北野誠のズバリ

実は重要な資源!世界中から「砂」がなくなっている!?

話題の本の著者にインタビューする『北野誠のズバリサタデー』の1コーナー、「ズバリこの人に聞きたい」。

11月21日の放送では、『砂戦争 知られざる資源争奪戦』(角川新書)の著者で、国連環境計画上級顧問、元東京大学大学院教授で環境ジャーナリストの石弘之さんに電話でお話を伺いました。

この本では現在、世界各国で「砂」の争奪戦が起きていて、違法な採掘や殺人事件にまで発展していると、警鐘を鳴らしています。

私たちの身の回りで普通にある砂で、なぜそんな深刻な問題が起きているのでしょうか。

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良い砂の条件とは?

実は、砂はビルや道路、パソコンの半導体、ガラス製品などの原料でもあり、世界で都市化が進んでいることで需要がひっ迫。

ここで私たちが単純に考えそうなことが、「地球温暖化で広がる砂漠の砂を使えば良いんじゃない?」ということ。

それで解決できるのであれば問題がないのですが、当然、それが無理な理由はあります。

石さん「実は砂漠の砂は細かすぎて、粒々があまりにも滑らかなもので、建材には使えないんですね。

本当に良い砂はザラメのようにザラザラしてるんですが、つるつるになってしまうとダメなんですね。ですので、一番良いのは川で採れた砂です。

海砂も使えるんですけど塩分を含んでいるので、かなり洗い流さないと建材にはなりませんね」

ひと口に砂といっても、使える砂と使えない砂があるようです。

良い砂が採れる場所が限られている一方で、インドやアジア諸国などの一部では建設ラッシュ。

砂の奪い合いが高じて、規制を破った採掘作業や闇取引が起きているそうです。
 

日本の砂はどうなっている?

では、日本国内の砂は十分に賄われているのでしょうか。

石さん「日本はほとんど1960年代、70年代に良い砂を採り尽くしちゃったんですね。

海岸でどこもかしこも波消しブロックがありますよね。あれは海岸の砂がなくなって、どんどん削られていくので、あれで止めてるんですね。上流からの砂の補給がなくなったというのが大きな原因ですね」

本来ならば、上流から川をつたって土砂が流れてくるのですが、ダムができてせき止められたり、植林が進んで流れる量が減っているのだとか。

ちなみに、高校野球で甲子園の砂を選手が持って帰るという光景を観ますが、あの砂の一部に中国産のものが含まれているそうです。

また、海岸の砂が減っていることで、海水浴場も減ってきているといいます。
 

砂不足への新たな取り組み

いま発展途上にある国が都市化すると、さらに砂の需要が大きくなることは必至ですが、日本では砂不足に向けた新たな取り組みが行われているそうです。

石さん「日本ではなるべく輸入はしないで、古くなったビルを取り壊して、コンクリートをもういっぺんすりつぶして、砂に戻してるんですね。

再生利用が日本はかなり進んでいて、長崎県の大村湾に面白い浜辺がありまして、廃ガラス瓶を集めて細かく砕いて砂のようにまいてるんですね。

元々ガラスは砂が原料ですから戻したことになるんですが、よく見ると色とりどりの砂粒が海岸を覆っているんです」

外国では輸出制限も進んでいることから、今後は日本も輸入しづらくなる可能性が高くなり、そうなると再生利用の必要性はますます高まります。

この砂不足の問題ですが、石さんは砂に限った話として問題提起しているわけではなく、「砂に限らず身の回りで当たり前だと思っていた、例えば空気や水、魚が人間の過大な圧力でどんどんなくなってきてるんですね。そして、『ついに砂よ、おまえもか』という感じなんです」と語りました。
(岡本)
 
北野誠のズバリ
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2020年11月21日10時28分~抜粋

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