北野誠のズバリ「カイシャのシュウカツ」

事業継承の際に契約に問題が。120年続いた調剤薬局のケース

昨今少子高齢化により、中小企業や小規模事業者の後継者不足などが大きな経営課題のひとつとなっています。承継する人がいない場合は廃業するしかないと考える経営者もいます。

CBCラジオ『北野誠のズバリ』のコーナー「カイシャのシュウカツ」では、事業承継について、専門家をゲストに多方面から学んでいます。

9月18日の放送では、明治時代に創業した調剤薬局の承継事例を北野誠と松岡亜矢子が、三井住友トラストグループ 株式会社経営承継支援・はじめ部長の藤原秀人さんに伺いました。

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事業承継引継ぎ支援センター

今回藤原さんが紹介したのは、群馬県の調剤薬局の承継事例。
どんな薬局だったのでしょう?

藤原「老舗薬局さんで、なんと明治時代に開局。120年続いてた地元に根付いた薬局さんでした」

歴史のある老舗薬局ですが、なぜM&Aをすることにしたのでしょう?

藤原「社長さんが80代の高齢になったこともあり、閉局を検討されていました」

北野「辞める予定だったのに、なぜM&Aを?」

藤原「社長さんの息子さんが、近所の商工会議所に薬局を閉めるというお話をしたところ、『事業承継・引継ぎ支援センター』を紹介されました」

「事業承継引継ぎ支援センター」とは国が全国各地に設置している、事業継承に関する公的相談窓口。

北野「国自体も積極的に事業承継に取り組んでいるんだ」

事業承継では人気の調剤薬局

M&Aに対して社長である父親は、どんな印象を持ったのでしょう?

藤原「M&Aというと、テレビとかで大企業が取り上げられていることが多く『うちのような小さな薬局の案件を取り扱ってくれるのか』と半信半疑でした」

買い手はどのような会社が出てきたのでしょうか?

藤原「同じく群馬県にある中堅の調剤薬局さんが買い手となりました」

交渉はスムーズに進んだのでしょうか?

「薬局のM&Aは人気がある」と藤原さん、多数の候補先から50社程に絞ったのですが、父親の「地元の薬局に譲りたい」という意向を尊重して、地元の候補から打診しました。

藤原「エリアも市の中心街にあったので、買い手はすぐに見つかり話を進めることになりました」

歴史の長い会社だからこその問題

ところが、承継には時間がかかってしまったという藤原さん。その要因は2つあったそうです。

ひとつは、売り手は歴史が長く個人事業の延長のような薬局だったので「会社」と「個人」の資産が混在になっていたこと。

もうひとつは、創業が古いため、店舗運営に関わる契約書が紛失していたり「口約束」で記憶があいまいになっていたこと。

北野「経理的にもぐちゃぐちゃやったと思うわ。歳とってくるとだいたいが口約束や」

藤原「相続となると契約書の当事者が兄弟とか、誰が契約したかっていうのもひとつひとつ整理していかなくてはいけなかった」

北野は「個人で長年経営されていると、そういうこともあるんですね」

時間はかかったものの、結果的には無事に継承ができたそうです。

藤原「患者さんの利便性も維持しつつ、従業員さんの雇用も継続できました」

なにより父親の「地元の薬局に引き継ぐ」という希望も叶えることができ、「非常に喜んでいただけた」と語る藤原さんでした。
(野村)
 
北野誠のズバリ「カイシャのシュウカツ」
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2024年09月18日14時50分~抜粋

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