北野誠のズバリ「カイシャのシュウカツ」

学習塾の事例から、M&Aの円滑化を考える。

昨今少子高齢化により、中小企業や小規模事業者の後継者不足などが大きな経営課題のひとつとなっています。承継する人がいない場合は廃業するしかないと考える経営者もいます。

CBCラジオ『北野誠のズバリ』のコーナー「カイシャのシュウカツ」では、事業承継について、専門家をゲストに多方面から学んでいます。

7月17日の放送では、個別学習塾を経営している会社の承継事例を北野誠と松岡亜矢子が、三井住友トラストグループ 株式会社経営承継支援・はじめ部長の藤原秀人さんに伺いました。

[この番組の画像一覧を見る]

成長型のM&A

今回藤原さんが紹介したのは、個別学習塾の事例です。どのような塾だったのでしょう?

藤原「年商は4億円ほどで、従業員は約50名。関東地区と東海地区に計4教室ありました」

北野「学習塾のM&Aは、意外とよく聞きますね。関東と東海にあれば順調そうですが、なぜM&Aを?」

藤原「今回は、事業の悪化や社長さんの高年齢化とかではなく、塾をさらに大きく発展させるためという成長型のM&A」

これまでコーナーでは耳にしなかった「成長型のM&A」というワードに驚く北野。

将来を見据え明確な条件を提示

「社長さんは若いのでは?」と興味津々の北野。どのような経営者だったのでしょう?

個別学習塾を立ち上げて8年経ち、M&Aの当時は30代後半だった社長。
独自の指導法や講師の教育体制など、オリジナルのビジネスモデルを確立し、自ら作った指導メソッドの講演をおこなった際には来場者が殺到したそうです。

北野「もうイケイケだったんですね」

しかし社長個人の信用力が高い一方で、塾の数を増やすための資本力が追いついていなかったことが悩みだったようです。
そこで「塾を大きく発展させるスピードに対応する力がない」と考え、M&Aで資本力を得て成長していこうと決断しました。

北野「すごい理由ですね。軌道に乗る姿が(自信が)あったんでしょうね」

社長はM&Aをするにあたり、下記の3点を明確に提示してきたとのこと。

・これまでに確立をしてきた既存ブランドは継承してほしい
・独自の指導法や経営方針を大きく変えず発展を希望 
・同業だと条件に合わない可能性が高いため、買い手は投資ファンドに絞りたい

北野「ちゃんとこの塾はこうなっていくという未来が見えている。だからそれ以外の余計なものはもういいと」

買い手のやる気と本気度

買い手について、まず20社のファンドをピックアップして、その内で条件に合う2社を選定した藤原さん。

藤原「ファンドは一般的に3年から5年で再売却することが多いんですが、今回の買い手は『長期保有型』のファンドでした」

売り手の社長の条件には「5年先も塾を継続してほしい」とありました。

藤原「最終的に選ばれたファンドは、売り手社長の明確な条件(をクリア)、買い手の『やる気』と『真剣さ』を感じ、無事に成約に至った」

北野「(社長が)若かったからというのもありますが、条件を明確にするっていうのもプラスに働くこともあるんですね」

この学習塾は、M&Aの1年半後にはもともとの4教室の2倍超となる10教室に増え、関西地区進出など、今なお事業を拡大中とのこと。

北野「非常に前向きで、自分のやることに自信があるということですね」

条件を明確に提示したからこそプラスにもっていけた、「こういうM&Aもあるんだな」と感心する北野でした。
(野村)
 
北野誠のズバリ「カイシャのシュウカツ」
この記事をで聴く

2024年07月17日14時49分~抜粋

関連記事

あなたにオススメ

番組最新情報

×