3月19日から開催されている春のセンバツ(選抜高等学校野球大会)。
センバツと言えば行進曲。
今大会の星野源『恋』に代表されるように、入場行進曲に前年の流行曲が使われるのはおなじみですが、その嚆矢は1962年の第34回大会。
『上を向いて歩こう』が採用されて以降、流行曲が春の風物詩となっていくのでした。
それ以前は、軍歌や外国映画の主題歌などが使われていたそうです。
ちなみに野球解説者・彦野利勝さんが愛知高校時代にセンバツ出場した時(1982年)は、寺尾聰の『ルビーの指環』で「リズム的にちょっと歩きにくかった」とか。
ドラゴンズの現役選手に、センバツ行進曲の思い出を聞きました。
ドラゴンズスペシャル
ドラゴンズ選手に聞く、センバツ行進曲の思い出
選ばれし者ならでは
さて今回は、どんな曲だったかあまり覚えてないという選手を紹介します。
まず一人目は、福田永将選手。2006年の第78回大会では、横浜高校の主将として優勝を経験しています。この年の行進曲は、修二と彰『青春アミーゴ』でした。
そんな思い出深い大会なのに、「正直あまり覚えていない」
むしろ、春夏連覇を狙いながら一回戦で敗れてしまった、その年の夏。
『熱闘甲子園』というテレビ番組のエンディングテーマだった、スキマスイッチの『奏』の方をよく覚えているのだそうです。
悔しい思い出の方の曲が印象に残るとは、皮肉なものですね。
続いて二人目は、ドラフト1位ルーキー・柳裕也投手。彼も横浜高校です。
2012年の第84回大会では2完投1本塁打と活躍するも、準々決勝で敗退。
この時はAKB48『Everyday、カチューシャ』でした。
こちらも「覚えてないんですよねえ」
どうやら二人の話を総合すると、甲子園常連の強豪校は、行進曲よりこの後の試合のことで頭がいっぱいになるそうで。
それに、他の年のセンバツにも出場しており、「いつの大会だっけ?」となるのだそうです。
さらに先輩や後輩もたくさんいるので、「自分が入学する前の、先輩が出場した時かな?」「自分が卒業した後に見た時の曲だったか?」などと、迷ってしまうのだそうです。
なんともぜいたくな、うらやましい話ですね。
ある意味、選ばれし者の特権ともいえましょう。
春もいいけどやっぱり…
最後に登場するのは、一昨年のドラフト1位・小笠原慎之介投手。
ご存じの通り、彼は2015年夏の甲子園(全国高等学校野球選手権大会)の優勝投手です。が、実は春の甲子園は未出場。
そこでセンバツの行進曲について尋ねると、彼は興奮気味にこう答えたそうです。
「星野源ちゃんもいいけど、やっぱり甲子園といえば夏、この曲ですよ!」
そう言って思い出の曲を挙げたのが『栄冠は君に輝く』なのでした。
小笠原投手が言うには、「甲子園に行きたい」と思った時からこの曲が刷り込まれるのだそうです。“ソウル・ソング”とでも言いましょうか。
最後に、甲子園球児の先輩としていい言葉を残してくれました。
「今年センバツに出ている選手は、春の結果がどうあれ、また夏にチャンスがある。僕の時と同じこの曲で行進できるように頑張ってほしい」
ただ厳密にいえば、『栄冠は君に輝く』は“大会歌”。つまりテーマソングです。
実際に夏の入場行進に使われているのは、山田耕筰が作曲した『大会行進曲』なのですが、やはり『栄冠は~』のインパクトは絶大なのでしょうね。
番組名:ドラ魂KING
(岡戸孝宏)
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