北野誠のズバリ

各地で続々増えている「限界分譲地」

現在の日本では、かつてのバブル崩壊やその後に少子化が進んだことで、各地に「限界分譲地」と呼ばれる場所が増えてきています。

5月4日放送『北野誠のズバリサタデー』では、自ら限界分譲地に住み、100か所もの限界分譲地を取材、『限界分譲地 繰り返される野放図な商法と開発秘話』(朝日新書)の著者、吉川祐介さんが出演しました。

この記事では限界分譲地がいつ頃どのように増えたのかについて、吉川さんが解説した部分を取りあげます。

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限界分譲地とは

「限界分譲地」とは吉川さんによる造語で、一戸建てを買う人を当て込んで都心から離れた場所をどんどん開発したものの、今や人がほとんど住んでいない、土地を買ったまま放置されている場所のことを指します。

現在吉川さんが住んでいる千葉県では1970年以降に一気に開発が進み、バブル崩壊までの約20年間に開発されたものが現在「限界分譲地」となっています。

当時はどんな場所でも土地を持っているだけで価値があるとされ、千葉県では成田空港があることから、都心から結構離れていても地価が上がったそうです。

実際、成田空港の建設にあたり、土地を売って大金を手にしたという実例もあったことから、一定の説得力を持ってしまったのかもしれません。

きちんと開発されていた?

当時は土地を買ってすぐ住むというよりは、値上がりを期待して土地を持っておく投機目的の方も多かったそうですが、結局、売るに売られず土地を持ったままという人も少なくないそうです。

そうした限界分譲地ですが、最初は住宅目的できちんと土地は造成されていたのでしょうか?

吉川「造成工事は一応行って、道路も舗装はされているんですよ。一応区画割りもして、その点ではよくいわれる北海道の原野商法みたいな、ただ原野を図面の上だけで割って販売しているというのとは違うんですけど。

ただ、実際に購入している人は本当に投機が目的なので、その点は原野商法と大差なかったりします」

秋田県の第三セクターが起こした問題

しかし、かつて北野が『噂の!東京マガジン』(TBS系、現在はBS-TBSで放送)で取材した秋田県木造住宅株式会社(秋住)が手がけた分譲地は、大きな問題となりました。

秋田県も絡む第三セクターだった秋住が、秋田杉の普及を目的として首都圏に分譲地の建売住宅を開発、販売していたのですが、欠陥を理由に訴えられました。

吉川「そもそも造成したところの土地が沼なので」

北野「僕らが取材に行った時は家の床下をのぞいたら、下の土地からぼこぼこ水が出てきてましたもん」

吉川「建てている時から地元の人が『あんなところに作るのか?』という目で見てたみたいですね」

当時はずさんな計画でも平気で分譲地が開発されていたことがよくわかる一例です。
吉川さんは「そのような話はあちこちである」と語ります。

吉川「秋住は開発している規模が広範囲だったので問題になったんですけど、小さな会社が開発した、本当に小規模な分譲地で地盤沈下とか起きてもニュースにならないので」

買った土地に家が建てられない?

また、最初は分譲地として開発していても、のちに開発できなくなるケースもあるそうです。

開発当初は都市計画区域に指定されていないケースが多く、開発の規制が緩い分、安く造成できていました。
つまり、安く土地を買って造成し、その土地を売るというビジネスモデルでした。

しかし、後に都市計画区域に指定されると、その時点で家が建っていなかった場合、分譲地にある道路は建築基準法の道路として指定されず、後で家を建てようとしても建築許可が下りないということがあります。

そうすると、家も建てられない土地をただ持っているだけで、売ろうにも買った時とは比べられないぐらい安い価格でしか売れないということになってしまいます。

そのような限界分譲地は多数あるとのことですが、国や自治体が対策を立てられないものなのでしょうか?

吉川「何も考えていないわけではないでしょうけれども、やっぱりこういう乱開発が行われた自治体って基本的に財政規模が小さい、開発の規制も緩いエリアなので、対処のしようがないんですよ。
私有地であることは間違いないですし、道路も私道なんで行政も何もできないですし、何か援助してしまったら前例ができてしまうので、やっぱり腰は重いと思います」

今や土地を買った人も亡くなり、新たに相続の問題も続々と起きているようです。
(岡本)
 
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2024年05月04日09時43分~抜粋

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