北野誠のズバリ

紅麹被害と関連の疑いも…意外と怖い青カビ

小林製薬は29日、紅麹を配合したサプリメントによる健康被害で、新たに1名の死亡報告を遺族から受けたと発表しました。サプリ摂取との関連が疑われる死者は5人目です。

また同日、厚生労働省は紅麹サプリから青カビ由来の化合物、プベルル酸が検出されたと発表しましたが、今回の問題と関連性があるのかどうかは解析中とのことです。

30日にCBCラジオで放送された『北野誠のズバリサタデー』では、この「プベルル酸」について、本郷赤門前クリニック院長、医学博士の吉田たかよし先生が解説しました。

[この番組の画像一覧を見る]

紅麹をサプリに使った理由

今回の健康被害で注目を集めた紅麹。実はそれ自体は毒ではありません。

吉田「味噌やしょう油は黄色い麹菌で発酵させたものに対して、紅麹は赤い色素を作る。
黄麹菌も紅麹菌もカビの一種、アスペルギルスというのに含まれる微生物で、どちらも長い歴史の中で人間に飼い慣らされた微生物ですので、一般的には安全性が高い。

だから、カニカマやハム、ソーセージの食用色素として広く利用されているんです」

それでは、色をつけるために使われていた紅麹を、なぜサプリに使っていたのでしょうか?

吉田「紅麹菌はモナコリンKという物質を生成するんですけど、これが肝臓でコレステロールが合成される化学変化を抑制する。その結果、コレステロールが下がる効果があるんですね」

コレステロール値が高い方に対して、病院からスタチンという薬が処方されることがありますが、これと働きがよく似ているため、なじみのある紅麹に着目したようです。

プベルル酸って何?

では、厚生労働省が発表したプベルル酸というのは、どのような物質なのでしょうか?

吉田「タンクで培養して小分けにして製品を作るわけですけど、健康被害を出した製品を製造したロットだけ未知の物質が含まれていることがもともとわかっていて、それがプベルル酸だと発表されたわけです。
プベルル酸はマラリア菌を殺す力を持っていることがわかっているんですね」

今回の問題で亡くなった方の死因は腎臓の病気だといいます。
腎臓には血液中の不要な物を捨てて必要な物を残す、重要な役割があります。
しかしプベルル酸の毒性により腎臓が大きなダメージを受けて機能を低下させてしまったことがその理由と見られています。

まだ原因が確定したわけではありませんが、「プベルル酸が原因である可能性がある」と語る吉田先生。

プベルル酸はどこから現れた?

製造過程において、危険な毒素を持つ菌はどこから現れたのでしょうか?

吉田「紅麹菌が突然変異を起こしてプベルル酸を生産する可能性はゼロではありませんけど、紅麹菌のようなアスペルギルスがプベルル酸を一気に生産する、しかも人が死亡するぐらい大量に作るようになるというのは、可能性が高いとは思えないですね。

アスペルギルスとは別のカビのペニシリウム、簡単にいうと青カビですけど、その中にはプベルル酸を作るものが結構いまして。

紅麹菌を培養している時に青カビが混入して、一緒に培養された可能性が考えられるんです」

実は吉田先生は若い頃、大腸菌を培養する実験に携わっていた際、突然未知の物質を発見し喜んでいたら、実は青カビが混入して繁殖しただけだったということがあったそうです。

青カビは地球上の微生物の36%を占めるほど多く存在しているという説もあり、繁殖しやすい性質があるため、かなり厄介なものです。

よく食パンや餅に青カビが発生することがありますが、そこを切り取って食べることについて、吉田先生は「見つけたら全部捨ててください」と注意喚起。
実は見えない部分にも青カビが繁殖しているケースもあるそうです。

原因はまだ確定していませんが、早い分析の結果が待たれます。
(岡本)
 
北野誠のズバリ
この記事をで聴く

2024年03月30日09時44分~抜粋

関連記事

あなたにオススメ

番組最新情報