『つボイノリオの聞けば聞くほど』、いろいろな人のいろいろな言葉を紹介する「社長のお役立ち・歴史の知恵袋」のコーナー。
4月26日の放送では、星野リゾート代表取締役社長 星野佳路さんの言葉を取り上げました。
「大丈夫だと嘘をついても社員は見破ります。それより社員の間で“共有感”を持てる方が大事なのです」
新型コロナウイルスにより、観光業界は大きな打撃を受けました。星野リゾートも例外ではありません。そんな中、星野さんは、社員に「倒産確率」を公表しました。
跡継ぎではなく「優秀な経営者」に
1960年、長野県軽井沢町に生まれた星野さん。
実家は明治時代から続く「星野温泉旅館」を開業していました。
星野さんは慶応大学を卒業後、アメリカの大学院でホテル経営を学びます。
海外の大学院に進んだのは、「跡継ぎといわれることが嫌だった」から。
その気持ちは海外で多くの人と出会って学ぶ中で、「跡継ぎではなく、優秀な経営者になろう」という気持ちに変わっていったといいます。
大学院を修了後、アメリカのホテルで働いていた星野さんは、1988年、父に呼び戻される形で副社長として星野温泉に戻ります。
しかし父親と対立。翌年に解任され、アメリカのシティバンクに就職。
その後再度呼び戻され、1991年より星野温泉の代表として経営を行っています。
「リゾートの達人」になる
星野さんは、1995年に社名を「星野リゾート」に変更。
「リゾートの達人になる」とビジョンを掲げ、数々の宿泊施設の運営を手掛けてきました。
現在は高級感あるラグジュアリーホテル「星のや」、地域の魅力をふんだんに取り入れた上質な小規模温泉「界(かい)」、西洋型リゾート「リゾナーレ」など、さまざまな魅力を持つホテルを取りそろえた、一大リゾート運営会社となっています。
星野リゾートでは、社員が利益・売り上げ・稼働率はもちろん、顧客満足度の数値も閲覧して、他の施設と比較できるようにしています。
これを基に社員たちは「次は何をすればよいのか」を自ら考えるヒントとしています。
加えて、昨年5月から星野さんが「倒産確率」も社員に公表していることが話題となりました。
「会社がどれくらい危ないのか」
星野さんは「『自分の会社がどれくらい危ないのか』は、社員が一番知りたいところ。これを知ることで、『何をすればこの確立を下げることができるのか、仕事に連動させることができる』という考えから公表した」と語ります。
同時に、近場で過ごす「マイクロツーリズム」に徹底して取り組むなどの戦略を社員に呼び掛け、スタッフたちが自分の働く施設を存分に生かす工夫ができるように情報を伝えています。
冒頭の言葉は「倒産確率を公表していることについて尋ねられた、毎日新聞のインタビュー」からの言葉です。
「知ること」が工夫に繋がる
「星野リゾートは人気の施設をたくさん抱えています。だからこそコロナ禍では苦労することは多いでしょう」と小高直子アナウンサー。
「漠然と経営状態に不安を持つより、はっきりと状況を知ることが、考えて工夫するきっかけになっているのかもしれませんね」と語ります。
遠方への旅行へ出かけづらい今、星野リゾートは「どんなツアーが求められ、客は旅先でどんなことをしたいと考えているのか」を模索している企業のひとつ。
つボイノリオは、「大変な時期を乗り越えるため、経営者は必要な情報を出し、現場はそれを基に何ができるかを考え実行するというサイクルを作ることが大切なのかもしれません」と語りました。
それでは最後にもう一度。
「大丈夫だと嘘をついても社員は見破ります。それより社員の間で"共有感"を持てる方が大事なのです」
(minto)
つボイノリオの聞けば聞くほど
この記事をで聴く
2021年04月26日10時32分~抜粋