健康ライブラリー

健康ライブラリー 2017年11月19日

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●教えてドクター 

★11月のテーマ「認知症をめぐる社会の課題」 

名古屋大学医学部附属病院 老年内科 
小宮 仁 先生 

警察庁の統計によれば平成26年の交通事故の件数は54万件余りとされております。10年前と比較すると大体半分位になっています。しかしながら平成26年の75歳以上の高齢運転者による交通事故の数は3万件余りとされておりまして、10年前と比べると1.4倍という報告がされています。このような状況から75歳以上の高齢運転者に関しては、交通安全対策が必要であると考えられました。それで道路交通法が改正されたという経緯があります。今年の3月から改正、施行というかたちになっております。75歳以上の運転免許更新の方は一律、認知機能検査を受けるということになりました。そのような認知機能検査を受けて認知症のおそれがあると判断された場合には、診断書を提出するということになりました。診断書を都道府県の公安委員会に提出したうえで、一般的には免許の取り消しになったりする場合が多いと思います。自動車が大切な移動手段であった場合や運転することが本人生きがいであった場合はやはり手当てが必要だと思います。特に運転できなくなったことで外出しなくなって引きこもりになってしまうのではないか、あるいは移動手段がなくなった場合にはどのように移動したらいいんだということで、社会生活を支援することも必要になってくると思います。お年寄りの方が交通事故をおこさないように社会で守っていく、あるいは被害がでないように対策を講じることとその後のお年寄りの生活をフォローするということの両面の政策がこれからは求められます。

●スマイルリポート~地域の医療スタッフ探訪 

原 順子 さん (中津川市国民健康保険 川上診療所 副看護師長)  

<力を入れて取り組んでいる事> 
川上診療所では地域医療と福祉、保健、介護との連携に力を入れて取り組んでいます。定期的に在宅支援センター、ケアマネージャー、相談員、総合事務所、福祉担当、坂下福祉会館の保健師、診療所看護師の2名で連絡会議を行っています。問題を抱えている人がみえれば、それぞれの立場から意見を出し合い、話し合い、情報共有のためデイサービス、ケアマネ、相談員とは随時連絡をとるように心掛けています。もう一つ取り組んでいるのが、ずっと続けてきた訪問です。住み慣れた地域、家庭でその人らしく療養生活が送れるよう自宅に訪問し看護ケアを提供します。必要ならば地域の人々と福祉を結ぶお手伝いをしています。高齢の介護者から緊急の連絡が入れば、すぐにかけつけ状態をみて、家族や病院に連絡を入れ救急搬送をお願いすることもあります。どんな時でも介護者のよき理解者として相談にのり、介護の負担が少しでも軽くなるようにアドバイスを行っています。訪問で大事なことは心の支えになることだと思います。 

<心に残るエピソード> 
ある高齢の患者さんが私にポツリと話されました。「寝たきりになったら家では看てもらえんで施設にいかなあかん。」わたしは「そんなこと心配せんでもどさないに。」と言うのがやっとでした。高齢の人はみんな同じような思いで不安を抱えているかなと、ちょっと悲しい気持ちになりました。高齢者が生きがいをもてるように、高齢者介護事業として川上あんきなクラブを立ち上げ診療所でやってきました。乳幼児学級との交流会、クリスマス会ではハンドベルの演奏を発表するため何度も何度も練習しました。真剣に取り組んでみえる皆さんの姿を見てすごく感動しました。秋の文化祭展示には絵手紙や絞り染めのTシャツ等を出品することができました。一つ一つがいい思い出であり、利用者さんには明るく前向きに歩いて行って欲しいと思います。 

<現場の課題> 
今、診療所では通院されている独居、高齢者の患者さんの足となる送迎を行っています。でもその送迎がいつまでできるのか、なるべく患者さんの家族での対応をお願いしているところですが、なかなか協力していただけない現実があり難しい問題です。ご家族はやはり仕事が忙しく時間が無いこともよくわかります。でも時間を作って親さんのために診察室に入り先生の話を聞いて体の状態を理解していただきたいのです。膝が痛くて歩くのに大変なことを分かって欲しいのです。親さんは自分が年老いても自分のことよりも子どものことを思ってみえます。子どもに迷惑をかけたくない、自分のことは自分でやると思ってみえます。ふるさと、親さんは遠くにありて思うものではなく時間を作り親さんの所へ帰ってきて話を聞いて下さい。ごはんを一緒に食べて下さい。そうしてコミュニケーションをとりながら親さんの小さな変化に気づいて欲しいのです。
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