若狭敬一のスポ音

中日・涌井秀章流「四番打者育成術」で石川昂弥を見てみると?

7月12日放送のCBCラジオ『若狭敬一のスポ音』は、若狭敬一アナウンサーが、中日ドラゴンズの涌井秀章投手が提案する四番打者育成のための3ステップを紹介しました。

聞けば納得の涌井投手の持論で、石川昂弥選手の四番について語ります。

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四番打者への3ステップ

今年4月、若狭が涌井秀章投手に取材していた時のこと。

目の前で練習していた石川昂弥選手について、こんなコメントをしたそうです。

「昂弥も怪我をしない身体が必要ですし、勝負の年で結果を出さないと遠回りしちゃいますよね」

この時に若狭が聞いた、涌井投手が考える「四番打者になるための3ステップ」を紹介しました。

3ステップをそれぞれキーワードにすると「怪我をしない身体で下積み」「楽な打順で抜擢」「勝負の年で結果」の3つ。

この3つを実践するのは、「怪我をしない身体で下積み」は本人。「楽な打順で抜擢」は監督。「勝負の年で結果」は本人となります。

石川選手はプロ6年目の24歳で、今シーズン一軍で僅か21試合出場、打率1割3分2厘でホームラン0。打点4。
開幕は四番スタートでしたが成績振るわず二軍へ。二軍では7月10日の時点で29試合に出場、打率2割8分9厘、ホームラン1本、打点13の成績です。

石川選手、今後ドラゴンズの四番になれるのでしょうか?

巨人の四番

涌井投手の持論「四番になるための3ステップ」。特に抜擢に関して。

「勝敗の責任は先輩たちがとるべきなんです。いきなり勝敗の責任を若手に背負わせると
メンタルをやられます。調べてみて下さい。誰だって最初から四番じゃないはずです」との言葉。

そこで若狭は他チームの四番に、この3ステップが当てはまるのか調べてみました。

まず読売ジャイアンツ、岡本和真選手。新人から3年間ずっと下積み。二軍で1,064打席。その間ホームラン29本。

抜擢の年は4年目の2018年。開幕から六番ファーストでスタメン起用され、打順は五番、三番も打っていました。四番は主にケーシー・マギー選手や中日から巨人に行ったアレックス・ゲレーロ選手がいました。

シーズンの途中、6月から四番を任されるようになり143試合に出場。その内93試合で四番。33ホームランを打ち、抜擢イヤーに結果も出ました。

翌2019年が勝負の年。開幕から四番を務め143試合出場。31ホームランでした。

若狭「3年間二軍で下積み。4年目に六番で抜擢からの四番。勝負の年の5年目きっちり結果。この間、目立った長期離脱なし。お見事」

ヤクルトの四番

続いて東京ヤクルトスワローズの村上宗隆選手。新人の年は2018年。二軍で365打席に立ち、17ホームラン。

2年目の2019年に開幕から六番サードで抜擢され、五番や七番を打っていました。四番も打ってはいたのですが25試合だけ。
四番にはウラディミール・バレンティン選手がいて、実績十分の先輩がチームの責任を背負ってくれていました。

勝負の年は3年目、2020年。コロナの影響で6月開幕、120試合全てに出場し28ホームラン。

若狭「1年目下積み。2年目から楽な打順で抜擢。勝負の年の3年目に結果。この間、目立った離脱なし。素晴らしい」

西武の四番

続いて西武の「おかわり君」こと中村剛也選手は、新人から3年間、二軍で809打席に立って49ホームラン。

抜擢イヤーは4年目の2005年。五番、六番、七番で抜擢されて80試合に出場し、22ホームラン。
5~7年目までの3年間、四番は打っておらず五番以降が中心。この間の四番はアレックス・カブレラ選手でした。

若狭「実績のある先輩がガンガン打ってくれますからおかわり君が勝敗を背負う必要はないんです」

勝負イヤーは8年目の2009年。128試合48ホームランという成績でした。

若狭「二軍で3年間下積み。一軍抜擢。勝負の年で結果。目立った長期離脱なし。ちょいちょい怪我はあったんですが1年棒に振ることはありませんでした」

与田剛監督による起用

涌井投手の3ステップ通りの3人を見てきました。中日、石川選手の6年間を振り返ると…。

1年目の2020年、コロナの影響で二軍の試合も少なかったのですが二軍で238打席、3本のホームラン。一軍でも14試合を経験して、プロ初安打も打ちました。

若狭「1年目の下積みとしては合格。当時の与田監督もよく二軍で使ったという感じがします」

2年目も下積みからスタート。ところが6月にデッドボールで左手を骨折。一軍出場もなく長期離脱へ。

立浪和義監督の起用法は?

3年目、ドラゴンズの監督は立浪和義さんになりました。1年目は下積みとしてはOK。2年目は怪我で下積みができていないにもかかわらず、3年目に抜擢。

若狭「開幕、七番サード。立浪監督の抜擢の仕方は最高なんですよ」

しかし5月、左膝の怪我をして長期離脱。下積みがない分、体が作りが不十分だった?

若狭「4年目。抜擢アゲインです。開幕は二軍だったんですけど4月中旬にいきなり一軍で四番。涌井投手の言う酷な抜擢を4年目はしちゃってるんです」

涌井投手の3ステップは、楽な打順で抜擢して結果が出て、勝負の年で四番。しかし立浪監督は4年目に四番で起用。結果2カ月で四番を外れてしまいました。

若狭「ただこの2カ月間でホームラン5本。打点19。121試合に出場し、規定打席にも到達してるんです。酷な打順で抜擢されたが頑張ったんです」

井上一樹監督の起用の仕方

涌井投手曰く「石川選手の勝負の年は去年だった」そうです。昨年はどうだったのでしょうか?

不調で開幕二軍、一軍出場は82試合、ホームラン4本、打点25。不発に終わったのは本人の責任。

石川選手は、他チームの四番に比べると涌井投手の言う3ステップのプロセスは踏んでいないようですが、この6年目どうするのでしょうか?

若狭「ハッキリ言ってこの5年間、四番になるためのステップを踏んでないにも関わらず、今年いきなり開幕四番で抜擢しちゃってるんです」

状態は上がらず、結局一軍では21試合出場し、ホームラン0、打点4。現在は二軍です。

石川昂弥は今

若狭「石川選手は下積み、怪我、楽な打順で抜擢、怪我、酷な打順で抜擢、活躍、勝負の年で結果出ず。酷な打順で再度抜擢。結果出ず。問題があるプロセスだと思います」

選手側の問題点はとにかく怪我が多いこと。では首脳陣側の問題は?

若狭「2回もいきなり四番で使っちゃってるんです。ここがどうかな?と思います」

チーム全体の問題は、バレンティン選手やカブレラ選手のような主砲がおらず、石川選手を四番で打たせざるを得なかったこと。
経験を積むために楽な打順で打たせることができなかったこともチームの責任。

若狭「6年目の今、石川選手は何しているのか?ここにきて、また下積みです。二軍ですもん。これは遠回りなんじゃないか?という気がします」

涌井投手が提案する四番育成3ステップ。3つのキーワードで見る石川昂弥選手についてでした。 
(尾関)
 
若狭敬一のスポ音
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2025年07月12日12時30分~抜粋

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