小堀勝啓の新栄トークジャンボリー

芸妓によるGSバンドがあった?名古屋のサブカルチャー史をまとめた書籍

7月28日放送のCBCラジオ『小堀勝啓の新栄トークジャンボリー』では、パーソナリティの小堀勝啓が、長坂英生編著『写真でみる 戦後名古屋サブカルチャー史』を紹介しました。

名古屋で生まれた独特のサブカルをまとめた一冊とのことですが、現在では考えられない様々なムーブメントがあったようです。

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サブカルに強い新聞

小堀が紹介する『写真でみる 戦後名古屋サブカルチャー史』は名古屋の人文社会系書籍の出版で知られる風媒社が出版していて、価格は税別1,600円。

編著の長坂英生さんは名古屋タイムズ社の社会部記者。名古屋タイムズは中日新聞社の関連企業が発行していた夕刊紙で、東海地方では「名タイ」の愛称で親しまれていましたが、2008年に休刊になりました。
サブカルチャーなど大衆文化記事に独自の取材力を持っていて、東西の文化人、著名人からの寄稿も多かったとか。

この書籍は、そんな「名タイ」の貴重な記事から写真を満載してピックカップして一冊にまとめた本。

漫画、アニメ、ポピュラー音楽、映画、演劇、ファッション、深夜放送、ゲーム、ストリップ、ノーパン喫茶など、幅広い記事が満載です。

江戸川乱歩に取材

例えばこんな記事が掲載されています。
戦後間もない昭和22年。名古屋広小路で銀行員が戦災孤児の少年に50万円を奪われる事件が発生。

その直後に、人気探偵小説家の江戸川乱歩さんが作家協会の会合で名古屋を訪れ、名タイから意見と推理を求められたそうです。

「探偵小説はロマンの世界ですが、実際の犯罪は探偵小説とは違いますからね」と、冷静にコメントする江戸川さん。

小堀「事件ひとつとっても名古屋タイムズの切り口は他のメディアと違います。こういったところが大衆から人気を得ていた所以かもしれません」

事件発生から1年後、犯人逮捕へ。戦災孤児がひったくったということでしたが、主犯として逮捕されたのは27歳の男。この男が戦災孤児を使って犯罪をしていたことがわかったそうです。

笠置シヅ子と服部良一

また昭和24年の記事。
「笠置シヅ子と名古屋ブギー」という見出しで、御園座でバンドを従えて歌い踊る笠木さんの姿が掲載されています。

この時笠置さんが歌った「名古屋ブギ―」という曲は、名タイが名古屋市制60周年を記念して選定したもの。
作曲した服部良一さんが自ら御園座でタクトを振っていました。

続く昭和25年の記事には、「民放第一声はCBC」という見出しとともに、当時のCBC(中部日本放送)の社屋で行われた式典の写真なども載っています。

火星の土地分譲受付開始

さらに昭和31年の記事には、日本宇宙旅行協会という団体が火星の土地分譲予約受付を開始したとの記述が。

「貴殿は火星に10万坪の土地を持っている」という見出しに、受付証明の写真が掲載されています。価格は10万坪で200円とかなりお得です。

この火星分譲予約は大人気。あまりに売れるので、日本宇宙旅行協会はすぐに10万坪1,000円に値上げ。翌32年末までに、4千人が火星の土地を買ったと載っているそうです。

小堀「買った人は今どうしてるんだろうね。皆さんの家に証書はないですか?」

大須のムーブメント

昭和40年代となるとフォークソングブーム、エレキブーム、ビートルズ人気、グループサウンズブームの記事など、日本中を席巻した若者音楽ブームの影響が名古屋でも見られるようになります。

そんなブームに便乗してか、名古屋の芸妓さんの団体「名妓連」が、名妓漣GS(グループサウンズ)を結成という写真まであります。

そして今や日本でも指折りの繁華街となった中区の大須エリアも、名古屋アンダーグラウンドのメッカと言われ、独自のカルチャーを生んできました。
昭和47年に開設された老舗の小劇場・七ツ寺共同スタジオ、昭和53年から始まった「大須大道町人祭」などのムーブメントにも触れられています。

小堀「ぜひ手元に置いて繰り返しページをめくっていただきたい一冊です」

ちなみに表紙は、寺山修司さん主催のアングラ演劇集団 「天井桟敷」名古屋公演のビラを配る、ミニスカートの女性のモノクロ写真です。 
(尾関)
 
小堀勝啓の新栄トークジャンボリー
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2024年07月28日11時03分~抜粋

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