健康ライブラリー

健康ライブラリー 2017年12月24日

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●教えてドクター 

★12月のテーマ「介護予防・・・たかが転倒されど転倒」 

名古屋大学医学部附属病院 地域包括医療連携センター 病院講師 
名古屋逓信病院 老年内科  
廣瀬 貴久 先生 

介護予防についてのお話で盲点となっているポイントとして、「多剤内服」というキーワードがあります。実は、お年寄りは必要以上にたくさん薬を飲んでいることが多いことが明らかになってきました。最近の研究では、たくさん薬を飲むことで体に良くないことがおこっている、ということも明らかになっていきました。その中には意識が悪くなったり、ふらつきがでたりという副作用から転倒に至ってしまうという例も多々見受けられます。例えば、血圧を下げる薬とか、不整脈を予防するような脈を下げる薬で転倒の危険が高まる可能性があります。現在、高齢者で心臓の悪い人はどんどん増えていて、将来、高齢者の慢性心不全が爆発的に増えるという予測もあります。お年寄りは益々、心臓の調子を整える目的で使用される血圧を下げる降圧薬、あるいは脈を整える抗不整脈薬を服用する機会が多くなってくると思います。これらの薬があわさると、薬の種類によっては、必要以上に脈拍が落ちたり、血圧が落ちたりして、めまい等を引き起こす可能性が高くなることが予測されます。運悪く、それが引き金で転倒すると、第1回でお話したように転倒することによって頭を打ったり、足の骨を折ったりして介護生活に近づく危険をはらんでいます。 
また薬が変わったり、新しい医療機関にかかり始めたりといった節目は、薬による副作用がでる可能性があり注意が必要です。自分の服用している薬にあまり関心がない方は、お薬手帳に自分の服用状況を記録したシールを貼らないことがあり、医師が新たに薬を処方するときに、患者が服用している薬がわからないことがあります。その状況でめまいがあったとき、実はすでに服用している薬の中にめまいをおこす薬があり、新たに処方した薬にもめまいを起こす作用があり、めまいを助長したことが、よくよく調べたのちに発見されたりします。そういう意味ではお薬手帳に、自分の飲んでいる薬を、忘れずにきちんと貼っていくということが、副作用を避けるために大事なことだと思います。また、気をつけて見ていただきたいなと思うのは、新しい薬の内服が始まったあとの患者さんの様子です。意識状態がボーッとしていないか?とか、歩く姿が少しぎこちなくなっていないか?とか、歩幅が少し狭くなったんじゃないか?というような変化に気づくことが薬の副作用を早期に発見するために大事だと思います。特に独居高齢者は、自分で自分を観察するのは困難な環境で生活されています。ケアマネさん等がついている独居高齢者もみえますが、身近なケアマネさんに、是非そういう目で介護を受ける方の薬が変わった後の観察を家族と共にしていただきたいと考えております。

●スマイルリポート~地域の医療スタッフ探訪 

渡邉 祥子 さん (渡辺病院 地域医療連携室 医療ソーシャルワーカー) 

<力を入れて取り組んでいる事> 
私はソーシャルワーカーですので、やはりグループ内や知多南部県域における医療福祉連携について貢献していきたいと考えています。一人一人の患者様への相談支援を通して見えてくるニーズや連携上の問題点といったものにきちんと向き合い、解決するだけでなくグループ内の連携体制の仕組みや、地域とのネットワーク作りにつなげていくよう心掛けています。従来より当グループは病院の他に老人保健施設、特別養護老人ホーム等を併設していることもあり、医療福祉間の迅速な連携を求められる場面は多かったと思います。しかし、本年は特に訪問診療体制の強化や地域包括ケア病所の開設により、地域のケアマネージャー、包括支援センター、介護サービス事業所等と関わらせていただく機会が大幅に増えました。地域における医療福祉連携の重要性を再認識させられました。 

<心に残るエピソード> 
11月に開催しました「ちたんちゅフォーラム」でも症例を取り上げさせていただきましたが、認知症の周辺症状を抱えた患者様の支援に携わらせていただいた経験です。認知症患者様のご家族からの相談は家庭内で大変苦労をかかえこんでみえるケースが多く、支援に迅速さが求められます。また医療面と生活面双方からの働きかけが必要なため、ケアマネージャーや介護サービス事業所との細かな連携に特に気を配る必要があります。この方への支援を通して院内での連携体制を見直す必要や、当グループ外事業所へのフォローのあり方等多くのことを学ばせていただきました。 

<現場の課題> 
少子高齢化ということもあり、身寄りの無い方や疎遠の方が増えており、行政や成年後見センター等と相談させていただきながら、支援を行わなければならない方の割合が年々増えているように感じます。今後は医療機関と介護サービス事業所等との連携だけでなく、行政等にも従来以上に積極的に関わっていただける関係作りが課題だと考えています。当院で開催しています「ちたんちゅフォーラム」には毎回行政からもご参加いただいています。このような研修の機会等を通して、日頃からの関係構築や地域の現状への理解、問題意識を共有し、力を合わせていただけるような土壌づくりが必要だと感じています。
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