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民放ラジオ番組史8・ラジオカーとレポーター

1951年(昭和26年)に民間放送局が誕生して67年。
このシリーズではCBCラジオの番組を中心に、黎明期から60年代までの民放ラジオ番組について触れてきました。

今回は、70年代以降生まれたラジオカーなどについて紹介します。

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ラジオカーの登場

ほとんどのラジオ番組は局舎内に設けられたスタジオから放送していますが、時折エリア内の各地から中継が行われます。

1960年代には、大型車もしくはバンに中継機材のみならず録音機材も乗せた、現在のテレビ並みの中継車が使用されていました。
しかしこうした中継車では、車両の点検はもちろん機材のメンテナンスにもコストがかかります。

ラジオ広告費の減少が目立つようになった70年代からは、FM波を扱える機材が小型化したこともあり、より小型の中継車両が導入されるようになります。
このような車両は「ラジオカー」と呼ばれ、各エリアで親しまれるようになります。

ラジオカーが生み出されたのは前述のように経済的な事情、あるいは技術の進歩に拠るところが大きいですが、1970年前後各局で始まった番組の生ワイド化に連動して、ラジオの機動力を高めることも命題となっていました。
スポンサーからの依頼によるパブリシティ中継に加え、災害や有事の際に駆けつけることもできる少人数の移動スタジオとしてラジオカーが活躍することになります。

1970年3月にニッポン放送が初代ローレルをベースにした「ニッポン1号」を導入したのを皮切りに、TBSラジオが950カー(ベースはスカイライン)、文化放送はトピッカー1号(ベースは三菱コルトギャラン)と同年にAM3局が揃って採用します。

レポーターが毎日のようにエリア各地に足を運び、そこに暮らす人や観光客と生のやり取りをするスタイルは、機動力とともにラジオの地域性をリスナーにも強く感じさせる効果がありました。
 

移動スタジオは空も飛んでいた!

それに先立つ1969年、CBCラジオではラジオカーではなく、なんとセスナ機を導入していました。



同年4月1日『空とぶスタジオ~CBCセスナ・レポート』という、非常にストレートなタイトルの番組がスタートしました。
当時の資料によれば、中日本航空の協力でパイロットが高度300メートルから主要道路の交通渋滞、道路工事などの道路状況をレポート、さらに空からのリスナー訪問もあったということです。
この直球すぎる番組タイトルは、翌月から『CBC若シャチ・レポート』に変更されていますが、なぜ改題に至ったのかは残念ながら不明です。

ちなみにCBCラジオでは、1990年代後半から2001年頃にも「トビッキー」というヘリによる交通状況のレポートをしていたこともあります。
 

つボイノリオもアンテナを立てていた!

ラジオカーに話を戻します。
70年代中盤までのラジオカーは、技術者が運転を兼ね、専任レポーターが同乗する形が多かったようです。
当時のCBCラジオでは、つボイノリオ、伊藤秀志、水谷ミミという若手タレント(当時)が中継レポーターとして東海エリアを駆け回っていたのですが、彼らは同時に中継機材の操作まで行っていました。

やがて首都圏でラジオカー専任の女性レポーターが起用されるようになります。
「TBS954キャスタードライバー」「ラジオカードライバー」あるいは単に「レポーター」など呼称は各局で異なりますが、放送に華を添える存在として今も残る文化となりました。

現在では、このようにレポート、運転、機材の操作まで行うレポーターによる中継体制そのものを、狭義として「ラジオカー」と呼ぶことが多くなりました。
 

レポートドライバーの誕生

CBCラジオでは1980年に「レインボーカー」の呼称で新たにラジオカーが導入されることになります。この時同時に「レポートドライバー」(通称レポドラ)と呼ばれる女性たちが採用されました。
155人の志願者から音声・筆記テスト、運転技術テストをクリアしたのが、ヘッド画像に映っている7名の1期生たちです。

これまでに34期・およそ100名のレポドラたちがCBCラジオを彩ってきましたが、その現場は決して華やかなものではなく、屋外の生放送ゆえのハプニング、建物の構造や地形による電波障害、悪天候時の運転など過酷な状況に直面することも多い仕事です。

『~ともだちラジオ~本音でゴメン!!』でアシスタントを務める小倉理恵(17期)、『北野誠のズバリ』月曜アシスタントの松岡亜矢子(25期)、『ラジ和尚・長谷雄蓮華のちょっと、かけこみませんか』アシスタントの中村友香(27期)など出演者としてはもちろん、放送作家、番組スタッフにもレポドラ出身者が各番組で活躍中です。
また気象予報士、他エリアの局アナも輩出しています。

中京圏以外でこの記事をお読みのあなたの街でも、レポドラ経験者が活躍しているかもしれませんよ。
(編集部)

※文中敬称略
 
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