九州や岐阜県など、広い範囲で甚大な被害をもたらした記録的な豪雨により、熊本では16日までに77人が死亡し、7人が行方不明となっています。
自然災害に遭った地域で、かつて同じような災害が起きた例が見られますが、私たちの先祖が災害の恐ろしさを後世に伝えるため、地名を付けていたと言われています。
7月18日放送『北野誠のズバリサタデー』では、「地名と自然災害の関係」をテーマに、静岡大学防災総合センターの客員教授、岩崎一孝先生に北野誠が電話でお話を伺いました。
地名に付いた文字で見る、水害や土砂災害の危険な地域・安全な地域
この文字が付く地名は水害危険あり?
岩崎先生は全国規模の調査結果を受けて、「特徴的な地名と災害には関係性があるといえます。また、調査では50%ぐらいの確率で関係があると思われました」と答えました。
調査方法は、国土地理院の地名データベースから約30万件もの居住地名を拾い出し、地図化。
その地図と、水害や土砂災害の危険地域に関する地図をコンピューター上で重ね合わせて、地名と災害危険度を定量的に分析し、災害の多い地域にどんな地名が多いかを統計的に調べたとのことです。
災害が起きた地域で付けられている地名は、例えば2文字のものだと「中島」で、信頼度は50%で水害危険地域という結果が判明。
名古屋市にも中島町という場所がありますが、河川沿いの低地の中で少し高まったところを「中島」と呼んだものと思われるそうです。
また、信頼度40%の結果で「新田」という名前が付いた地域も水害危険地域で、これは江戸時代に新しく開発された田んぼの地名であり、元々は低湿地だと推測。
そして、末尾1文字だと「島」が信頼度45%で水害危険地域ということがわかったそうですが、これも河川沿いの低地の少し高まったところを示したと考えられるそうです。
土砂災害が起きたことがある地名
岩崎先生「土砂災害というのは、土砂崩れとか地滑りなんですけど、末尾2文字だと『河内(こうち)』ですね。河内というのはだいたい川の流域で、少し開けた平らなところを普通指すようです。
それから末尾1文字だと『谷』『沢』『平』が危険性の高い地域だとわかりました」
西日本では「谷」が多く、東日本では「沢」と付く地名が多いそうです。
「平」だと「平和の平」、「平ら」で、何だか安心な場所のように感じるのですが、岩崎先生によりますと、これは谷の中で少し開けた平らなところを指すため、結局周りから土砂が流れてくる危険があるということになります。
安全だと思われる地名は?
岩崎先生「水害の安全性の高い地域としては、『○○が丘』。これはどうも丘に付けられた地名で、水害の危険性が低いようです。
また末尾1文字では『台』というのが、やはり水害の(危険性が)低い地域として有名であることがわかりました」
新興住宅地に多そうな名前ですが、基本的には高い場所にあるところが安全といえそうです。
ちなみに「蛇」の文字が付く場所が危険という説もあるそうですが、こちらについて岩崎先生は、「全国に7か所しかなく、必ずしも全国的に見て土砂災害が多い地域とは言えないと、個人的には思っています」と答えました。
これまでお話してきた地名の文字ですが、もしその地名に該当した場所に住んでいた場合、どのように対処すれば良いのでしょうか?
岩崎先生「実は災害の多い危険地域にあっても、場所的には危険ではないところもあったりします。例えば『谷』の中でも斜面から十分離れたところも『谷』という地名もありますし、逆に谷の中で『○○が丘』と呼ばれることもあります」
地名と危険性にはある程度の相関関係はありますが、「絶対安全」「絶対危険」とは限らないようですね。
最後に岩崎先生は「該当する地名についても、地域の防災地図を活用して、自分の住んでいる地域がどんな地形、地盤なのかを罹患することが重要だと思っています」とまとめました。
(岡本)