石塚元章 ニュースマン!!

日本のプーチン研究第一人者が語る、ロシアの思惑と今後

刻々と変わるウクライナ情勢、ますます戦火が広がり、先が見えないように感じますが、私たちは現在の状況をどう見れば良いのでしょうか。

3月5日放送『石塚元章 ニュースマン!!』では、ロシア政治を専門とされ、プーチン研究の第一人者、筑波大学教授の中村逸郎先生が電話出演。

『ゴゴスマ~GOGO!Smile!~』(CBCテレビ制作・TBS系)などでも解説されている中村先生に、あらためて今回の戦争について伺いました。

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当初の目的から離れ

まずは、中村先生は現在の状況をどう捉えられているのか、伺いました。

中村先生「プーチン大統領自身がいったい何を考えているのか。

戦争を仕掛けてきたんですけれども、もしかしてプーチン大統領自身が混乱して、戦争の目的を失って、単に仕掛けているだけ、攻撃を加えているだけ、戦争のための戦争にもしかしたらなってるんじゃないかと、危惧してます」

ロシアは当初、ウクライナ保護をうたっていましたが……。

中村先生「ウクライナ国はロシアにとって双子の兄弟のような関係でしたが、ウクライナが欧米の方にどんどんどんどん進んでいくので、それを食い止めるためにロシアが侵攻したというふうには最初は思ってたんですね。

ですので、傀儡政権を立てて終わりかなというふうに私も予想してたんですけど、想定外に戦争が激しくなってきて、先が見えなくなってきている感じですね」

ロシアとウクライナは戦力の差が歴然としているため、ロシア側はすぐにウクライナが音を上げると想定されていたのかもしれません。

中村先生「ウクライナからの反撃が思った以上に強かった。
しかもそこに特別、NATOが入ってきているわけじゃなくて、ウクライナの人たちがすごく頑張っている。それにビックリしたって感じなんでしょうね」
 

プーチン大統領の人物像

中村先生はプーチン研究の第一人者といわれていますが、次にプーチン大統領はどのような人物なのか、伺いました。

中村先生「とにかく人を利用すること。もともとKGBのスパイですので、自分に有利なこと、自分の役に立つ情報もそうですけど、すべて相手を利用するというのが彼の手法なんですね。

人を利用してきて、結局最後は自分がわからなくなってくるという、そういう人なんですね。

ですから今回も、ウクライナを利用して自分の傀儡政権を作ろうとしたんですね。

ところがうまくいかず、ウクライナがすぐに自分の勢力圏に落ちなかったもんですから、利用しようと思ったんですけど、なかなかうまく利用できないということで、大規模な爆撃、侵攻が進んでるんですよね」

石塚「今までは人を利用してきてうまくいったのに、これまでの経験則とは違うことが起きちゃったという感じなんですかね」

中村先生「そうですね。利用する相手がでかすぎた。
そこでプーチン大統領は何をしたらいいのか本来の目的を失って、大統領自身が今追い込まれている、焦っているということが言えると思います」
 

原発の攻撃は意図的?

一般的に追い込まれた人間は何をするかわからないと言われますが、そういった不安はないのでしょうか。

中村先生「私も心配してまして、実は昨日(3月4日)ウクライナ国内の原発がミサイルを受けたということで、狙ったけどたまたま外れたのか、それとも外したのか、あそこに落とすことが目的だったのか、そのあたりがよくわからないということですよね。

それと、原発周辺に落としたということですけど、原発は冷やさないといけない、電源装置とかいろいろあるわけですけど。

そこの被害はどうだったのかというところはまだ情報が来ていませんので、原発にまつわる攻撃はウクライナだけはなくて、ヨーロッパ全体が危機に陥っていると思いますね」

これはウクライナだけではなく、どこもでも起こりうる危機といえます。

中村先生「日本国内の原発を外国勢力が制圧したなんていうのは、想像できないぐらい怖いですよね」
 

難民が多数起きる可能性も

石塚「原発でも平気で攻撃するプーチン側ということであれば、停戦がうまくいかなかったら、さらに怖いんじゃないかっていう」

中村先生「プーチン大統領は戦争の目的を失っていますので、これからどんどん過激に大規模な攻撃になっていけば、ウクライナ国そのものが破壊されてしまう。

そして難民がどんどん西側へ出ていく。

私たちがこれまで世界史で勉強した中で、これほどの(大規模な難民はない)。

シリアが内線でヨーロッパへ出た時でも、最大時120万人といわれたんですね。

今回400万人、もしかしたら800万人が難民として行くということですので、私たち日本も含めて難民救済というのが、今すぐ対策を講じなくてはいけないと思ってます」
 

この戦争はいつまで続く?

先が見えない状況ですが、中村先生はどれぐらいで落ち着くと見ているのでしょうか。

中村先生「私は半年ぐらいかかるのかなと思ってます。

それはなぜかというと、やはりプーチン政権の終わりが国内で始まってますので、プーチン政権が崩壊するまで今のウクライナ攻撃はずっと続き、それに反発するロシアの国内世論、そこでプーチン政権の崩壊に向けてどれだけ動き出すのか。

私の頭の中には1991年(平成3年)12月、ソ連邦崩壊に立ち上がったモスクワ市民の姿を覚えてますので、ここはロシア国民の世論の動向、特に若者の動きっていうのを私たちはしっかり見ていかないといけないと思ってます。

もしかしたらプーチンの周りから大きなできごとが起こって、それに世論が呼応して一気に世論の力でもって。

例えば具体的に申しあげますと、クレムリン、大統領府の中に市民が乱入して、市民の手でクレムリンを制圧してプーチン大統領を辞任に追い込むというような流れに半年ぐらいかけて。ひとつの落としどころになるのかなと思ってます」

石塚「ロシアが悪いというよりも、プーチン政権が悪いと」

中村先生「ロシアの普通の人たち、ウクライナの人たちはみんないい人ですよ。
ただ、1人だけ悪い人がいるんです、やっぱり」
 

日本が今後できることは?

大変な状況にあるウクライナのために、日本ができることは何でしょうか。

中村先生「すぐやるべきことは、やっぱり難民を受け入れてあげることなんですよ。

日本は難民を受け入れるとおっしゃっていますが、日本国内は空き家問題は深刻で、私の実家は空き家ですし、私も空き家を提供したいと思ってます」

そして最後に、「できるだけ日本人1人1人が難民の人たちを救済する動きに、身近なところからすべきだと思ってます」と語りました。
(岡本)
 
石塚元章 ニュースマン!!
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2022年03月05日08時08分~抜粋

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