北野誠のズバリ

認知症で引き出せない?積み立ててきたNISAの行方は

家族が認知症になった場合、心配なことのひとつに本人名義のお金が引き出せないということがあります。
これは今まで積み立ててきたNISAも同じ扱いとなるのでしょうか?

3月17日放送『北野誠のズバリ』(CBCラジオ)の「ズバリマネー相談室」コーナーでは、小宇佐・針田(こうさ・はりた)FP事務所のファイナンシャルプランナー、伊藤勝啓さんが認知症の方に関する資産管理の注意点について解説しました。

聞き手はパーソナリティの北野誠と大橋麻美子です。

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認知症になったら口座は凍結

結論から言えば、NISAも普通の銀行口座などと同じで引き出せなくなります。

「銀行や証券会社などの金融機関は、判断能力に疑いのある顧客とその資産を守るために口座を凍結します」と解説する伊藤さん。

一度口座が凍結されると、家族はもちろん本人でもお金が引き出せず、定期預金の解約や株式の売買もできなくなるとのことです。

ここで気になるのが、金融機関はどのようにして本人が認知症と判断するのかという点。伊藤さんは3つのケースを紹介しました。

1つ目は家族が金融機関に相談しに行った場合で、預金者が認知症になったので代理で手続きをしたいと申し出ると口座が凍結されます。

2つ目は本人が窓口に行った際、本人の言動から判断能力の低下に気づかれた場合で、通帳や印鑑を頻繁に失くしたり、窓口で同じ内容を何度も尋ねたりするなどが該当します。

3つ目は詐欺と疑われるような多額の出金や振込があった場合。詐欺だけではなく、預金者ではない家族の者がカードを使って多額の出金をする場合も疑われます。

口座が凍結されたらどうする?

もし口座が凍結されてしまったら、どのように対処すれば良いのでしょうか?

伊藤さんが挙げたのは「法定後見制度」。
これは認知症によって判断能力が不十分となった方を法的に保護・支援する制度で、預貯金や不動産などの財産管理について、成年後見人からサポートを受けることができます。
この制度を利用することで、認知症になっても財産を動かすことができるとのことです。

ただし、この制度を利用するのに関して、伊藤さんは3つの注意点を挙げました。

1つ目は家庭裁判所での申し立てが必要で、利用開始まで1~4か月ほどかかるため、すぐに資金が必要な場合は、本人の代わりに生活費や医療費などを立て替えなければならない可能性があります。

2つ目は原則として途中で辞めることができず、辞められるのは本人の判断能力が回復して自分で財産を管理できる場合ですが、これは事実上不可能だと思われます。

3つ目は後見人になる人が限られることで、後見人は家庭裁判所が選任しますが、親族が選ばれるのは2割程度で、8割は司法書士や弁護士といった専門家が選ばれます。

専門家が選ばれた場合は報酬を支払う必要があり、一般的には月額2~6万円程度と結構大きな金額ではあります。

口座を凍結されないために

では、口座が凍結されないためにはどうすれば良いのでしょうか?
伊藤さんは方法を2つ挙げました。

1つ目は任意後見制度を活用することで、本人の意思決定能力がある時に、本人が希望する人を任意後見人として指定することができます。
公正証書で契約を交わし、認知症などで後見人が必要となった時に家庭裁判所に利用開始の申し立てを行ない、任意後見監督人の選任を経て利用開始となります。

そうすると信頼のおける親族を後見人に指定することで、法定後見制度とは異なり専門家への報酬は支払う必要はありませんが、任意後見監督人への報酬は必要となりますので、費用負担があることについては注意が必要です。

2つ目は家族信託といって、文字どおり本人の財産や資産運用を家族に託すしくみで、託す側と託される側で契約を結びます。
その後、託された側は自分の口座と分けるために信託財産管理用の銀行口座を開設します。

裁判所を経由しなくても良く、信託契約の内容も柔軟に定めることができますので自由に財産管理ができるメリットがあり、報酬も不要なため低コストで対応できます。

認知症はいつ起きるかわからないものですので、事前に準備が必要かもしれません。
(岡本)
 
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2025年03月17日14時15分~抜粋

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