北野誠のズバリ「カイシャのシュウカツ」

配偶者が口を出すから?「遺言書」作成の意外な理由

昨今、少子高齢化により、中小企業や小規模事業者の後継者難が大きな経営課題となっています。そして、元気なうちに資産の管理や、次世代へのスムーズな承継について考えていく必要性も高まっています。

CBCラジオ『北野誠のズバリ』「シサンのシュウカツにズバリ」では、事業承継と資産承継について専門家をゲストに学んでいきます。

10月30日の放送では、遺言書の作成依頼をする意外な理由と遺言書の効果について、北野誠と松岡亜矢子が三井住友信託銀行 名古屋営業部 財務コンサルタントの渡邊謙治さんに伺いました。

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遺言書が不要な場合

今回渡邊さんは、遺言の効果についての事例を紹介しました。
どのような状況だったのでしょうか?

渡邊「遺言者は80代の女性で、夫は既に亡くなっており、お子様は長男と長女の2人」

北野「お子さまが2人以上いる場合は遺言があった方がいいんですか?」

渡邊さんは「もちろん何があるのかわからないため、遺言がある方が良い」と前置きをしつつも、遺言書がなくても、相続が発生した際に相続人で話し合いがまとまれば良いので「不要な場合もある」と答えます。

渡邊「実際に『うちのこどもたちは仲が良いから大丈夫』と言うお客様も多い」

今回の遺言者は、こどもたちと仲が良くなかったのでしょうか?

渡邊「関係性は良好で、兄妹の仲もとても良いとのこと」

遺言書を作成する意外な理由

では今回、どのような遺言内容だったのでしょうか?

渡邊「相続が発生した際には、自宅は後継ぎの長男が引き継ぎ、金融資産はこども2人で2分の1ずつ分けてほしいと考えていた」

とはいえ、配分については長男の方が多かったそう。その内容で長男・長女ともに納得していたとのこと。

北野「子たちが配分に納得していても遺言は作成した方がいいんですか?」

渡邊「私も遺言書がなくても大丈夫だと感じましたが、実は今回の遺言書作成は財産を多くもらう予定の長男からではなく、少ない側である長女から『遺言を書いておいてほしい』と言われた」

なぜ長女は、自分の方が少なくもらう配分に納得しているのに、遺言を書いてもらったのでしょうか?

渡邊「長女自身は配分に納得しているが、気にしていたのは長女の夫が何か言ってくるかもしれないとのことだった」

家族間ではなく配偶者との関係を思案した上での作成依頼だったのです。

配偶者の意見を封じる方法

北野「え!でも長女の夫は何も関係ないし、相続人ではありませんよね?」

もちろん長女の夫は相続人にはなりません。
ただ、相続の話し合いでは相続人だけでなく「相続人の配偶者も参加するケースはよくある」と続けます。
今回のケースも遺言によって配分を指定してもらえば、相続の話し合いで親族が集まる必要はなく、親族不和になることもないと考えてのことだったそうです。

北野「長女が先回りして、機転を利かしているっていうことだ。相続人の仲がよくても遺言書を書いた方がいい場合があるんですね」

渡邊「このように遺言を必要とする理由は様々」

「仲が良いから遺言は必要ない」と考えるのではなく、「良好な関係性を継続させるために遺言を作成するケースもある」と覚えておいてほしいと念を押す渡邊さん。

遺言書の存在の大きさをつくづく実感した北野ですが、「それにしても長女はかなりちゃんとわかっている」と関心を示します。渡邊さんも「お金のことなのでキッチリしておこう」と思ったのかもしれないと同感しました。
(野村)
 
北野誠のズバリ「カイシャのシュウカツ」
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2024年10月30日14時48分~抜粋

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