若狭敬一のスポ音

山田久志が語る。プロ野球選手とケガの悩ましい関係

元中日ドラゴンズ監督の山田久志さんが、10月26日放送の『若狭敬一のスポ音』に出演し、野球選手につきもののケガについて語りました。

ドラゴンズの怪我人の多さを指摘する若狭敬一アナウンサーですが、選手、トレーナー、コーチ、監督はケガに対してはどう対処するのでしょうか?

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怪我人続出

若狭「今年のドラゴンズ、怪我人が多かった!」

山田「それも主力どころだね。高橋周平もあった。平田(良介)もあった。アルモンテもあった。あとは誰?」

投手陣では、松坂大輔選手が右肩の故障。藤嶋健人選手が血行障害。笠原祥太郎選手は不整脈。若手では先発を務めた福谷浩司選手が腰痛で離脱。

若手の野手では、伊藤康祐選手が太もも肉離れ。溝脇隼人選手が右手有鉤骨骨折。

若手が出てきて頭角を現したところでケガで離脱、というパターンが目についたシーズンでした。

監督に知られたくない

「厳しいこと言えばね、何か必ず前兆というものがあったはず」と山田さん。それは本人しか分からないことなので、周りのコーチやトレーナーは常に選手を観察しておかなければならないそうです。

「選手は少々の痛みなら無理する時あるから。それにトレーナーに言わない選手もいるのよ。言ったとしても、上のコーチとか監督に伝わって欲しくないから、トレーナーのとこで止めておいて欲しいっていう選手もいるわけ」と言う山田さんです。
 

選手→トレーナー→コーチ

選手のプライベートなど、監督の耳に入れなくてもいいことは、ヘッドコーチや投手コーチ、あるいは内野守備走塁コーチという担当コーチで止まっているそうです。
場合によっては、自分を担当してくれたスカウトに相談することもあるんだとか。

プライベートな問題に関して言えば、野球以外の世界でも同じ。わざわざ言う必要もないことは、個人のレベルで完結です。

かたやケガの防止、管理の観点で見るとどうでしょう?
ケガについては、選手とトレーナーの間で、かすり傷程度であっても、あらゆる情報を共有していた方がいいそうです。
そしてトレーナーは選手の状態をコーチに報告し、いつの試合で起用するか、となるわけですが…。

山田「これは度合いの問題。『やれそうだけども、無理はできません』…そういうのがよくあるんだ。じゃあ、どうするんだ?って話でしょ」

山田さんはオリックス、中日でピッチングコーチの経験もありました。例えばどんな報告が上がっていたのでしょうか?

コーチの気遣い

「違和感。張り。だるい。いつもと違う。そんな報告がよくありました。何を言ってんだ。毎日同じことはありえないんだから、いつもと違うのは当たり前だろうがってね。私がトレーナーによく言ったのは、ハッキリさせてくれということ」

コーチ時代の山田さんはトレーナーに対して、選手にどんなことがあったかを堂々と伝えるよう指示していたそうです。
当然コーチとしては監督に報告するわけですが、トレーナーと選手に負担にならないように、山田さんはこう伝えたそうです。

「『私が見た感じ、そして喋った雰囲気では今日は若狭は無理です』とかね。今日は使えませんし、使う気はありません、と監督に報告して了解を取る」

コーチの判断ということで、選手起用におけるトレーナー、選手の精神的な負担がなくなるわけです。

チームのためには

若狭「例えば、抑えの場合、戦略上ベンチから外してしまうと『若狭、今日いないんだ』って敵チームにもバレてしまいますよね?」

山田「ベンチ入りのとこに丸つけとくけど、今日は使わない。そういうことをしてあげることによって選手は凄い気が楽になる。その代わり、その選手はやたら応援するよ」

例えば普段大事な場面を任されているピッチャーの場合。このままだと、自分が行く展開になりそう、となると、やたらと応援するそうです。

山田「もし、うまくいかなかったなら、なんで、あいつを出さなかった?ってなるじゃないの。ここは、いつもなら若狭だろうがってチームも選手も、ファンもマスコミも思うわけじゃない。その時に、しっかりコーチが監督に報告しておくと、チームがギクシャクしないんですよ」

選手の気持ち

山田「選手は、なかなかはっきり言えないのよ。若狭君が一軍でレギュラーだったら、今日は少々足の張りがあるなと思っても…」

「チームの勝利のため」と口では言うものの、やはりプロである以上評価も気になるから出るしかないという若狭。

山田「もし、代わりに出たやつがガンガン打ったら、レギュラー取られるかもわからんもんね」

多少の故障であれば無理しても出場してしまうことに問題があると指摘します。

山田「私は『ピッチャーの好不調を見るのは、ピッチャーゴロのさばきだ』ってよく言うじゃん」

ピッチャーゴロの捌き方、ファーストゴロの時の一塁ベースカバーの仕方について、野球解説の際に時々に口にします。

「そういえばシーズン中に、中日が巨人と群馬で戦っていた時に、菅野が一塁ベースカバー、やや遅れて、失点して2回で降板したことがありました。やっぱり腰の痛みをカバーしながら…」と指摘する若狭。

9月4日、先発した巨人の菅野智之投手は初回は三者凡退で抑えましたが、2回に連打を浴び一気に4失点で降板。翌日、登録抹消となりました。騙し騙し投げていたものの、身体にキレがなかったという事の様です。

山田「気持ちは行かなくちゃと思うんだけど、身体が言うことを聞かない。あのくらいのピッチャーなら、ずーっとやってきてることだから、あそこまで遅れないよね。だからそういうことですよ」
(尾関)
 
若狭敬一のスポ音
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2019年10月26日13時18分~抜粋

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