健康ライブラリー

健康ライブラリー 2018年2月18日

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●教えてドクター 

★2月のテーマ「アドバンス・ケア・プラニング」 

国立長寿医療研究センター 地域医療連携室長  
西川 満則 先生 

ACPを行うのに良いタイミングが二つあります。一つは比較的元気な時です。自分で歩いて色々な所に行けたり、通えたりする時にACPをしておくことは良いタイミングです。ACP(もしばな=もしもの時の話し合い)という言葉が広く市民の皆さんに広がっていないので、まずその言葉を知っていいただくことが始まりだと思います。ACPを行うもう一つのタイミングですが、辛い病状が回復した時です。一例をあげますと、肺炎で入院されていて、やっと肺炎が治った例です。その肺炎も誤嚥性肺炎といって食べ物を飲み込む力がなくなって、食べ物が肺に入っていって肺炎になった場合です。一旦肺炎という症状を経験しているので、肺炎でごはんが食べられなくなることを患者さん自身が実感としてわかります。実感を持って「今度もう一回肺炎になってごはんが食べられなくなったらどうしよう」と考えられるので、体力的にきついかもしれないけれど、具体的にイメージしやすいという点でACP(もしばな)の良いタイミングだと思います。


 

●スマイルリポート~地域の医療スタッフ探訪 

曽雌哲也 さん(「みんなのかかりつけ訪問看護ステーション」トリアージナース) 

<力を入れていること> 
トリアージナースの仕事内容ですが、トリアージとはフランス語で「選別」という意味があります。災害時に聞いたことがあるかもしれませんが、病気や怪我の緊急度や重症度を判定し、優先順位を決めて傷病者を選別することを言います。私達「みんなのかかりつけ訪問看護ステーション」では現在、在宅看護における災害対策に力を入れております。私達が日々訪問させていただいている方の中には人工呼吸器をつけていたり、在宅酸素をされていたり、寝たきりの状態であるために災害時に避難所や救護所にご自分で行けない方がとても多いです。そのような方々と私達は災害がおこる前にどんな準備をしておけばいいかとか、災害が発生した時にどんな行動をすればいいのか、また災害がおこった後に私達がどのように介入やケアをさせていただけるか、を日々考えながら仕事をさせていただいています。また、先日名古屋市の東区の災害訓練に「訪問看護ステーション」として参加させていただきました。行政や病院と連携をとりながら「普段の状況を一番わかっている訪問看護師が災害時に活躍しないでいつ活躍するんだ」という思いを持ちながら仕事をさせていただいています。 
<心に残るエピソード> 
去年の7月におこった九州豪雨で河川が氾濫しているニュースを見ながら、訪問先の利用者様が「こんな災害の時はどうなってしまうんだろう」という不安をもらしている時がありました。私はその不安に対してはっきりとお答えすることができませんでした。このままでは人工呼吸器をつけていたり、在宅酸素をされていたり、寝たきりの状態であったりする、いわゆる災害弱者である利用者様を不安にさせたままになってしまいます。そういった思いから早急に利用者様それぞれの個別性のある災害対策が必要だと感じました。 
<今後の課題> 
まず私達医療提供者と利用者様双方が「災害は必ずおこるんだ」ということを理解するのが大切だと思います。全国に1万ヵ所ある「訪問看護ステーション」が日々の業務だけではなく災害に備え、災害発生時や災害発生後に活動できる準備をすることが第一の課題だと思います。もう一つの課題としましては、災害時に私達が訪問できない場合も十分想定できますので、地域住民や行政といった頼れる存在を作っておくことを大切にすることだと思います。そこで私達のステーションでは、今年から災害対策について勉強会をし、定期的に災害訓練をしていきたいと思っています。今後は地域住民や行政を含めた、勉強会や災害訓練を実施しようと考えています。
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