若狭敬一のスポ音

LGBT問題を浮き彫りに…青春コメディ映画『ブックスマート』のすすめ

ダイノジの大谷ノブ彦が、8月21日に公開された映画『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』(オリヴィア・ワイルド監督)について、8月22日放送の『若狭敬一のスポ音』で熱く語りました。

主演女優は確実に世界的に有名になるので、いま観ておいて損はないそうです。
いったいどんな作品なのでしょう?

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主人公・監督・脚本も女性

『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』は女性2人が主人公。
2人のうちモリ―役がビーニー・フェルドスタイン。コメディアン、映画監督、脚本家としても活躍中のジョナ・ヒルの妹です。

もうひとりの主人公、エイミー役はケイトリン・デヴァー。ドラマシリーズに多数出演し、その演技は高い評価を受けています。

大谷「監督も実は女優さん。オリヴィア・ワイルド。映画観たら、この人かみたいな。すごく綺麗な人なんですけど。この人が初監督作品。脚本も女性です」
 

3年分の青春を1日で取り返す

モリーとエイミーは女子高生でまもなく卒業。2人ともガリ勉で一流大学への進路も決まっています。
同級生でも遊び呆けている連中とは違うと思っていましたが、彼らも同レベルの大学へとそれぞれ進路が決まっていました。

「遊びながら勉強もしてたの?」
そのことに気づいた二人は、私たちの高校時代は何だったの?と愕然。
アメリカでは最後に卒業パーティーがあるのですが、その1日で全てを取り返そうとします。

大谷「ガリ勉の2人が3年を1日で取り返す。この1日で解放されるんだということです」
 

現代を反映

この映画、アメリカでは批評家から大絶賛。シンガーのテイラー・スウィフト、映画監督でもある女優のナタリー・ポートマンも支持しています。

その理由とも言えるのが、LGBTを絡めているところ。
実はエイミーはレズビアン。モリーはそれを受け入れています。2人はパーティーに出ることによって、自分をもっと受け入れてほしいという気持ちになっていきます。

物語は、エイミーが自分がレズビアンであることをどうカミングアウトするか?に焦点を当てていきます。

大谷「最初は、駄目な2人だなとコメディ映画として見ているんですけど、だんだんとシリアスになっていく。今のアメリカの持っている、ありのままの自分でいいじゃないかという問題を内包しているんですよ」
 

日本ではなぜ伏せる?

この映画は世界中で大ヒット。各国の映画祭で25部門受賞。65ノミネート。日本で公開されるのも、当然作品が評価されていて面白いから、なのですが…。

大谷「残念ながら予告編、チラシにもほとんどレズビアンってことが書かれてません。つまり日本で興行しようと思ったら、その情報はマイナスだということ。これ、本国の映画制作側が知ったら怒りますよ。映画観てもらったらわかるんですが、ここ、超大事なんです」

「ネタバレだから」という理由ではありません。他の国では、レズビアンということが予告編でも入っているそうです。
日本では予告編でも、オフィシャルのホームページでも、映画関連の記事の中でもレズビアンということ自体カットされている、と憤る大谷。
 

議論してほしい

大谷「つまり、日本ではそういう風な情報があるとヒットしないんじゃないか。これって要は、宣伝会社の問題というより、日本全体のマイノリティに関しては蓋を閉じよう、みたいな問題じゃないかなと思うんですよね。

僕は宣伝の人たちを否定するわけじゃなくて、いろんな事情があったんだと思います」

ブルース・リーの最初の日本公開映画となった『燃えよドラゴン』。
当時は香港映画もカンフーも日本では馴染みがありませんでした。そのため"香港を舞台にしたアメリカの空手映画"と宣伝していました。

これらは売るための戦略です。しかし、『ブックスマート』でのレズビアン描写は映画のテーマに直結するキーワード。それを隠すというのはどうなんでしょう?

大谷「映画の外枠の問題です。日本という国がエンターテイメントを楽しむにおいて、世界の中で、こういう問題に対して少し遅れてんじゃないか?僕は、むしろこの映画を観てもらって、このことに対して皆で議論し合ってほしいですね」
(尾関)
 
若狭敬一のスポ音
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2020年08月22日12時47分~抜粋

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