北野誠のズバリ

尿管結石と大動脈解離。見分けるポイントは「痛み」の違い?

2021年06月21日(月)

ライフ・ヘルスケア

『北野誠のズバリ』、健康の悩み、夫婦の悩みなどを解決する「中高年よろず相談室」のコーナー。

6月17日の放送では、「尿管結石」で強烈な背中の痛みを経験したAさん(39歳男性)からおたよりが寄せられました。大動脈解離で亡くなった方のニュースを見て、Aさんは「もしも痛みを思い違いしていたどうなっていたんだろう…と恐怖を感じた」というのです。

背中の痛みが特徴的なこの2つの病気の見分け方について、心療内科本郷赤門前クリニック院長で医学博士の吉田たかよし先生が答えます。

脳に十分な血液が送れない

尿管結石は、おしっこの通り道(尿道)に石(結石)ができて痛くなる病気です。

腎臓で作られたおしっこは、尿管→膀胱→尿道の順番で体外に排出されます。これを尿路といいます。

結石は尿路のどこにでもできる可能性はありますが、腎臓と膀胱をつなぐ尿管が一番狭いため、ここに結石が引っかかってしまい激痛になるというわけです。

一方、大動脈解離は、心臓から出て腰まで伸びている最も太い動脈・大動脈の壁が、縦方向に裂け(解離)てしまう病気。

心臓が急性心不全を起こして血液を循環させることができなくなり、最悪のケースでは大動脈の壁が破裂することもあります。

脳に十分な血液を送ることができなくなるため、意識を失ってしまうこともあるのです。
 

裂ける場所で痛みの場所が変わる

尿管は、尿というさらさらした液体を通すだけの、とてもデリケートな構造をしています。さらにとても細いため、そこに石が引っかかると猛烈に痛くなるのです。

尿管は背中側に通っているため、痛みは背中に感じることが多くなります。

大動脈は、心臓から胸の上側に向かい、背中側にUターンして腰の方に下向きに伸びているもの。

大動脈が裂けた時に痛みが走るのは当然ですが、裂ける場所によって、胸に痛みを感じる場合、背中に痛みを感じる場合もあります。
 

ショック状態で死亡する場合も

「僕の友達の笑福亭笑瓶君は、冬場のゴルフ場で大動脈解離になってあやうく死にかけたんです」と北野誠。

吉田先生によると、冬場は血圧が上がるので特になりやすいんだそう。

大動脈の壁が完全に破裂してしまうと、身体の内部で大量出血し、ショック状態になってそのまま死亡してしまいます。

血圧を下げて破裂しづらくした上で、緊急手術が必要なことが多くなるそうです。

笑福亭笑瓶さんは、ゴルフ場からドクターヘリで運ばれたと聞いて、「これは絶対ヘリが必要です」と吉田先生。
 

2つの病気を見極めるポイント

大動脈解離は一刻一秒を争う病気。
尿路結石は猛烈に痛いものの、すぐに命を落とす病気ではありません。

医者にとっては、この2つを見分けるのは大事な仕事。これができないと国家試験に落ちてしまい、医者になることはできないそうです。

見極めのポイントは、「痛みが持続するかどうか」ということ。

一度裂けてしまった大動脈が勝手に元に戻ることはないため、大動脈解離の場合はずっと痛いまま。

尿路結石は姿勢によって身体の中に引っかかっている石の角度が変わるため、痛みが引いたり、ぶり返したり。痛みの強さがコロコロ変わるのが特徴です。
 

自己判断は禁物!

とはいえ、「自己判断しようと思っている間に死んでしまうため、迷わず救急車を呼ぶべき」と吉田先生。

吉田先生が救命救急で勤務していた若い頃、「突然の背中の痛み」で搬送されてくる方は、大動脈解離よりも尿路結石が圧倒的に多かったそうです。

それでも「『それで救急車呼んだんですか?』なんて怒ることは絶対ない! 見極めは我々の仕事」と吉田先生。

しかし中には、同じく突然起こる背中の痛みでも、「これは救急車を呼ばないで」というものも中にはあります。

それは、ぎっくり腰です。
 

ぎっくり腰は勘弁して

背中の痛みで救急に担ぎ込まれる人の中で最も多かったのは尿路結石でしたが、次に多かったのは、ぎっくり腰だったそうです。

「重いものを持ち上げようとして、背中が痛くなりました」と救急隊に言わない人もいるため、病院では「ひょっとしたら大動脈解離かも」と準備態勢に。

運ばれてきてからぎっくり腰だとわかると、「おいおいおい」という風になってしまうそうです。

「コロナで救急医療も余裕がないので、ぎっくり腰は勘弁していただきたい」とお願いする吉田先生でした。
(minto)
 
北野誠のズバリ
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2021年06月18日14時10分~抜粋
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