北野誠のズバリ

記憶力をよくするには、「場所法」が最強!

『北野誠のズバリ』の「中高年よろず電話相談室」では、健康の悩みなどを解決しています。

4月2日放送のテーマは「記憶力を高める方法は?」。20代女性Aさんからの相談です。

「記憶力を高めるための秘訣はありますか。20代の今からしておいて方がいいことや高齢者になってからでもできることがあれば、教えてください」

心療内科本郷赤門前クリニック院長で医学博士の吉田たかよし先生に伺いました。

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短期記憶と長期記憶

記憶力とひと口に言いますが、脳はその時にどういう状態になっているのでしょうか。

吉田先生「記憶は短期間しか残らない短期記憶と、永久に保たれる長期記憶の二種類があります。

まず暗記すると脳の奥にある海馬という部分に記憶が仮置きされます。
この海馬は小指くらいの大きさで小さいから記憶容量も小さくて、2週間以内に全部消えます。だから短期記憶です。

夜寝ている間に、海馬の記憶は大脳の表面にある大脳新皮質という部分に移し替えられます。大脳の表面はシワになっているので表面積が大きく、記憶容量もバカでかいです。ここに移し替えられたら、脳の病気にならない限り消えることはないです。これが長期記憶です」
 

長期記憶が大事!

どちらの記憶にするか、自分で選べないものでしょうか。

吉田先生「選べないというか、むしろ選んでもらいたいです。長期記憶を重視していただきたいです。

ハーバード大学の研究で解明されましたが、難関の大学とか大学院を卒業できるかどうか、将来の年収がどうなるか、どちらも長期記憶の能力でかなり決まるということがわかっています。

一方、短期記憶の能力は高いか低いかほとんど関係ないです。

だから若い人も中高年の人も社会的に成功するには、長期記憶の能力を高めることが大事です」
 

長期記憶には「場所法」を

長期記憶を高めるには具体的にどうしたらいいのでしょう?

吉田先生「私も実践しているいい方法があります。『場所法』といいます。これは古代ギリシャ時代に発見された方法ですが、2500年も経って、最近脳科学的にも正しいことが証明されました」

場所法とは場所と何かを関連づけることですか。

吉田先生「そういうことです。場所法が生み出されたきっかけとなったのは、古代ギリシャ時代に大きな宴会で、天井が崩落する事故が起きて大勢の人が下敷きになりました。
詩人のシモニデスという人がなんとか逃げ出すことができ、しかも彼は宴会に誰が参加していたか、名前をすべて思い出すことができました。

どうしてかというと、座席の場所と人の名前を関連づけて記憶していたからです。これをきっかけに、場所と関連付けて効率よく暗記する方法が開発されました。それが『場所法』です」
 

人間が生き延びるための仕組み

吉田先生「オランダの大学が解明しましたが、記憶のメカニズムは短期記憶をつくりだす海馬の中に、場所を専門に認識する場所『ニューロン』があります。
暗記した情報が場所と関連づけられていると、脳はこれは長期記憶に残す必要があるんだと認識して、永久保存版みたいなタグがつけられます」

夜寝ている間に、「永久保存版」とタグをつけたものを大脳新皮質に移すわけですね。

吉田先生「はい。よく考えたら人間にこういう性質が備わったのは当然のことで、原始時代にこの場所でイノシシがとれたとか、オオカミに襲われたこととかはすごく大事です。
人間が生き延びるために場所と関連付けた記憶は、優先的に長期記憶にするという仕組みを作り上げた、ということです」
 

架空の場所でもOK

場所と関連づけられないことは、暗記はどうしたらいいですか?

吉田先生「実は、今言った仕組みは、本物の場所でなくても、架空の場所でもそういう作用があります。

私は医学知識はすべてその臓器がある場所、頭の中に人体の模式図を書いて、その模式図に、胃だったらこういう情報を、という風に書き込んでおきます」
 

付箋を貼るのは有効

では、忘れないようにドアや冷蔵庫に付箋を貼るのは有効ですか?

吉田先生「これは大変有効ですが、みなさんやり方が不十分です。
一番場所法が簡単に身につくのは、覚えたいことを紙に書いてその紙をいろんな場所に貼ることです。その貼っておいた場所と一緒に書いてある情報を覚えます。

大事なのは、思い出す時は冷蔵庫の横に貼っておいたこの情報は?というように、場所から思い出すという習慣をつけることです」
 

女性が昔のいやな事を思い出すわけ

最後に北野がリスナーに代わって切実な質問をします。

北野「うちのラジオでよく話題になるのが、女性がものすごく昔の男のいやな記憶をずっと掘り出してくるじゃないですか。あれはどうしたらいいですか」

吉田先生「これも科学的に解明されています。海馬のすぐ隣に『偏桃体』という部分があって、そこが感情を作りだす中枢です。
偏桃体と海馬が連動して働くようになっていて、女性の場合は感情の記憶が優れています。偏桃体が刺激を受けて、それで30年前に夫がなにかしたということを思い出しやすいのです」

北野「なんとかして忘れさせる方法はないですか?」

吉田先生「これは女性にとって覚えておくことがいいことなんです。
女性の場合は特に、この場所で草を食べたらお腹をくだしたとか、危険な情報をしっかり覚えておいた方がこどもを育てるのに大事だったんです。

昔あったいいことでなくて、いやなことを優先的に覚えて思い出すようになっているんです。
それがあるから我々生きているんで、これは素晴らしい女性の脳機能です」

北野「先生、そこをなんとかなりませんかー」

吉田先生「感謝しつつ、笑顔を送ってあげるといいと思いますよ」

北野は「なんともならないようです」と降参しました。

女性は情動と結びついた悪い記憶は忘れにくい、真実はいつもひとつです。
(みず)
 
北野誠のズバリ
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2021年04月02日14時11分~抜粋

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