若狭敬一のスポ音

詩人・ねじめ正一、落合博満監督復帰を熱望

今年6月に『落合博満論』(集英社刊)を出版した詩人で作家のねじめ正一さんが、9月25日放送のCBCラジオ『若狭敬一のスポ音』に出演しました。

野球好きのねじめさんが、元中日監督の落合博満さんについて熱く語りました。聞き手は若狭敬一アナウンサーです。

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詩・小説の世界に進んだきっかけ

まずねじめさんが、創作の世界に進んだ理由を語ります。

ねじめ「初めての詩を雑誌編集者が読んでいて『うちで書きませんか?』と。商売やりながら同人誌をやってて、その流れで、一生続けられればいいかな、なんて思いで書いてましたよね」

詩を書いたら、今度は「小説を書いてみない?」と行き当たりばったりで続けてきたんだとか。

第31回H氏賞受賞の詩集『ふ』や、第101回直木賞受賞の小説『高円寺純情商店街』、第15回ひろすけ童話賞受賞の童話『まいごのことり』などの作品で知られるねじめさん。
実は、中学時代に野球部で練習に明け暮れ、草野球チームで年間数十試合をこなしたほどの野球好きなのです。
 

落合野球が見たい

ねじめさんは落合野球をこんな川柳で表しています。

「天高く 落合野球 降って来い」

ねじめ「ここで落合さんが戻ってこないと、もう二度と落合さんのユニフォーム姿って見れないんじゃないかなっていう、切羽詰まった思いがありましてね」

一年でも二年でも、中途半端な期間でもいいから復帰してもらい、落合さん指導の元で上手くなっていく選手が見たいというねじめさん。
 

落合さんは大人の夢

ねじめさんは、とりわけ長嶋茂雄さんの熱烈なファンとして知る人ぞ知る存在ですが、日経新聞の取材に対し「長嶋さんはこどもの頃に憧れた人。落合さんは大人になって憧れた人」と答えています。

ねじめ「でも中畑さんの背中におんぶされて、10.8の時に、引っ込んでいく落合さん。それから日本シリーズで、足を引きずりながら走って行く落合さん。あれを見た時に、この人は大人の夢なんだなって思いましたよね」

「10.」8とは1994年10月8日、ナゴヤ球場で行われた中日対巨人戦のこと。

ペナント最終日まで同率1位だった両チームが、最終戦で優勝を争うことになりました。
「長嶋監督を胴上げするために来た」とFAで中日から巨人に移籍した落合さんは、2回にホームランを放ちますが、3回の守備中に左足を痛めて負傷退場します。

そしてリーグ優勝し、西武との日本シリーズでは、落合さんは第三戦に指名打者として出場。1回に先制のタイムリーヒットを打ち、足を引きずりながら一塁へ走塁しました。

この年、4勝2敗で巨人が日本一になりました。「長嶋監督を胴上げするために来た」。有言実行の落合さん。

この日以来、ねじめさんは野球解説も含めて、落合さんの語ったことはメモしているそうです。
 

ボロ自転車でやって来る

ねじめ「落合さんは自分の言葉を持ってる人ですから。いつか監督になるってことよりも、あの人は最初から監督だったのかもしれませんよね」

若狭「大人の夢っていい言葉ですね」

ねじめ「落合さんは、僕らよりも苦労してるじゃないですか。やっぱり話がペーペー会に戻りますよ」

高校時代は野球部先輩からの理不尽なしごきに馴染めず退部。説得されては復帰を繰り返すこと7回。大学時代も理不尽な体育会系のノリを嫌い、怪我をしたこともあり半年で退部。

東芝府中の社会人野球で頭角を現す落合さんですが、野球部と同時に入ったのが「ペーペー会」。東芝府中で出世を諦めたある程度の年齢の人たちで作っていた会だそうです。
二十歳過ぎの落合さんは、ここにいた人たちと旅行に行ったり、月に一回飲みに行ったりしていたんだとか。

「ペーペー会」は、「もがく」よりもその状況を「楽しむ」会だったようです。その時には、誰にも注目されてない一野球人が、自己肯定と自由を頭に入れながら好きな野球に邁進していたのでした。

ねじめ「ボロ自転車でね、合宿所から球場まで通る落合さんの姿が浮かびません?落合さんがボロ自転車に乗ってる姿が」

著書『落合博満論』、気になった方はぜひご一読を。
(尾関)
 
若狭敬一のスポ音
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2021年09月25日15時50分~抜粋

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