若狭敬一のスポ音

山田久志、与田監督との仲だからこそあえて「代打・三ツ間事件」を語る

7月7日の中日対ヤクルト戦で発生した“代打・三ツ間事件”。

8月8日『若狭敬一のスポ音』ではこの件について、元中日監督で野球解説者の山田久志さんが語りました。
聞き手はCBCの若狭敬一アナウンサーです。

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代打・三ツ間事件、おさらい

7月7日、ナゴヤドームで行われたヤクルト戦。10回、1点を追う中日に、ツーアウト、満塁と一打逆転のチャンス。ここで回って来たのが岡田投手。

野手を全員使い切っていた与田監督が打った手は、なんと代打・三ツ間投手。
投手の代打に起用された三ツ間投手ですが、あえなく三振に倒れて試合終了。

与田監督の采配を問題視するファンも多くいました。
 

何を考えていたんだ

山田「1年に一回の七夕だから許してやろうか」
若狭「短冊に、もう二度とこんなことがありませんように、と書きましょうか」

山田さんと若狭敬一の軽い冗談から入りますが…。

山田「与田監督はじめ、中日首脳陣、ベンチにいたコーチ全員、君たちは何をやってるんだ?野球の試合でこんなことあっていいのか?専門家なら、誰もが激怒する。
そりゃあそうですよ。プロ野球ですよ。アマチュアの試合じゃないですよ?」

先の先を読んで手を打つのが首脳陣の仕事。
それが、チャンスが来たのに選手がいなくなっていた、では、何を考えて野球を進めていたんだ?と言われても仕方ないと言います。
 

7月7日のポイント

若狭「クローズアップされるべきは8番9番。10回の表にバッテリーを入れ替えた時に、8番にピッチャー岡田、9番にキャッチャー加藤としました。実は、この打順を入れ替えることも、あの日は可能だったんですね」

8番に加藤、9番にピッチャー岡田とした時点で、野手を使い切りました。
10回の裏の攻撃は3番から。3、4、5、6、7、8。6人目のバッターが8番。ツーアウト満塁で回ります。

山田「そういう可能性があるって、計算したらわかるじゃない」
 

選手起用は監督の見せ場

この日のゲームを「ベンチの完全な読み違い」と語る山田さん。

山田「こうなるケースもあるってことを想像できなかった。監督はね、試合のことでワーッとなってる時ある。そうするとエアポケットみたいに気がつかない時があるんですよ」

こんな時は、そばにいたコーチが監督に助言すべきだと言います。

山田「選手起用の妙っていうのも監督の一つの大きな見せ場なんですよ。それを大失敗したということです」
 

そこ、GOじゃないの?

あの日、「代打、三ツ間」に行くまでに複雑なことが絡み合っていました。

まず10回裏、ワンナウト、ランナー一塁三塁というチャンスを掴みました。
1点のビハインド。バッター平田が浅いライトフライを打ちました。
この時に三塁ランナーが突っ込まず、ツーアウト一塁三塁になりました。

次のバッターは京田です。さらに次のバッターがピッチャーの岡田。
どう考えても申告敬遠を京田にするということはわかります。

なぜ平田のライトフライで三塁ランナーを突っ込ませなかったのか?

その時に、三塁ランナーだった遠藤、三塁コーチスボックスにいた荒木コーチは、先の打順を理解していたのでしょうか?

山田「してないですよ。してないからそうなるじゃない。だから荒木コーチも、次は京田だと。残ってる選手は誰で、ピッチャーのところへ誰が代打行くんだと考えたら、これはもう全部GOです。少々のことでも行かせなくちゃいけない」
 

七夕の怪

ここで遠藤が突っ込んでいれば、また違った展開に…。しかし荒木コーチからGOサインは出ませんでした。

若狭「となると、本当にあの日、ぐちゃぐちゃな試合だった…」
山田「みんながエアポケットに入った」
若狭「こういうことってあるんですね」
山田「あってはいけないんだけども、あの時、どのコーチも気が付かなかった。不思議な現象です」
 

与田監督へ言うとすれば?

山田「よく大企業の人が頭下げてるじゃないの。野球の監督だってやったっていいんだよ。解説者の人は『単なるミスでしょ』と言うけども、私はこういうのには厳しい」

選手に謝って「今後はこういうことのないよう、遠慮なく意見を言って欲しい」と言うべきだと語る山田さん。
与田監督は翌日選手に謝ったそうです。

プロ野球は監督がいて、ヘッドコーチがいて、各専門職のコーチがいて、そして裏方がいて初めてゲームは進みます。

山田「みんなが勝ちに向かっていって『よっしゃ頑張るぞ』って言った時に、最後に『これかよ?』となれば、ガタガタとチームの信頼関係が崩れていく可能性があるよね。勝ち負けだけじゃなくて、それが怖い」

最後に、いま与田監督に言う事があるとすれば?と尋ねる若狭アナ。

山田「私は与田監督とWBCのピッチングコーチを一緒にやった仲だしね、彼の性格も知ってるし、人間性も知ってるつもりなんだけども、監督として、こういうことはもう二度とやるなよと。監督として一番恥ずかしいことだと、私なら言う」

与田監督と親交の深い山田久志さんだからこそ言える厳しい言葉の数々でした。 
(尾関) 
 
若狭敬一のスポ音
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2020年08月08日13時10分~抜粋

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