若狭敬一のスポ音

プロアマの垣根が消え行くプロ野球界。新人選手がプロ入りまでにすべきことは

野球解説者の山田久志さんが、12月26日『若狭敬一のスポ音』に出演。
ドラフト指名された新人選手たちが今やるべきこと、やってはいけないことについて、自身の経験を踏まえてたっぷりと語りました。

[この番組の画像一覧を見る]

キャンプまでにしておくべきこと

山田「自分が、プロ野球の選手になれるところまで来るには、いろんな人の手を借りてるわけね。まず、その人たちに挨拶を絶対忘れたらいかん」

近所の野球チームの会長から高校、大学の恩師、監督はもちろんのこと、コーチであっても、何か手を差し伸べてくれた人には絶対に挨拶はしておくべきだと言います。

「それが、いつかすごい力になる時がある。いろんなアドバイスをくれる時がある」と言い切る山田さんです。
 

心配してくれる人

山田「最初はわからなかったんだけど、そういう人たちは応援してくれてるんだけど、本当はすっごい心配してくれてるの」

応援と心配はセットになってるそうです。

競争の厳しいプロの世界に入るということは、監督やコーチはいちいち心配してくれません。
しかし、今までお世話になった人たちは「とにかく成功して欲しい」「頑張って欲しい」と思ってくれているんだとか。

山田「そういう人たちを大事にする意味でも、まずはプロの第一歩を踏み出せるっていう挨拶。『頑張ります』の一言でもいいんです」
 

契約金から野球部のために

山田さん自身、阪急ブレーブスからドラフト1位指名された後は、能代高校、富士鐵釜石でお世話になった人たちに菓子折りを持って挨拶回りに行ったそうです。

山田「こんなこと言ったらいけませんけども、プロへ入る時はね、お陰様でこういう立場になりました。これ、何か部のために使ってくださいっていうふうにして、契約金からお金を持って行きますよ」

寄付という形ではなく、お金をそのまま持って行ったそうです。山田さんの場合は、社会人と高校と中学の3カ所へ持って行ったんだとか。

山田「中学も野球部ですから。そこがスタートですから。そこを忘れたらイカン。そういうちょっとしたことですけど。今の人たちは、みんなやるんじゃないのかな?」
 

やってはいけないこと

プロ入り前の選手がすべきことは、挨拶回り他にやはり練習ですが、ここに落とし穴が。

山田「練習はオーバーワークにならないこと」

「自分はプロの選手だから」と頑張り過ぎて、往々にしてやり過ぎてしまうんだとか。このオフは控えめでいいそうです。

オーバーワークや間違った身体の鍛え方をして、変な癖がついてしまうこともあるそうです。
また、ジムには様々な器具がありますが、すべきことは「野球をやるための身体」を作ること。ジムのトレーナーの意見は別の話だそうです。
 

プロ入りまでの期間

ちなみに山田さんは社会人からのプロ入り。
富士製鐵釜石硬式野球部がちゃんとメニューを決めてくれて、それに沿って練習していけばよかったそうです。しかし、高校生は卒業したら、プロ入りまで長期間あります。

最近は例えプロに行かなくても、大学、社会人で現役を続けるという選手に対して協力的な学校が多いんだそうです。

山田「これはプロ、アマが雪解けしたからです。昔はこういうのにうるさかったんだ。プロから指名を受けたら、学校とは区切りをちゃんとつけて入り込んだらイカンとかね」
 

選手への弊害

日本の野球界でプロとアマチュアの間では不思議な確執があります。
その発端は1960年(昭和35年)に起こった「柳川事件」。

プロ側の日本野球機構とアマチュア側の社会人野球協会(現日本野球連盟)の間でスカウトを巡りトラブルが発生。関係を断絶する事態に発展しました。
以来、プロ野球関係者が高校生や社会人などアマチュアには指導できないという状態が続くことになってしまいました。

山田「いろんな制約があったから、やりにくい面があったんです。だから怪我をしてしまう選手もいたんだ」

鳴り物入りで入団したものの、キャンプの第一、第二クールで怪我をしてしまう選手も多かったそうです。特に足回りの怪我が多かったという山田さん。
 

長嶋さんの話聞きたいでしょ?

現在はプロがアマチュアへ指導するための要件も緩和されていて、特定の研修を受ければ学生への指導が可能となっています。
もちろん山田さんも、アマチュア指導の資格を持っています。この制度が導入されて今年で7年目です。

山田「みなさんね、私の野球理論とか聞きたくないですか?王さんとか長嶋さんの野球の話を聞きたくない?ダメだって言ってるのはあなたたちだからね。そういう話を何年かしてたら、ハードル下げてやろうじゃないかってなった。私がその一期生」

山田さんの意見がアマチュア側を動かしたのかもしれません。
 

聞けばいい、教えればいい

ドラフトで入団が決まり、今からキャンプインまでどうしたらいいかわからない選手たちは、プロの経験者に教えてもらえばいいわけです。
プロ、アマの意思の疎通が良くなり、そういう事が出来るようになったことは非常に大きな出来事なんだそうです。

山田「だって、どこの世界にトップでやってる人の意見を聞いたらいかんっていう、そういう世界ある?」

サッカー界でもJリーガーがこどもたちに指導するのは当たり前の時代。あらゆるスポーツで、プロがアマチュアに指導しています。

山田「いいことはどんどん教えていったらいい。昔はプロも悪かったことありますよ。だけど時代は動いて行っているんだから。だから、いい感じにはなってることは間違いないですよ」
(尾関)
 
若狭敬一のスポ音
この記事をで聴く

2020年12月26日13時28分~抜粋

関連記事

あなたにオススメ

番組最新情報