に選びました。この夏でその友人が亡くなってから25年が経ちます。しかしながら、今でも私や友人のご家族や同級生の中に、友人は生きています。医療ソーシャルワーカーというのは、人と人、人と時間、人と制度、人とネットワークをつないでいきながら、その人の命を支える仕事です。病院で働いていても地域にでて働いていても、医療ソーシャルワーカーの役割は変わらないと思っています。ご自分やご家族のご病気、介護等が原因で何かお困りのことがございましたら、入院している病院の医療相談室でも結構ですし、私ども「在宅医療介護連携支援センター」でもかまいません。費用はかかりませんので、お気軽にご相談いただければと思います。
関連記事

あなたにオススメ

番組最新情報