つボイノリオの聞けば聞くほど

風力発電での「バードストライク」を防ぐ画期的な方法

航空事故の原因としてよく耳にする「バードストライク」。その名の通り、鳥が構造物に衝突してしまう事故のことです。
実は鳥の衝突事故は航空機関連以外にもさまざまな場所で起こっており、それぞれ対策に追われているそうです。

3月18日放送のCBCラジオ『つボイノリオの聞けば聞くほど』では、つボイノリオと小高直子アナウンサー、重盛啓之アナウンサーが、「バードストライク」対策に関するニュースを紹介します。

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白から黒へ

共同通信が報じたところによれば、イギリス政府は、洋上風力発電所の風車に鳥が巻き込まれる事故を減らそうと実証実験を始めたとのこと。
その方法とは、風車の羽根部分を黒塗りにすること。黒くすることで鳥にとって見やすくなり、衝突を防ぐ効果があるそうです。

今回の実験の期間は4年間で、イギリス政府はストライプ状など複数の案を試して効果を見極めるようです。

つボイ「これはイギリスの話ですけど、日本にも風車がありますから同じようなことが起きているんでしょうか?」

重盛「そうなんです。風力発電ってとてもクリーンで再生可能なエネルギーでいいんですけど、こうして鳥が巻き込まれて死んでしまうことに対して反発も大きい部分があって。でも風力発電は今後一層進展させていきたいものなので、これが良い解決策になるといいですよね」

鳥を救うための画期的な方法は、風車の羽根を黒色に塗るという驚くほど単純なひと工夫でした。

原因は

鳥が風車にぶつかってしまう事故はとても多く、風力発電の普及に伴って鳥類に与える影響が年々問題視されています。
原因はおそらく「モーションスミア」と呼ばれる現象だと言われており、高速で回転する風車を鳥がうまく認識できないことに起因すると考えられているようです。

他にも飛翔時に獲物などに気を取られて風車に気付かない、あるいは他個体に追われるなどしてやむなく衝突してしまう、なども可能性として挙げられています。

また衝突だけでなく、鳥が風車周辺からいなくなってしまう「生息地放棄」や移動の経路を邪魔してしまう「移動の障壁」なども、風車が及ぼす影響として挙げられているようです。
低炭素社会に向けて世界中で急速に風力発電の導入が進んでいますが、野生動物に及ぼす影響も鑑みる必要があります。

7割減を達成

ノルウェーで同じ実験をやっていると語る重盛アナ。

重盛「鳥が死ぬ事故がおよそ7割減ったという結果が出ています」

さらにノルウェーのカルモイ沖にある洋上風力タービンでは、2年以上にわたって鳥との衝突事故が起きていないという記録もされているようです。

重盛「ストライプ状も検討されているみたいですし、もっと事故を防げるような塗り方とかが見つかるといいですよね」

小高「鳥にとって見えやすい色・柄は何だろうか、ということですね」

ノルウェーの実験では全ての羽根を黒く塗るよりも、1枚だけを塗る方がより効果があったとされているのだとか。
色に変化をつけることで、より「羽が回転している」ということを認識しやすくなるのではと考えられているようです。

つボイ「でも鳥って、なんだか目がよさそうなイメージがありますけどね」

重盛「白だとやっぱり見にくいんでしょうね。イギリスは風力発電にとても力を入れているので、期待したいと思います」

地球にも人にも優しい未来へ

つボイ「私もひとつ考えました。鳥がぶつからないように風車の前に壁を作るんですよ」

重盛「ダメです…」

小高「風が来ませんね(笑)」

「私のよりいい案が出てよかったです」とつボイ。

実は風力発電の普及は想定ほど進んではいないようです。その要因のうちのひとつに、こうして野生動物に影響を及ぼす可能性があるからだと指摘されています。

しかしクリーンなエネルギーとして、今後より普及が期待されている風力発電。ノルウェーとイギリスの実験をきっかけとして鳥の衝突事故を減らすこちができれば、人と自然が共存できる環境を作ることができるかもしれません。

ノルウェーでの研究を第一歩として、さらにイギリスでの研究でより確かで効果的な解決策が講じられることに期待が集まります。
(吉村)
 
つボイノリオの聞けば聞くほど
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2025年03月18日09時10分~抜粋

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