北野誠のズバリ

パワハラ上司のせいで娘が体調不良に。代わりに訴えることはできる?

『北野誠のズバリ』、身近な疑問・質問・お悩みを解決する「ズバリ法律相談室」のコーナー。

12月22日の放送では、「上司のパワハラで、娘が過呼吸や体調不良になった」というAさんから相談が寄せられました。

「親として腹立たしい。代わりに訴えることはできますか?」というAさんの質問に、オリンピア法律事務所の原武之弁護士が答えます。

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泣きながら「やめたい」

Aさんの娘さんは、働いて6年目。とある異動先で上司にイビられ、「やめたい」と泣きながら電話があったそうです。

「過呼吸になったり体調を崩すこともあり心配に思っていましたが、ある時再び異動になったことで不安な状況からは開放されたようです。
ですが、上司がそのままのうのうと働いていると思うと、親としては腹立たしいです」(Aさん)

娘さんの代わりに、その上司を訴えたいというAさん。はたして、親の代理裁判は可能なのでしょうか。
 

基本は3年以内

パワハラは、民事上の「不法行為に基づく損害賠償請求権」で請求します。

時効は「損害および加害者を知ったときから3年以内、かつ不法行為の時から20年以内」。しかし、損害と加害者を知らないということはあまりないため、基本は3年以内と思っていた方がいいそうです。

日本の場合、権利主張できるのは被害者または当事者のみ。代わりに裁判をするという制度はありません。

「基本はできないですね」と原弁護士。
 

間接的被害も対象になりえる

ただ、中には例外もあるようです。

例えば娘さんが体調を崩して、看病や通院の付き添いが必要となり、親が会社を休んだ場合。

娘さんへのいじめや嫌がらせによって、自分も間接的に被害を受けたということであれば、裁判をすることはできるといいます。

「そういう裁判はまだ見たことがないですけど。世の中がこういう風にパワハラが厳しくなれば、いつかそういう間接的被害も損害賠償の対象になりえるんじゃないかなと思います」

原弁護士はこう見解を語りました。
 

メモに残すことが大切

「具体的にパワハラで訴える時って、証拠って必要なんですか?」と尋ねる北野誠に、原弁護士は「やっぱり必要ですね」と断言。

録音や録画データまでは難しくても、自分がされたことをメモや日記に残しておくことが大切だといいます。

「最近厳しいので、内部通報窓口とか監査のところに連絡をすれば、結構調べてくれますから。
同僚とか年齢が近い人たちの証言を取ってもらうとか。昔よりは集めやすくなってると思うんですよね」と原弁護士。

会社側も、以前に比べるとかなり敏感になっているようです。

北野「最低限やっぱりメモは要りますね。日付と」
原弁護士「第三者が知るにあたって、日時、場所、いた人がわからないと調査するのも大変なので。できるだけメモを取っておいてもらえると」
 

日本の慰謝料水準は低すぎる!

パワハラで慰謝料を請求する場合、金額の基準はどれくらいなのでしょうか

「そう激しくないやつだと、50~100万円。やっぱり低いんですよね」と、残念そうな原弁護士。

これがアメリカであれば、「懲罰的慰謝料」で何百万、何千万という金額になります。しかし、日本においては、期待するほど高くないというのが現状です。

「もう少し慰謝料は大きくしないと。罰則的意味合いもあってもいいんじゃないかなと思うんですよね。低すぎるから、反省が低い」と持論を語る原弁護士でした。
(minto)
 
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2021年12月22日14時13分~抜粋

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