多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

めくるめく「納豆」の世界

2月16日の『多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N』では「納豆」を特集しました。
今でこそ、朝ごはんには欠かせないという家庭も多いですが、かつて西日本ではなじみがなく、大阪生まれの多田しげお(69)が納豆を初めて見たのは30歳前だったと言います。

納豆は、今や健康ブームとあいまって日本の家庭の食卓にしっかりと定着しました。
名城大学農学部の応用生物科学の教授、加藤雅士先生に納豆の話を伺いました。

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納豆のはじまり

―納豆はいつ頃登場したものですか?

起源的には古いと思いますが、文献的には平安時代に塩辛納豆というのが出てきました。これは今の納豆と違って、寺納豆、浜納豆といって、お寺で作っていた塩辛い納豆だと思います。
今の糸引き納豆はもっと後で、江戸時代には庶民が食べていたと思われます。

―納豆は自然発生的にできてしまったものでしょうね。

想像するに、大豆があって稲があって、そこで偶然できていた。
食べてみたら、お腹も痛くならず、おいしかった、というのが実際のところではないでしょうか。
江戸時代には納豆売りがあったので、すでに庶民の間では食べていました。京都でも食べていたという文献もありますので、西の方でも作られていたと思います。
 

もともとの納豆の作り方

―基本的な納豆の作り方は?

古い作り方は、煮豆を作って、そこに藁と混ぜて置いておきます。今では近代的になって、純粋に納豆菌を振り混ぜて作ります。

―藁の中に納豆菌がいるのですか?

野性の納豆菌がいます。枯草菌というのが枯れた草にはいっぱいいて、その中にも納豆を作る菌がよく稲についています。

通常納豆菌は熱に強いので、一度ゆがいて、煮豆と一緒にしてやればかなりちゃんと作れます。

―今は、科学的に取り出した納豆菌をつけて発酵させているわけですね。

非常に衛生的に作られています。

納豆菌は強い

―納豆菌の特長はなんでしょう?

生命力がすごいです。100度のお湯の中に入れても死なないです。種のようなものがあってそれが熱に強いのですが、そこから発芽みたいにしてどんどん増えていく。分解力がありますので、消化がすごくよくなります。

―身体に入ると納豆菌はどんな効果を発揮するんですか?

いろいろいい効果が知られています。納豆菌が作った納豆も身体にいいですが、納豆菌自体も免疫を増強したり、いろいろいい効果を持っています。今は研究の段階ですが、複雑な現象が起きているようです。
非常に身体にいいことは長い年月が証明していると思います。
 

ネバネバの正体は?

―納豆を回すと糸を引きますが、あのネバネバは何ですか?

主成分はグルタミン酸とよばれるアミノ酸ですが、その中にちょっと変わった成分も入っています。
普通アミノ酸がつながるとタンパク質となりますが、これはタンパク質を分解する酵素で切れます。が、ちょっと違うおかげでなかなか切れにくい。
菌からするとネバネバは鎧です。外敵が自分を攻撃するのを防いでいます。

―このネバネバが新しい素材として注目されているそうですね。

ネバネバから自然に分解するようなプラスチックを作ったり、水を吸いやすいので水を含ませて砂漠の緑化に使ったりという研究も進められています。
 

納豆の栄養成分

―具体的に納豆の栄養はどんなものですか?

ビタミンB類が入っているし、大豆から来ていますからたんぱく源が豊富です。さらに微生物が入っていますからそれによって非常に消化しやすいです。
食べたものが吸収されますから、消化の弱い方には特にいいと思います。

―「ナットウキナーゼ」という言葉も聞きますが、納豆から出てくる成分ですか?

酵素の一種で、もともと体内にはウロキナーゼという薬にも使われている酵素があります。これは血の固まり、血栓を溶かす働きがあります。納豆の中にも同じような酵素があると見つけた先生がおり、ナットウキナーゼと命名しました。

人を対象にしたアンケート調査をすると、食べている人と食べていない人では疾患のかかり方が違うというデータも出ています。

―一日どのくらい食べればいいですか。

1パック程度、少しずつ食べるのがいいでしょう。

ただ、心臓病の薬の一部の働きを弱くする効果が知られているので、心臓病の方はお医者さんに相談した方がいいです。
 

ニオイはどこから?

―納豆と言えばあのニオイですが、成分は何ですか?

アンモニアとかいろいろな成分があって、一番特徴的なのがイソ吉草酸と呼ばれるチーズの熟成した香りです。これがちょっとイヤだったり、逆にそれがいいという方もいます。

―最近はあまり臭わない納豆がありますね。

微生物の研究を通じてそういった納豆も出回っています。他にも、ふんわりとした納豆、柔らかい納豆、乳酸菌を入れたりとか、いろいろな種類の納豆が作られています。

―発酵のパターンを変えるといろいろな納豆ができますね。

非常にバリエーションがあるので、いろいろ試すのもいいですね。

―リスナーからは「納豆は火を通しても栄養は変わらない?」と質問がありますが。

タンパク質やアミノ酸は問題ないです。酵素が生きたままではないかもしれませんが、十分に栄養価は高いです。

―納豆は経験的に発明したものですが、すごい食べ物ですね。

最後、加藤先生は「発酵の世界は奥が深いです。この地域は発酵文化が盛んですが、勉強するところが多いです」と締めました。

納豆ひとパックの中にどれだけの菌がいて、どんな発酵が行われているかを想像するととても神秘的ですね。
(みず)
 
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
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2019年02月15日08時13分~抜粋

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