北野誠のズバリ

幼い頃遊んでくれたおばあちゃんは誰?ほっこりする怪談話

『北野誠のズバリ』、今週は「お盆特別企画 怪談てんこ盛り」と題して、日替わりで怪談師をゲストに招いています。

8月12日の放送には、よしもとのコンビ芸人で怪談家としても活躍している、ありがとうぁみさんが登場しました。

稲川淳二さんが最高顧問を務める怪談フェス「怪談最恐戦」の初代王者であり、怪談最恐位の「怪凰(かいおう)」の称号を持つありがとうぁみさんが、とっておきの怪談話を披露してくれました。

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ひょっこり現れるおばあちゃん

これは、岡山県の田舎町で生まれ育った、ある女の子の話です。女の子の家は、隣の家まで数十m離れた、田畑に囲まれた古い平屋の日本家屋でした。

女の子は一人っ子。小学校に上がる前まで、両親ともに忙しい時は1人で遊んでいました。

お家の縁側の外には、砂利道に続く庭がありました。敷地と砂利道の間に塀はありません。

彼女が1人で遊んでいる時、たまに庭にひょこっと現れては、ニコニコと手招きをするおばあちゃんがいました。

一緒に遊んだり、走り回ったり、トランプをしたり、塗り絵をしたり。女の子は、そのおばあちゃんが大好きでした。
 

おばちゃんの“内緒”の仕草

お母さんの「ご飯よー!」の声で家に戻る女の子。1つだけ気になっていたのは、そのおばあちゃんがいつも別れ際にする、人差し指を立てて口に持って行く仕草でした。

彼女は「おばあちゃんのことをお母さんに言ったらダメなのかな」と、こども心に感じていたといいます。

ある日の午前中、そのおばあちゃんはいつものように庭に入ってきてくれて、一緒に遊びました。

その日、あまりにも楽しかった女の子は、おばあちゃんがあの“内緒”の仕草をしたにもかかわらず、おばあちゃんのことをお母さんに話してしまったのです。

慌てたお母さんはすぐに庭に出ますが、すでにおばあちゃんの姿はありません。

お母さんが走っていく姿と顔色の変化を見て、「これはたぶん言っちゃダメだったんだな」と反省した女の子。

案の定、次の日からおばあちゃんが女の子の前に姿を現すことはなかったのです。
 

香りで思い出す記憶

その後、その女の子は小学校、中学校、高校を卒業して、18歳で東京の企業に就職が決まり上京しました。

数か月振りに実家に帰った時、「あれ?すごく懐かしい、記憶に残っている香りがする」と感じた彼女。

その香りを嗅いだことで、母親に話したくなったことがありました。

「私、小さい頃に『おばあちゃんに遊んでもらってる』って言ったの覚えてる?」

彼女のこの言葉に「そんなの聞いてビックリしてさ。近所にそんなおばあちゃんいないし、一体誰なんだろうと思って。塩をまいたわよ」と、お母さん。

ここで彼女は「塩」という言葉が引っかかりました。
 

数日間発見されないまま

「どうしてお塩をまくの?」と尋ねた彼女に、母親が秘密を教えてくれました。

彼女が生まれ育った日本家屋は、両親が中古で購入したもの。築年数は経っているもの広く、なによりも価格がお手頃でした。

ただそこは、もともと旦那さんに先立たれたおばあちゃんが1人で住んでいた家。一人暮らしだったため、倒れた後もおばあちゃんは数日間発見されないままだったというのです。

もちろん、女の子の両親は不動産さんからその話を聞いた上で、納得して購入していました。

しかし、一人娘が「おばあちゃん」と言いだしたので、お母さんは「もしかして…」と思って塩をまいたというのです。
 

「ただいま、おばあちゃん」

「そういうことなんだ」と納得した彼女。

「玄関で感じた香りは、いつも一緒に遊んでくれた、あのおばあちゃんの香りなんだ。会えなくはなったけど、ずっと家の中にいたんだよね。見えなくなっただけで、おばあちゃんは家にいるのかもしれない」

彼女は、そんなおばあちゃんを恐いと思ったことはないといいます。1人で遊ぶのが寂しかった女の子は、おばあちゃんの存在に助けられ、救われたのです。

「おばあちゃんもこの家でずっと1人だったから、もしかしたら私の気持ちがわかってくれたんじゃないかなって思うんですよね」

彼女は今も実家に帰ると、玄関を開けて両親に「ただいま」と言ったあと、小声で「ただいま、おばあちゃん」と呟いているそうです。
(minto)

 
北野誠のズバリ
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2021年08月12日14時03分~抜粋

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