いつまで経っても治らない!「むち打ち症」の対処はあるのか?

多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N / ライフ・ヘルスケア

6月7日は「むち打ち治療の日」でした。「む(6)ちうちを な(7)おそう」という語呂合わせです。

そこで『多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N』の特集では「むち打ち症」を取り上げました。
むち打ち症の原因や症状、そして対処法について、名古屋大学医学系研究科整形外科学教授、石黒直樹先生に尋ねました。
聞き手は多田しげおです。

昔よりは減少

むち打ちについて体験談のメールが届いています。

「赤信号で停まっていた時に追突されてむち打ち症になりました。30年ほど前です。今でも季節の変わり目や天気が悪くなるのが首でわかります」(Aさん)

「いわゆる『むち打ち症』と言われているものは医学用語ではないです」という石黒先生。
また交通事故によって起こる状況は、ひと昔前とは異なるようです。

石黒先生「昔の車は、ヘッドレストがない、シートベルトをしない、あるいは2点だった。今はシートベルトは3点で、しかもエアバッグがついています。首が大きく揺すられるという状況は減ってきています」

多田「首が大きく揺すられることが『むち打ち症』の一般的な原因ですか?」

石黒先生「ぶつけられると首が大きく後屈し前屈するという、ムチがしなるような動きをする。それで『むち打ち症』という名前がつきました。それが原因でいろいろな症状が起きました」
 

むち打ち症≒外傷性頚部症候群

多田「改めて『むち打ち症』とはどういう病気ですか?」

石黒先生「医学的分類すると『むち打ち症』は“外傷性頚部症候群”と呼ばれるものです。
“症候群”とは症状をきたす、いろいろなかたまりということです」

多田「原因は交通事故などですか?」

石黒先生「そうです。頭は首より大きいです。夜店のリンゴ飴のイメージです。
そもそも首はつらい立場です。だから肩こりが起きやすいし、首の痛みが起こたりします」

多田「交通事故の時、首はどうなるんですか?」

石黒先生「ぶつけられた時、過剰な力がかかることで、支持組織、筋肉、靭帯、関節が傷んでしまいます」
 

一番厄介なのは肩こり

多田「具体的にはどんな問題が生じますか?」

石黒先生「赤ん坊が首が座るのは神経とか筋肉の力で支えることができるようになったから。支えている主役は筋肉であり、そこが傷めつけられてしまう。
『頸椎捻挫』という言葉があります。捻挫は本来動く範囲を越えて関節を動かした場合に起きます。

捻挫の症状か、靭帯の症状か、筋肉の症状か、混然となって起こってくるものがいわゆる“外傷性頚部症候群”です。
いろいろな症状が出てくるし、いろいろな原因が推測されます。

社会的通念でいうと、自動車の事故イコールむち打ち症、そして外傷性頚部症候群が結びついています」

多田「典型的な症状はどのようなものが?」

石黒先生「一番厄介なものは、肩こり症状です。筋肉とか筋を傷めているから、それがもし瘢痕化してたりしたら、Aさんのようなことを起こすかもしれない。
あるいは30年も経っていれば、加齢としてそういうことが起こっていて、一緒になっているのかもしれません」

首はつらいよ

特集の後半に、症状に悩む方からの意見が多数寄せられました。
症状として、頭痛、めまい、手のしびれで悩んでいる、しかも長期間に渡るという方が多いようです。

多田「これらはむち打ち症の典型的な症状?」

石黒先生「頭痛は特に典型的です。頭痛の多くは、頸緊張性頭痛といって、首のすじの張りから後頭部を中心に前頭部にかけて、何かを貼り付けたような痛み。
これは首が頭を支えているという力学的な問題から起こっています」

多田「つまり人類が二足歩行をしたために、細い首で重たい頭を支えないといけない。その首に大きな衝撃があれば、いろいろなことが出てきますね」

石黒先生「我々は二足歩行によって手を自由にしました。そのおかげで文明を発達させ、自動車も発明した。その文明の利器によって、そもそもの弱点、首が痛めつけられた。

しかもまずいことに、私どものほとんどの労働の内容は前に身体が屈めています。

ですから、適切なストレッチをしましょう。ある程度の運動負荷をかけましょう。それによって筋力を常日頃から保っておくことがいろんな症状にとっていいです」
 

首のストレッチを

多田「むち打ち症の症状を回復するために、どういうことをすればいいんですか?」

石黒先生「力学的な弱点ですから当然ここに症状が起こりやすい。
ただし、ほとんどの場合は致命的な、非常に重大な損傷ではないことを理解してください。
なぜなら、車の安全設備が進歩しているからです。

ネックカラーで長く固定するのは、事故当初にはいいかもしれないけれど、長期に渡るとかえって首のまわりの筋肉を弱くします」

多田「筋肉を鍛えるといろんな症状も和らぐでしょう、これが基本ですか」

石黒先生「はい。それと生活の中で前屈の姿勢を長く続けるのは本来、私どもの身体にとってはいいことではないですから、途中でちゃんとストレッチを入れる」

多田「仕事の途中で伸びをすればいいんですね。肩を揺すって、首を回して、そうやって筋力をつける」

石黒先生「人にやられた傷は痛いです。でも、それをいつまで引きずっていてもどうしようもないです。前向きに考えていた方が、いいんじゃないでしょうか。

医学で一番大切なことは病を治すのではなく『人を治す』です。その人が幸せになることです」

多田は「そうか、がんばろう」と、自分を励まして締めました。
(みず)
 
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2019年06月07日08時14分~抜粋

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