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安部龍太郎『平城京』

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  飛鳥時代末期、奈良に都を移すというプロジェクトをテーマにした歴史小説。

★内容紹介
・主人公は遣唐使船の船長だった安倍船人(あべの・ふなびと)。
 ある事件で謹慎中だった船人のところに、兄の安倍宿奈麻呂がやってくる。
 今、唐の長安のような大きな都を新しく奈良に作ることになり、
宿奈麻呂が責任者になったので手伝ってほしいとのこと。ただし期限は3年しかない。
安倍一族はある事情で冷遇されていたので、名誉挽回のために引き受ける。
ところがいざ遷都の準備を始めたところ、妨害工作に逢って……

★読みどころ
(1)飛鳥~奈良時代の都市計画や土木技術の情報
 「710年、平城京」は知っていても、実際に遷都とはどうやるのか、
 都を作るためにはどんな作業が必要なのかを知っている人は少ないのでは?
 どのように労働力を集めるのか、報酬の取り決めはどうなっているのかとか
 まずその労働者たちが住む小屋を作るところから始めるとか、
 立ち退き交渉はどうするのかとか、この時代の土木事業の方法がとても興味深い。
(2)ミステリとしての面白さ
 工事が始まるにつれて、さまざまな妨害工作が起き、ついには死者も出る。
 奈良に都を移したくない人がいる? その黒幕は誰なのか、がとても面白い。
 その動機を理解するためには、この時代の政治の形やそれまでの歴史を
 知らなくてはならないが、とても上手にその情報が物語の中で紹介されるので、
 説明的ではなく自然に頭に入ってくる。
古代史のビギナーからマニアまで楽しめる一冊。


安部龍太郎(あべ・りゅうたろう)さんの『平城京』です。
KADOKAWAから1944円で販売中です。
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